クマ被害は雪が降る北海道でも確認されています。12日朝、畑に現れた体長2メートルのヒグマがカボチャを食い荒らしました。今年は眠らないヒグマが増えているようです。
冬眠できないクマ なぜ急増?
暗闇に光る目。12日午前0時すぎの映像です。巨大な箱わなが仕掛けられた農園にヒグマが現れます。うろうろと徘徊(はいかい)。しばらくすると、姿が消えました。
収穫されたばかりのカボチャ。無残にも食い荒らされています。
北海道砂川市の農園。ヒグマによる食害の一部始終が、防犯カメラに記録されていました。
10日午後10時すぎ、農園に現れたヒグマ。口を開け、大きなカボチャをくわえます。
規格外のカボチャおよそ500キロを袋に入れていましたが、そのほとんどがヒグマに食べられてしまいました。
専門家の推定では、ヒグマは体長およそ2メートル。体重は100キロ以上。
近くの防犯カメラでは、1週間ほど前にも、同じ個体とみられるクマが撮影されていました。
被害を受け、地元の猟友会が11日、カボチャ畑に箱わなを設置。砂川市が注意を呼びかけています。
ところが午後7時ごろ、再びヒグマの姿が。箱わなに近づき、においをかいでいます。雪が降るなか、畑を歩き回ります。そして、再びカボチャをくわえます。
3日連続でカボチャ畑に現れたヒグマ。同一の個体とみられます。
すでに雪が降っている北海道。今年はヒグマの冬眠の時期が遅れる恐れがあると、専門家は警鐘を鳴らします。
「多くの個体は、通常の年だと十分に栄養を蓄積できて冬眠準備もOKとなるが、今年の北海道、東北地区は山の実りが非常に悪く、十分な餌(えさ)がとれずに脂肪が蓄積できていないので、餌のある場所を探してまだうろうろと歩き回っている」
3日連続で巨大ヒグマ出没「本当に非常事態」
北海道猟友会砂川支部では今年、16頭のヒグマを捕獲しています。
クマ対策にあたる猟友会が毎日、早朝から見回りをしています。
午前6時、周辺の気温は1.2℃と厳しい寒さです。まずは、車に積もった雪を落とします。砂川支部の池上治男支部長(76)です。
現在、箱わなを5個仕掛けていて、ヒグマがかかっているか現地で確認します。
「(Q.雪が降り始めてクマの動きは?)今のところはまだ積雪があって、巣穴がふさがる状態になるまでは分からない」
最初に向かったのは、クマの食害が出ている果樹園です。
「果樹園の箱わな作動していません」
「あれ?おかしい。餌(シカ肉)がなくなっている」
体にカメラを付けさせてもらい、猟友会の目線で記録します。
「あら?餌がなくなっている。おかしいこれは。餌がなくなっていてシャッターがおりていない。餌が持ち去られた。ヒグマかどうか分からないけど」
住宅地を抜けて、別の現場へ向かいます。すると、目の前を野生の動物が。
北海道に生息するキタキツネです。人に慣れているのでしょうか。近づいてきます。
「餌をやっているのか、まずいよな。全然、人を恐れていない。まいっちゃう。近くの人が猫の餌をやっていて(キツネが)2匹来ているらしい。ダメなんだよ、餌づけしたらダメ」
クマスプレーを持って向かうのは、12日もヒグマが現れたカボチャ畑です。箱わなの見回りでは、いつ、ヒグマに襲われるか分かりません。用心して進みます。
カボチャに執着するヒグマは、10日午後10時すぎ。そして11日午後7時ごろ。さらに12日午前0時すぎ。何度も現れます。
仕掛けた箱わなに、ヒグマはかかっているのでしょうか?
「2025年11月12日、カボチャの被害に遭った所です。ヒグマに食われた跡ですが。箱わなをかけているが、ご覧のように作動はしていません」
市街地でも相次ぐヒグマの出没。クマ対策の最前線にあたる猟友会は危機感を抱いています。
「非常事態。人間にとっては非常事態。こんなに人身被害があったということが全国一斉に起きてしまった」
いつ冬眠? “穴持たず”のクマ急増か
雪が降るなか、クマはいつ冬眠するのでしょうか?
専門家によりますと、通常、北海道のヒグマや東北のツキノワグマは11月下旬から12月上旬くらいに、冬眠に入る個体が多いといいます。
ところが、今年はなかなか冬眠に入らない、いわゆる“穴持たず”のクマが人里に現れ、被害が続く恐れが。
「今、餌が不足している地域では冬眠前に必要なエネルギーを蓄えるために一生懸命、必死に食べているし、必死に餌を探している。そういった地域では(クマが)見つけた餌があった場合、その餌を確保するために防衛的になる。餌を守るために近づいてくるものを排除しようとしたり、守ろうとしたり、そういう行動はとっている例はある。クマと出会う可能性を想定した行動をしてほしい。特に暗い時間帯、周りが見えない時間帯は外出を控える。十分に気を付けてほしい」













