社会

ABEMA NEWS

2025年11月14日 11:30

クマ駆除で警察官がライフル使用へ ハンターは懸念「野生動物を撃つ訓練をしていないお巡りさんが撃ってどうにかなるものではない」

クマ駆除で警察官がライフル使用へ ハンターは懸念「野生動物を撃つ訓練をしていないお巡りさんが撃ってどうにかなるものではない」
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 全国でクマ被害が相次ぐ中、警察官によるライフル銃を使った駆除が可能になった。         

【映像】クマが檻の中でとった“意外な行動”(動画あり)

 警察庁は国家公安委員会規則を改正し、これまでハイジャックなどの鎮圧にのみ認められていた警察官のライフル銃の使用を、クマ駆除にも使えるようにした。普段所持している主に38口径の拳銃では、クマに太刀打ちできないとされるためだ。

 しかし、これに対し元警察官でハンターの伊藤嘉晃氏は懸念を示す。「鉄砲では難しいと思っている。一般の警察官が持っている拳銃は、犯人を制圧するための道具。僕らが警察官時代、最初は10メートルとかで訓練していた。それでもなかなか当てられない」

「野生動物の脳みそがどの頭蓋骨の位置にあるかとか、正確に動いているものに対して当てるのは、相当な技術が必要。野生動物を撃つ訓練をしていないお巡りさんが、いきなりパッパッと向かっていってパンパン撃ってどうにかなるというものではないのは間違いない」(猿田彦ファーム株式会社 代表取締役・猟師の伊藤氏)

 伊藤氏らがシカやイノシシなどを狩猟する時でも使用するのは散弾銃だ。というのも、ライフル銃は散弾銃を所持してから原則10年経過しないと持つことができないためだ。しかも、警察によって地区ごとのライフル所持者の人数も割り当てられている。つまり、それだけ殺傷能力が高いということだ。また、拳銃の弾丸と比べると直径こそ逆に小さいが、火薬の量などから殺傷能力は比較にならない。

「銃身の中にライフリングという溝が切ってあって、そこを弾がぐぐぐっと来る力で押し出されると回転がかかる。貫通力がすごくある弾になる。弾道も真っ直ぐ飛ぶという状況になるので、当たった時の貫通力が非常に高いので、クマの頭蓋骨に当たってもちゃんと中に届くというか、刺さるという感じになる。機動隊で銃器の対策部隊ですとか、ライフル銃を元々使っている、犯人を狙撃するための部隊にいる方とかは、(狩猟に)近い位置にいると思う」(伊藤氏)

 伊藤氏は今まで害獣駆除を民間の猟友会に全て委託し、民間人である猟友会の後ろに警察がいることに違和感を覚えていたという。

「僕らも警察学校で散々教えられた。警察官の任務というのは、個人の生命、身体、財産を保護するのだと。まさに今、国民の命っていうのが、野生動物に危機に晒されている状況にあると。そういった時に、警察官が積極的に関わるべきなのではないか。逆にそれ以外の方法なんかあるのか」(伊藤氏)

 さらに、「公務員ハンター」の募集が行われているという。公務員ハンターとは、ガバメントハンターとも呼ばれる猟銃免許などを持つ専門職員のことだ。秋田市では、猟友会への日当を倍増するほか、公務員ハンターも今後採用する方針を発表した。

 これについて北海道猟友会 砂川支部長の池上治男氏は、クマと対峙し駆除するためには求められるスキルがあると語る。

「命中するということ。命中というのは、命の真ん中と書いて命中ですから、確実に1発で仕留められるスキルを持てば女性男性関係ない。ただし、やっぱり心の問題、鍛錬というか肝が据わっていないとできない」

 その理由はただひとつ。「(人間を)食べ物として襲ってくること。やっぱり人間を見たら襲ってくる」(池上氏)

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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