この週末も全国でクマの被害が相次ぎました。16日、秋田県鹿角市で田んぼでクマに襲われた可能性がある女性の遺体が見つかりました。そして能代市では、営業中のイオンにクマが侵入しました。
車へ巨体クマ 現場は住宅密集地
車道を歩く1頭のクマ。冬の訪れとともに脂肪を蓄え丸々と太っています。周りを警戒する様子もなく、堂々と車の横を通り過ぎていきます。
16日、秋田市で車の中から撮影された映像です。
投稿者はクマを刺激しないよう車を停車させ、無事やり過ごすことができたといいます。
クマが出没した場所のすぐ横には住宅があり、周囲は密集した住宅地が広がっています。撮影者によると、その後クマの行方は分かっていないといいます。
イオンにクマ 売り場に居座り
冬眠の時期を前に、各地で増えるクマの出没。駅からほど近い街の中心部にもクマが出没しました。駐車場の入り口を封鎖する警察官ら、中には盾を持った人もいます。
16日、能代市内にあるイオン能代店にクマ1頭が侵入し、店内の売り場に居座りました。
警察などによると、午前11時20分ごろ、イオン能代店の従業員から「クマが店に入ってきた」と通報がありました。
体長80センチほどのクマは1階の北口から侵入したとみられ、そのままフロアの端にある寝具売り場付近に居座り続けました。
その後、駆け付けた県の自然保護課の職員らが吹き矢の麻酔で眠らせ、午後2時前に駆除されました。
イオン能代店は市内の住宅が密集している場所にあり、近くには市役所や高校などもあります。幸い客や従業員は避難していたため、けが人はいませんでした。
この時期なぜ街の中心部にクマが出没したのでしょうか?
「雑木林・公園とかイオンの周りにも緑が多い所があるので、そういった所を飛び飛びに歩きながら、かなりテンパってイオンに入っちゃった。そういうパターンだと思います」
一方、秋田県鹿角市では、田んぼで身元不明の女性の遺体が見つかりました。遺体には動物にかまれたような傷などがあり、警察はクマに襲われた可能性もあるとみて調べています。
全国ではクマによる死亡事故が今月5日時点で13人に上り、過去最多を大幅に更新しています。
果樹園に巨体クマ 人里出没のワケ
岩手県でもクマが出没しました。真っ黒な巨体を揺らし、ゆっくりとした足取りで現れたクマ。同じ個体と思われるクマはその前の日にも出没していました。
木に前足をかけて立ち上がり、収穫前のリンゴを口にくわえたクマ。周囲を気にする様子もなく、さらに木に登り、リンゴを取る様子も映っていました。
このリンゴ園付近では、数日前から頻繁にクマが目撃されています。
「11月の3日か4日あたりから(クマの)糞がありまして。やっぱりリンゴ食われてんだなっていうことに気がついて、それが毎日のように続いて」
クマが現れたのは、盛岡駅から北に3キロほどの地点。周辺には学校や保育園もある住宅街です。
「(Q.小さいお子さんがいると怖いですよね?)そうですね、あんまり外でも公園でも遊ばせられないので」
危険と判断し、スタッフが警察に通報。パトカーが駆け付けました。
「この付近にクマがいます。屋外にいる方、速やかに屋内に避難してください」
1時間ほど居座ったクマは、やがて藪(やぶ)の中へ消えていきました。
そして、16日に再び姿を現した巨大なクマ。わなの周囲をうろつきますが、中へ入ろうとしません。すると突然、走り始め逃げました。
駆け付けた警察車両に驚いたのかその後、クマは姿を見せませんでした。
16日の盛岡市の最低気温はマイナス1.3℃。なぜクマはこの時期になっても果樹園などに出没するのでしょうか?
「今年秋の餌(えさ)が(山に)非常に少ないので、いわゆるドングリとかブナの実とかですね。人里に依存している個体は、本当に食べるのに困っているので。農作物にアクセスできる所があれば、そこに行って食べるという状況ですね。実際に2年前のブナの凶作の時にも、12月暮れもしくは1月になっても子グマがスーパーの中に入ってきた」
カキの木にクマ 人里依存の実態
人里に依存したクマが今、各地で餌を求めて出没しています。
クマの目撃情報があった能代市の現場近くでは、クマを警戒しているのでしょうか、パトカーが止まっています。
クマがカキの木に登っていて、カキを食べていました。クマは木の上で手を伸ばし、次から次へと柿を食べ続けます。
周りには住宅もありますが、人は誰も歩いていません。住宅のかなり近くでカキを食べているクマが確認できました。
その後、木の上で眠ってしまいました。
住宅街出没 ワナかかったクマ
宮城県仙台市では…。
「カキの木を壊してたんでしょう。やせてるんですよね、クマ自体。だから多分、食い物がないんじゃないですかね」
クマがいるのは、仙台駅から車でおよそ15分の場所に位置する住宅地のカキの木です。体長は1メートルを超え、時折鋭いキバを見せます。
民家の敷地内にある木に登ったとみられるクマで。手が引っかかってしまったようで、降りられない状態になっています。住人が仕掛けたイノシシ用のわなにかかり動けなくなっていました。
しかし、人が近づくと暴れ出すクマ。腕を引っ張り、力づくでわなから逃れようとします。それでも木の上に登ったところで、麻酔銃を発射しました。
通報から駆除までにかかった時間はおよそ6時間。長時間の緊張状態が続きました。
「(Q.お気持ち的に一安心か?)ありますね。おっかない感じだから、良かったと思います」
人里に依存するクマの危険な状況はいつまで続くのでしょうか?
「どんどん寒くなってきて、農作物もなくなってくるので。だんだん里に近い、今であればカキの実ですけれども、そういったものにかなり依存し始めるので。だから余計人の目につきやすくなって、場合によっては人身被害も起きやすい」
クマ出没で観光地異変 客も厳戒
各地でクマの出没が相次ぐなか、観光地を訪れる人たちにも変化が起きていました。
東京・高尾山の麓には、紅葉シーズンとあってすでに多くの人が詰めかけています。例年、多くの登山客でにぎわう紅葉スポットですが、クマよけの鈴を付けて登山する人たちがあちこちにいました。
東京都がクマが目撃された場所を公開している「TOKYOくまっぷ」を見ると、先月、高尾山周辺でもクマの目撃情報が1件ありました。
「ちょっと怖い。山はちょっと我慢しています。高尾山だけ人が多いので、安全かなと思って来たので」
「付いていますね、鈴は。常に山登る時は付けているので一応」
家族で山梨から来たという人はこう話します。
クマ対策は他にもしています。
「本当、出合わないことを願うしかないですけど」
一方、高尾山の麓にある土産店では…。
「去年ぐらいからね、クマ対策っていうの。クマ鈴って言い出したね。去年ぐらいからですよ」
「(一日に)15個は絶対出ているわね。15個は最低出ているわね」
高尾山ビジターセンターではクマに関する問い合わせが相次いでいるといい、「TOKYOくまっぷ」の確認を勧めるなど注意を呼びかけているということです。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年11月17日放送分より)






















