クマによる影響が広がり続けています。被害が相次ぐなか、海を渡るクマの姿が撮影されました。
車めがけ衝突 海を泳ぐ姿も
午前5時、富山県砺波市内を走る車。すると、左の茂みが揺れた直後、飛び出してきたのは一頭のクマでした。車はよけきれず、衝突しました。
「会社に向かっているときに、いきなりクマが左から来て…左側のこの部分ですね」
クマがぶつかったのは左前方部分。バンパーは破損しています。
「びっくり。初めてクマを見たが、こんなに近くにいるのかと。本当に思ってなかった。まさか自分がクマとぶつかるなんて」
運転手はクマが追ってくるのが怖くて、その場から離れて通報したといいます。警察などが周辺を捜索していましたが、クマは見つかっていません。
砺波市内では今週に入り、緊急銃猟によってクマが駆除されています。市は「クマが市内のどこに出没してもおかしくない状況」だとして、注意を呼び掛けていました。
クマが現れるのは陸地だけではありません。
水面から顔を出すツキノワグマ。ここは青森県の陸奥湾。海を泳ぐクマをホタテ漁師が目撃しました。
「近くに行くと本当にクマが泳いでいて『えっ!?』という感じ。見た瞬間ドラム缶みたい。泳いでいるというより、もがいている感じ。ちょっとずつ進んでいる感じだった。(クマは)山手のイメージで真剣に考えたこともないが、まさか海にいるなんてびっくり」
クマは陸に向かって泳いでいたといいます。
町によると、陸に上がると被害が出る恐れがあることから、猟友会が船で現場に向かい海上で駆除したということです。
クマ活発化 政府対応は?
各地でクマの出没が相次ぐなか、開かれた関係閣僚会議。
「国民の命と暮らしを守るため、関係省庁が連携して取り組む総合的な対策パッケージを取りまとめました」
政府は「生活圏からのクマの排除」を掲げ、「人とクマのすみ分け」を目指す対策パッケージを取りまとめました。柱の1つがクマに対応できる人材を確保することです。
緊急的な対応として、13日から可能となった警察によるライフル銃を使ったクマの駆除に加えて、新たに警察や自衛隊のOBに狩猟免許の取得を促すなどの協力を要請していきます。
さらに、狩猟免許を持ち専門知識がある自治体職員「ガバメントハンター」の人件費を支援していくことも盛り込まれています。今後はガバメントハンターの育成も進めていくとしています。
「今後クマの通常の冬眠期間に入った後もなお、クマの人里への出没が懸念される状況を鑑み、引き続き強い緊張感を持って対策に取り組んでください」
紅葉シーズン 安全対策は?
各地で出没が増えるクマへの不安は観光地にも広がっています。秩父山系の関門に位置する埼玉県の長瀞町では、現在、長瀞紅葉まつりが開催中です。
標高497メートルの宝登山にかかる宝登山ロープウェーで山頂へ。
山からの景色を一望できるテラスでは、多くの人が紅葉を楽しんでいます。14日はいつも以上に観光客の姿がありました。
「学校が県民の日でお休み」
「(Q.きょうは県民の日)そうなんです。埼玉県民の日なので」
埼玉県民が多く訪れる、埼玉県が誇る紅葉は、見頃のピークを迎えています。日常を忘れさせてくれるような絶景ですが、頭の片隅には。
「クマが少なそうな所を選んで」
確かに、山の中腹付近では先月、クマのものと思われる痕跡が発見されています。ただ、それは例年も同じです。
「(クマの)痕跡情報は上がっているが、最近は目撃情報がない地域なので、長瀞に遊びに来ていただけたら」
長瀞の周辺では祭りの期間中、夜空に浮かぶ真っ赤なもみじも楽しめます。
山梨県の富士河口湖町でも紅葉まつりの真っただ中。紅葉が見頃を迎え、国内外問わず多くの観光客がもみじ狩りを楽しんでいます。
快晴の空の下、見事に引き立つ暖色の色彩。
「燃え上がるよう、色が」
「きょうは本当に盛りで、本当に久しぶりにきれいな紅葉」
「素晴らしかったですね」
ただ、ここでもやはり。時折、クマ鈴の音が聞こえてきます。
「一応お守りがわりにつけている」
「外でワンちゃんが襲われたニュースがあって、備えで持っておいて損はないと(クマ鈴を)用意しました」
ただ今年、まつり会場の付近には、クマ出没の情報はありません。それでも主催者は。
「ここにクマスプレー」
少しでも観光客の不安を和らげようと、万が一に備え、クマスプレーを準備。
「楽しむということは『不安がない』ということだと思うので、その不安を一つずつ取り除いていければと思っている」












