社会

ABEMA NEWS

2025年11月16日 11:00

超レア品は5億円で取り引きも…今やトレカは投資対象?売買で年3000万円を稼ぐ当事者「完全に投資目的。プレーはできない」「鑑賞して眺める絵画のようなもの」

超レア品は5億円で取り引きも…今やトレカは投資対象?売買で年3000万円を稼ぐ当事者「完全に投資目的。プレーはできない」「鑑賞して眺める絵画のようなもの」
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 高額なトレーディングカード(トレカ)を狙った窃盗事件が相次いでいる。3日、東京・池袋のカードショップがSNSで窃盗被害に遭ったと投稿。倉庫に保管していた高額商品をすべて盗まれ、合計1000点以上、被害総額は2000万円以上に及んだ。被害は首都圏に留まらず、地方のカードショップが複数犯に狙われ、盗まれた高額カードが都心の別店舗、さらには海外で転売され、取り戻すこともできない状態になっている。

【映像】高額ポケカ、盗難被害の現場(実際の様子)

 トレカの窃盗事件が増える理由には、トレカの価値そのものが高騰している背景がある。ポケモンカード(ポケカ)を専門に売買をしているレ坊さんは、最高で年3000万円ほどの利益を出したことがある。「完全に投資目的。プレーはできない」と、ゲームではなく投資対象としており、むしろ日本でもバブル期に高額で取り引きされた「絵画のようなもの」だともいう。世界的にも希少なカードには5億円を超える値がついたこともあるポケカのマーケットや、今後の展開について「ABEMA Prime」ではレ坊さんとともに考えた。

■高額カードは世界的なオークションにも出品

高額のポケカも

 今や大規模な窃盗グループのターゲットにされるまで価値が高まったといわれるトレカ。現在でもカードショップはプレーヤーが売買だけでなく、実際にプレーする場にもなっており、テナントの1階に入るケースも多かった。ただこれが窃盗する側にすれば好都合。セキュリティレベルの低さを突いて店内に侵入し、ガラスのショーケースなどを破壊して高額カードを狙って盗んでいく事件が相次いでいる。ポケカでは昨年9月、世界に39枚しかないレアカード(ポケモンイラストレーター)が世界的有名なオークション・サザビーズに出品され、36万ドル(約5160万円)で落札。同名のカードは2021年、527万5000ドル(約5.8億円)で取り引きされ、「最も高額なポケカ」としてギネス記録にもなった。

 ポケカの価値に目をつけたレ坊さんは、商品を安く仕入れて高く売ることで差額の利益を得る「せどり」という手法で、どんどんと収益を増やしていった。「時代の流れで、オンラインの個人間やり取りがすごく活発になっている。スマホやメルカリで簡単に売買できる。またPSA(アメリカのカード鑑定会社)による鑑定で信用がついたり、パックを開封するショート動画をいろいろな人が見たりして、ポケカブームが一気に広まり、価値も上がっている」と説明した。

 カードゲームともなれば、ゲームに勝つために強いカード、もしくは新しいバージョンに対応した新カードに価値があると思われがちだが、実際の市場はあくまで「レア度」で値がついている。「生産されなくなる、プレーで使えなくなると価値が下がると思われがちだが、実はそうではない。公式が販売しなくなるとそこでコレクション性、希少性が上がってさらに価値が上がる」。レ坊さん自身、今後価値が上がることを見越して大量のカードを仕入れており、その額は「数千万円にはなる」とも語る。

 高額カードを自宅に大量に保管しているのではなく、これらもPSAに依頼すれば「資産管理」として保管してくれるという。「私は今35歳だが、将来を見据えた時に積立NISAなど、資産運用をすべきか迷うことが多かった。その中でポケカは買って置いておけるし、絵画のように眺めてもいられる。そんな資産運用の一つとして選ばれてもいる」と投資対象として、マーケットが成立している事情を語った。

■ポケカ「ハッピーセット」で物議も、関係者にはビッグチャンスだった

ポケカ投資

 ポケカは1パック5枚入り180円で販売されているが、レ坊さんは直接このパックは購入しない。各地のカードショップなどを巡っては、現在の相場より安いもの、将来的に値が上がりそうなものを購入しては、それよりも高い価格で売ることを繰り返す。仕入れでは「(ショップに)1回行くと、最低でも10万円以上は使って帰る」が、レ坊さんはゲームとしては全く遊ばない。「買っているのはポケカだけだが、完全に投資目的なので、プレーできない」。

 ただしマーケット内で、そのカードがいくらなのかという情報は把握している。「だいたい暗記している。1000から3000(種類)はわかる」とし、また「知識もあるが、値動きがグラフでわかるサイトもあるので、常に確認できる状態だ」と、リアルタイムで相場をチェックするあたり、他の投資対象となんら変わりがない。

 これだけ価格が高騰しているのは、市場が国内にとどまらず海外にも広がっているからだ。カードショップのオーナーによれば、海外からのインバウンド客が日本でショップを訪れると、相場の2倍や3倍でも気にせず購入していくという。

 またマクドナルドの「ハッピーセット」でポケカが配布され、買い占めやハンバーガーなどが廃棄されて物議を醸した時も、市場関係者からすれば“ビッグチャンス”だったと語る。「ハッピーセットの『おまけ』だからと、最初の方は(1パック)500円や1000円で取り引きされて安かった。その間に数百万円分くらい買い占めたが、それが一時は1パック8000円ぐらいまで値上がりし、今は4000円ぐらいに落ち着いている。これも海外では、同じイラストのものが出ていないから、すごく欲しがられる」と、海外での需要が価格に直結していると述べた。

 今後もポケカのマーケットは続いていくのか。「本当に次のゴールドだと思っている。(2021年の)25周年がすごく盛り上がり、今以上にカードが買えない状態だった。来年は30周年なので、すごく盛り上がっていく。ポケモンというコンテンツが人気であり続く限りは(マーケットも)続いていくと思う」。

 幅広い年齢層に受け入れられていることにも、市場が今後も続く手応えを感じている。「ゲームも新しいものが出る度に、過去最高で売れていて、これは若い層に受けている。またポケモン世代と言われる人の年齢も上に行ってお金を使う。日本のポケカ人口は減るが、世界の人口はずっと増えていく。その安心感があるので、結構お金を注ぎ込んでいる」と、将来性も見据えた上での投資だと述べていた。 (『ABEMA Prime』より)

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