雪が降る北海道に現れた巨大ヒグマ。カメラにはクマの驚異的なパワーが分かる「異様な行動」が映っていました。
再び秋田の美術館にクマ現る
雪が積もる北海道に現れたのは、体から蒸気が立ち上る巨大なヒグマです。
「推測するには400キロくらいあっても『それは違うよ』と言えない大きさ」
カメラは400キロ級ヒグマの驚きの行動を捉えていました。
一方、秋田でも…。
立ち止まってカメラを見つめます。秋田県仙北市、再びクマが美術館に現れました。
「前回に続き2回目。もしも同一個体なら餌(えさ)探しのルートになったかと危惧」
クマの生活圏と人の生活圏が重なり、危機感が高まっています。
警察官がライフル銃でクマ駆除へ
13日、秋田県では出動式が行われ、新たな対策が始動します。
「警察官がライフル銃を使用してクマを駆除する体制を構築するため、本日『クマ駆除対応プロジェクトチーム』を発足し、対応していく」
被害が大きい岩手県警と秋田県警には、他の都道府県の警察から機動隊の「銃器対策部隊」が派遣され、13日から警察官がライフル銃を使用してクマを駆除することが可能になります。
警察がクマの駆除へ。ハンターは何を思うのでしょうか?
12日もクマが現れた岩手県花巻市。
13日も地元のハンターが箱わなの確認に行くと、子グマとみられます。終わらないクマとの格闘、猟友会の疲労も日に日に色濃くなっています。
ハンター歴50年以上の菅実さん(74)。13日から始まる「警察官によるクマの駆除」について聞くと…。
「体制的には悪くはないと思う」
ただ、菅さんは技術とメンタル、“2つの壁”が立ちはだかると話します。
極限の状態で、冷静に技術を発揮できるかが問われています。
「一発で仕留める」気概が大事
13日も朝一番で箱わなの確認。
日々、ヒグマと対峙(たいじ)する、この人にも聞きました。北海道猟友会砂川支部の池上治男さん(76)です。
「最初はみんなやったことないんだから。でも、だんだん機会が増えることによって、ちゃんと経験を積んでいけるから、そういうことを心配することは私はないと思う」
「警察によるライフル銃での駆除」に期待を寄せる池上さんですが、池上さん自身は現在、銃を持たずにクマ出没の対応に奔走しています。
実は、池上さん、2018年にクマを駆除した際、建物の方向に発砲したとして、北海道の公安委員会に猟銃所持の許可を取り消されました。
池上さんは許可取り消しは不当だとして裁判を起こし、1審では勝訴しましたが、2審で敗訴。最高裁で争っている最中で、今も猟銃所持は認められていません。
だからこそ、9月から始まった「緊急銃猟」については…。
池上さんは命中しなかった弾が跳ね返る「跳弾」よりも、仕留めきれず、クマが手負いとなって暴れることを懸念。「一発で仕留める」という気概が大事だと話します。
巨大クマが箱わなを押し倒し
なにしろクマは、丸腰では到底敵わない相手です。箱わなの中、向きを変えるのも一苦労なほどの巨体。
300キロのヒグマも捕獲されている北海道の日本海側に位置する苫前町。「三毛別羆事件」で知られるクマとの因縁が深い町で生まれたハンターは12日、驚きの光景を目にしました。
積もった雪の上に設置された箱わなです。よく見ると、横に倒れています。
「これはヒグマ。住宅のすぐ裏を徘徊(はいかい)していた話があり、役場と協議して箱わなをかけた」
監視カメラには、その異常事態の一部始終が映っていました。11日午後6時すぎ、粉雪に覆われた体からは白く蒸気が上がっています。現れたのは、まるまると太ったヒグマです。
画角に収まりきらないほどのお尻には、たっぷりと脂肪が蓄えられているのが分かります。
そして時刻は進み、日付が変わったころ、雪がしんしんと降り積もる中で、ヒグマは異様な行動に出ます。
体重を乗せ、右へ、左へ…。両脇に打ち込まれた杭もなんのその…押し倒してしまいました。
さらに、倒した後も滑る雪の上で押し出すように重さ300キロ以上の箱わなに執着するヒグマ。中に仕掛けられたシカ肉を狙っていたとみられます。
普段から体を鍛えている自衛隊の隊員が6人がかり。やっとの思いで運ぶような箱わなを、いとも簡単に倒してしまうほどの圧倒的なパワー。この巨大なヒグマを見て、ハンター林さんの脳裏には、あるヒグマの存在がよぎったといいます。
9月に撮影された推定400キロ級のヒグマです。おなかの肉の揺れ…。同じ個体かは定かではありませんが、脂肪の付き方が10キロ近く離れた場所に現れた400キロ級ヒグマと似たような体型です。
雪が積もっても現れる400キロ級のヒグマ。映像を見ただけでも、その驚異的なパワーや頭の良さがうかがえます。
もはや、いつ冬眠するのかも分からないヒグマたちと格闘の日々を送る林さんは、警察がクマの駆除に乗り出す状況に…。
















