2010年、殺人罪などの公訴時効が撤廃されたが、命を奪われても殺人罪は適用されず、未解決のまま「時効」を迎えた被害者家族がいる。
群馬県富岡市で2013年5月、和食店店主の瀬下光さん(当時64歳)が営業後に帰宅途中、県道を渡ろうとした際にひき逃げに遭った。妻のとし子さんと息子の大樹さんは、突然大黒柱を失った。
大樹さんは「当たり前の生活をしていたのが急に変わっちゃうわけですから、心に傷が残りますよ。うちはいま時効を迎えましたけど、それでもすごい思い出しますからね、あの日のことを……」と語る。
2023年、ABEMA的ニュースショーはとし子さんと大樹さんに話を聞いていた。
「あの辺ですね、ひかれたのは」と、店のすぐそばの発生現場を指した大樹さん。とし子さんは「(道を)渡って目の前。警察の方が来たときに『ひき逃げですね』って。バラバラになって、靴がね」と振り返る。当時は防犯カメラもあまり普及しておらず、手がかりはほどんどない状態だという。
その後、犯人が判明しないまま、2023年5月30日に自動車運転過失致傷死罪の時効10年を迎えた。
とし子さんは「なんで時効があるの?って。本当、悔しいですよね。ずっとそれを心と背中に背負っていかなきゃならない」と憤る。大樹さんは「取材とかを受けて、少しでも犯人のところに届いてくれたらなって思って、毎回受けている」「さんざん苦しめられたぞって言いたい、犯人に」と訴え、とし子さんは「苦しみは消えない」と思いを吐露した。
26年目で逮捕に至った名古屋主婦殺人事件について、大樹さんは次のように話す。
「区切りって考えたら区切りになるんでしょうね。捕まったからって『良かった、良かった』とは思えないですけど、やっぱり被害者のほうは。悲しい思いをしているし、つらい思いをさんざんしてきてる。10年前だったり20年前だったりしたら、いまと違うじゃないですか。DNA鑑定とか科学捜査というんですか。そういうのが進化していけば検挙率も上がるだろうし、未解決だったりこれから起きる事件に影響を与えますよね。希望が持てますよね、被害者の方は」
(『ABEMA的ニュースショー』より)
