社会

報道ステーション

2025年11月11日 02:00

「名誉毀損認める」が「無罪確信」NHK党・立花孝志容疑者を逮捕

「名誉毀損認める」が「無罪確信」NHK党・立花孝志容疑者を逮捕
広告
3

名誉毀損の疑いで逮捕され、10日に送検された政治団体『NHKから国民を守る党』党首の立花孝志容疑者(58)が取り調べに対し「発言した事実について争うつもりはない」供述をしていることが分かりました。

選挙の演説で“名誉毀損”か

立花容疑者の逮捕容疑は元兵庫県議・竹内英明氏に対する名誉毀損です。竹内氏は、百条委員会で斎藤知事のパワハラ問題を追及してきました。

竹内英明元県議
竹内英明元県議
「パワハラを認めて反省することなのでは」
ネットでの誹謗中傷

そして去年11月、竹内氏は出直し知事選のころからネットでの誹謗中傷に悩まされるように。当時、竹内氏はこんな連絡していました。

竹内元県議からのLINE
竹内元県議からのLINE
「うちの事務所までXなどで狙われる宣言受けて家族も退避してます。警察からも退避しておくように言われてます」
黒幕の1人

立花容疑者はいわゆる“2馬力選挙”を展開して、竹内氏が斎藤知事を失職に追い込んだ黒幕の1人と名指ししていました。証拠を残すことに、竹内氏はこんな不安も。

竹内元県議からのLINE
竹内元県議からのLINE
「警察からも動画と言われました。撮るのが怖いです」
竹内氏

斎藤知事が再選を果たした翌日、竹内氏は所属会派に辞職を申し出ました。

今回、立花容疑者が逮捕された名誉毀損の事案は兵庫県知事選の後のことです。去年12月、自身が出馬した大阪・泉大津市長選の街頭演説でのことでした。

立花孝志容疑者
立花孝志容疑者
「今、警察に呼ばれていますね。誰とは言いませんが選挙翌日に辞めた人ですね。はっきり言います。竹内元県議会議員です。恐らく今、警察の取り調べを受けている。何かやっとるんですよ」

さらに、竹内氏が亡くなった直後にも。今度は埼玉・川越市議選の応援演説で。

立花孝志容疑者
立花孝志容疑者
「任意の事情聴取が繰り返されていて、明日逮捕する予定だったが、本人は逮捕される前に自ら命を絶ったのではないかと。いずれにしてもお亡くなりになったからといって、自業自得でしょとしか言いようがない」

その次の日、通常、個別の捜査状況に言及することのない警察が即座に否定します。

兵庫県警 村井紀之本部長(当時)
兵庫県警 村井紀之本部長(当時)
「竹内元議員については被疑者として任意の調べをしたこともありません。ましてや逮捕するといった話は全くございません。全く事実無根でありまして、明白な虚偽がSNSで拡散されていることは極めて遺憾」
広告

警察 SNSで動向確認し逮捕

逮捕は9日未明、堺市でのことでした。

捜査関係者
捜査関係者
「これまで様々な証拠を積み重ね、立花氏の動向をSNSなどで確認して逮捕に至った」

百条委員会で委員長を務めた奥谷県議も、立花容疑者に名誉を棄損されたなどとして刑事告訴した1人です。

兵庫県 奥谷謙一県議
兵庫県 奥谷謙一県議
「当事者として、まず報道を見た瞬間ほっとした。個人として否定をしても、記者会見とか利用して私なりにも発信をしたけれども、なかなかデマを打ち消すことは難しい」

刑事告訴したのは竹内氏の妻でした。逮捕の一報を受けて。

竹内元県議の妻
竹内元県議の妻
「ただ被害を受けて、しばらくは何もできないままに過ごしていた。この先、同じことが繰り返されてはいけない。これをきっかけに色々なことが明らかになって、これ以上、犠牲は生まれてほしくない」

かつて立花容疑者は、こう話していました。

立花孝志容疑者
立花孝志容疑者
「私は逃げも隠れもいたしません。名誉毀損したことについて何も争いはありません。名誉毀損罪が成立するかどうかはまた違いますので、真実あるいは真実相当性が立証されれば原則は違法性が阻却されるということ」

斎藤知事は。

兵庫県 斎藤元彦知事
兵庫県 斎藤元彦知事
「個別の方のSNS投稿について全て把握しているわけではないので、内容についてのコメントはできる状況ではない。元県議が亡くなられたことはお悔やみ申し上げたい。SNSにおける誹謗中傷など適切でない運用を避けるべき。これまでもこれからも申し上げたい」
広告

“異例”の事件化 今後は

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士

(Q.名誉毀損での逮捕はあまり聞かないですね)

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
「名誉毀損罪は不起訴や罰金刑になることも多く、逮捕せずに捜査する『在宅捜査』が通常。今回のように逮捕し、身柄拘束に至ったのは異例。2つの容疑のうち、竹内元県議が生きていた時に行われた名誉毀損については、発言が虚偽であることは明らかで、立証できる公算が大きい。一方、死者に対する名誉毀損での事件化は聞いたことがない。立証は簡単ではない。死者に対する名誉毀損罪は、発言内容が虚偽であると認識したうえでの発言でなければ成立しない。内心の立証が必要になる。立花容疑者が“真実だと思って発言した”と主張する可能性もあり、ハードルが高い」
立花容疑者

立花容疑者は自身が罪を犯したかどうかについて「生前もお亡くなりになった後も名誉毀損は認めるが、不起訴あるいは起訴されても無罪になると確信している」と述べています。

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士

なぜ、このタイミングでの逮捕となったのか。捜査関係者は「色々な事実を積み重ねて逃亡の恐れがあると認定した」としていますが、亀井弁護士は「立花容疑者の静岡県の伊東市長選への立候補も影響しているのではないか」と指摘します。

立花容疑者

そもそも2019年の参院選で初当選し、国政政党の党首となった立花容疑者ですが、わずか3カ月後に別の選挙に立候補したことで参議院議員を失職。その後は各地の選挙に立候補し、演説などでの発言が物議を醸してきました。そして来月に行われる伊東市長選への立候補を今月10日に正式に表明する予定でした。

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
「伊東市長選挙立候補の正式表明の前に逮捕したかったのではないか。仮に立候補となると、選挙活動の妨害と批判されることもある。もし市長に当選すると現役市長が相手となり、市政にも影響が及ぶので、避けたかったのでは。逮捕せず在宅捜査の場合、立花容疑者がSNS発信などで証人や遺族らにプレッシャーをかけて、捜査に支障をきたす恐れもあり、このタイミングでの逮捕・拘束に至ったのではないか」
広告