保育施設などを手掛けるNPO法人「フローレンス」。行政の補助金が使われた建物に対し、原則禁止されている手続きで5000万円の借金をしていたことが分かりました。
保育施設を担保“違法状態”
東京・渋谷区にある保育施設「おやこ基地シブヤ」。2017年に建てられた保育施設ですが、当時、渋谷区は待機児童問題を抱えていました。それを解消する目的の一つとして建てられたといいます。
施設には定員30人の保育所と小児科病院も併設され、外来患者も対応しています。
認定NPO法人のフローレンスが所有するこの施設。そのフローレンスが12日、公式ホームページで謝罪する事態となりました。
謝罪の原因は、この施設の登記簿にありました。開所から2カ月後、銀行から5000万円を借りています。問題となっているのは、この文字「根抵当権」です。
建物を担保にして金融機関から借入れをする際、「抵当権」と「根抵当権」の2つの担保の設定があります。渋谷区の担当者はこう説明します。
「『根抵当権』の場合なんですが、その不動産の価値の上限額まで借りたり返したりを何回もできる。その使用先についても、不動産以外の事業目的としても借り入れができるっていうところが大きな問題」
保育施設は国と区の補助金で建てられているため、「抵当権」で借りた金は本来、保育事業にしか使うことができません。
一方、「根抵当権」であれば保育以外の事業にも使うことができるうえ、貸し借りが何度でもできます。
「区の方に事業者の方からは抵当権を設定したいという申し出があって、区の方としてもそれを承認したところです。ただ結果として抵当権ではなく、根抵当権が設定されていたのが事実でございます」
補助金で建てたものを担保に金を借りるためには、事前に行政の承認が必要です。
池田康太郎弁護士
「補助金で作った建物の処分とかも含めて、一律禁止されている。今回『抵当権』で承諾を得たにもかかわらず『根抵当権』をつけているというのは、違法状態にあるということ」
渋谷区は2017年当時の担当者に聞き取りを行い、原因究明を進めています。
NPO法人 根抵当権外す手続きへ
フローレンスは14日、番組の取材に応じ、経緯を説明しました。
「『根抵当権』と『抵当権』が全く性質の異なる物であるということを十分に理解していなかったという認識でおります」
事実上、無許可で建物を担保に回していたフローレンス。借り入れた5000万円は…。
「ほとんどが建物の建設のために事業負担分として支払う部分に使っている。一部、例えば保育園を開設するために事前に人を採用して、育成しておくみたいなことも必要なんですけども。そういう人件費などに借りた金を使ったというところはある」
フローレンスは、すでに借り入れた金を金融機関に一括返済をする手続きを始めているといいます。そのうえで、根抵当権を外す手続きをするということです。
「本当に深く反省をしている。本当に組織の至らなかったところだと思う」
8年前、なぜ抵当権を根抵当権として設定したのか。当時の担当者に聞き取り調査を進めているということです。
(「グッド!モーニング」2025年11月15日放送分より)







