重さ300キロを超える箱わなを押し倒す巨大なヒグマ。北海道では冬眠の時期が近づいてきていても、ヒグマの被害が相次いでいます。ハンターたちが対応に追われています。
巨大ヒグマ“400kg級”驚きの行動
雪が積もる中、現れたのはヒグマです。積もった雪の下から餌(えさ)を探すようなしぐさも見せます。
その後、カメラの間近に姿を見せたヒグマ。その丸々と太った体は粉雪で覆われています。
日付が変わった深夜1時ごろ、カメラに捉えられていたのはヒグマの異様な行動でした。
雪がしんしんと降り積もる中、箱わなを動かそうとするヒグマ。1度倒した箱わなを今度は左側に回り込み、倒した後もヒグマは押し出すように重さ300キロ以上の箱わなに執着。中に仕掛けられたシカ肉を狙っていたとみられます。
夜が明けると、積もった雪の上に設置された箱わなは倒れたままになっていました。
「(箱わなを)かけた次の日に、もうひっくり返されていたので。やられたなという感じ」
普段から体を鍛えている自衛隊の隊員が6人がかり。やっとの思いで運ぶような箱わなを、いとも簡単に倒すほどの圧倒的なパワー。この巨大なヒグマを見て、ハンター林さんの脳裏には、あるヒグマの存在がよぎったといいます。
9月に撮影された推定400キロ級のヒグマです。このおなかの肉の揺れ。同じ個体かは定かではありませんが、脂肪の付き方が400キロ級のヒグマと似ています。
この巨大なヒグマ。そのサイズや驚異的なパワーに驚かされるだけでなく、頭の良さもうかがえるといいます。
日本最大の陸上動物 破壊力と速さ
日本に生息するクマは、ヒグマとツキノワグマの2種類です。
「ヒグマは北海道だけに今暮らしていて、ツキノワグマは本州と四国にだけ暮らしてます」
北海道だけに生息するヒグマのオスの体重は通常100〜250キロ、体長は150〜200センチほど。体重・体長ともにツキノワグマよりも大きく、陸上動物で日本最大です。
過去には規格外のヒグマもいました。つり下げられた巨体は体重400キロ、体長2.7メートルに達していました。
ウシ66頭を襲い、農家を震撼させたヒグマ「OSO18」。立ち上がった時の大きさは2メートルを超えると推定されています。
うなり声を上げ、箱わなの中で激しく暴れているヒグマ。先月、捕獲されたものは体重300キロもありました。
さらに体格だけではなく、パワーとスピードも兼ね備えています。
低い姿勢で一気に軽トラックと距離を詰めたヒグマは一撃でワイパーを破壊し、次の一撃でフロントガラスを割りました。
「かなり速いと思いますね」
「(Q.時速50キロほど?)それぐらいは出ると思いますね」
「走っている車とぶつかれば、車はもちろん壊れてしまうぐらいでしょうし、例えば直径10センチかそこらの木だったら、簡単にへし折ることができる力があります」
76歳のヒグマハンター わな見回りで…
17日の北海道苫前町付近では、氷点下の冷え込みになりました。
ヒグマと対峙し続けているのは、苫前町猟友会の林さんです。
「(Q.いつぐらい?)2日程度前」
「(Q.付近にはいる?)もう確実にいますね」
ハンター歴49年、これまで20頭以上のヒグマを捕獲してきた林さん。今年は8月末に箱わなを設置以降、ほぼ毎日1人で見回りを行っています。
道路にクマの痕跡が残っていた場所の近くに設置した箱わなに向かいます。
箱わなには、ヒグマではなくキツネとタヌキが一緒に捕獲されていました。念のため、設置しているカメラも確認しました。
去年捕獲したヒグマの数は0でしたが、今年はすでに6頭のヒグマを捕獲する異例の事態。17日はヒグマの目撃情報が寄せられていた場所を重点的におよそ1時間半かけて見回りました。
例年であれば12月の初旬ごろには、冬眠するというヒグマ。林さんは今年の異常な出没状況に体力的に疲れを感じているといいます。
長年ともにしてきた妻・喜美子さんはこう話します。
雪でもヒグマ徘徊 カボチャ物色の姿
砂川市では収穫されたばかりの農作物がヒグマの被害に遭いました。
午後10時ごろ農園に現れたヒグマ。カボチャをくわえながら、面にあるもう一つのカボチャを器用に転がしています。
くわえていたカボチャを地面に置くと、もう一つのカボチャをくわえ直し、雪が降る中、画面奥にゆっくり歩いていきます。
その後、再び戻ってきたヒグマはカボチャを物色し始めると、口にくわえて茂みのほうへ持っていきます。
この農園では規格外のカボチャおよそ500キロを袋に入れていましたが、そのほとんどをヒグマに食べられてしまいました。
翌日、地元の猟友会はカボチャ畑に箱わなを設置します。
およそ6時間後、再びヒグマの姿がありました。箱わなに近づき、中をうかがうような様子が映っていました。
その後も雪が降る中、畑を歩き回ると、再びカボチャをくわえ茂みの方へ。降りつける雪が強くなるのもお構いなし、カボチャを物色します。この日は深夜までうろうろと徘徊(はいかい)を続けました。
専門家によると、連日カボチャを物色したヒグマは同一個体の可能性があり、推定で体長およそ2メートル。体重は100キロ以上だといいます。
「一日に何回も」疲弊 ヒグマ冬眠は?
16日に霜が下り、冷え込んだ砂川市。今年すでに15頭のヒグマを捕獲している北海道猟友会砂川支部。ほぼ毎日、日の出前から見回りをしています。
池上治男支部長(76)は、「歩いている人が多いんだよ。だけど、ヒグマが出るようになってから(散歩する人は)全然いなくなった」と話します。
例年は箱わなを3カ所設置していましたが、今年は6カ所に増設。ヒグマがかかっているか、現地に向かいます。
箱わなの近くにいたのは、野生のキツネでした。
「(Q.餌をヒグマに取られた?)そうです。取られたんです。ヒグマが入っても、(扉が降りる)その“踏み板”さえ踏まなければ良いので、だから首を伸ばして(餌だけ)取っちゃう」
去年、砂川支部で捕獲したクマは2頭でしたが、今年はすでに16頭に。冬眠時期は近づいているものの、まだまだヒグマの出没は減っていません。
「(Q.一日に何回も呼ばれることは今までにない?)あまりないね。砂川の場合はとにかく、一日何回も異常なくらいに。しかも街中、本当の街中。なかなかしんしんとした雪の降り積もりがあるまでは(ヒグマ出没は)まだ続くでしょ、これは…」
■家すぐ近くにヒグマ足跡「怖い…」
ヒグマの被害を警戒するのは札幌市内でも…。
「バス停で待つと、クマが立っていたら嫌だから、タクシーの中まで入ってきてもらって」
「(Q.ここの家の前にベタ付けしてもらう?)ここ来て、降りて」
「早朝ですとか夜遅くなってからは、あまり出歩かないようにして」
「(Q.お子さんもなるべく中で?)(5歳の娘は)家の中で遊ばせるようにはしています」
札幌市ではSNSでヒグマの出没情報を配信。毎日のように情報が入ってくるといいます。
「毎日のように近くで出没注意ということで、LINE情報は来ていますね」
「本当にうちからもう徒歩1、2分の所でも足跡があるので、だから怖いですよ。早く冬眠してほしいです」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年11月18日放送分より)




























