社会

報道ステーション

2025年11月20日 01:31

一夜明けても鎮圧至らず…170棟以上が延焼 大分・大規模火災で1人死亡

一夜明けても鎮圧至らず…170棟以上が延焼 大分・大規模火災で1人死亡
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大分・佐賀関を襲った大規模火災から一夜明け170棟以上に延焼、1人の死亡が確認されました。火災の鎮圧にはまだ至っていません。

港町が一変 なぜここまで拡大

いまだ鎮圧・鎮火にいたっていない大規模火災。被害の状況が分かってきました。延焼したのは170棟以上。50代の女性が煙を吸って病院に搬送されました。また、焼け跡から性別不明の1人が心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。見つかった場所は火災発生直後から行方不明になっている稲垣清さん(76)の自宅だったため、警察は、遺体が稲垣さんの可能性が高いとして身元を確認しています。

風が入江で収束して強まった可能性

港から1.5キロ近く離れた無人島からもくすぶる煙。火災発生時刻からの風の動きをみてみると、北西方向から現場に向かって吹きつけているのが分かります。無人島があるのはまさにその風が流れた先。北西の風は4時間以上、ほぼ断続的に吹いていたため、その間に飛び火したとみられます。この風は、海からの吹き込み口となった入り江が山に挟まれていることで、収束して強まった可能性もあります。

火元とみられる場所

また、火元とみられる住宅の周辺には建物が集中していました。19日午前10時ごろに撮影された写真を見ると、現場の家々を隔てるのが細い路地だけであることが分かります。

避難住民
避難住民
(Q.火の手はものすごかった)
「ものすごかったですね。燃えだしたら1軒燃え落ちるのに10分かからないぐらい。すごい風の勢いもあったのかもしれないですけど、かなり早く燃えましたね」
(Q.建物があっという間に)
「そうですね」
焼失面積

現在までに判明している焼失面積は約4万8900平方メートル。東京ドームひとつ分を上回るほどです。炎は夜も上がり続けていました。住宅があった場所や港の近くまで。街中が炎に包まれました。

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家を失い…現在も100人以上避難

街の人の生活は、一晩で大きく変わりました。

家を焼失した男性
家を焼失した男性
「(家は)もう焼けてないです。車で寝るしかない」
(Q.避難所には行けない事情が?)
「動物を飼っているので、色々トラブルが。今までの震災でもあったでしょう。動物を飼っている人はまだそこにいるんです」
近くに住む漁師
近くに住む漁師
(Q.火災を見ましたか)
「見ていました。火の手の近くにいた人から聞いたが、最初はバケツで水をかけていた。でも間に合わないとなって、消防が来て任せたって」
(Q.漁に影響は出そうですか)
「漁具をつくる大工がいるので、そこの家が燃えていたら影響が出るかもしれない」
避難人数

避難を余儀なくされる人も。火災の現場から1キロ弱の所にある佐賀関市民センターは緊急の避難所となり、最大で125世帯、188人が身を寄せました。午後7時時点で111人が身を寄せています。

自宅が被害に遭った 渡邊榮子さん(88)
自宅が被害に遭った 渡邊榮子さん(88)
「興奮して。燃える姿を見たので。体が震えて寝られませんでした」
(Q.自宅はどうなりましたか)
「人の話とか航空写真を見て、ダメということで。家がなくなったら小さいプレハブでも建てて、私1人でどうにかやっていきたい。やはり今までの生活がいいなと。子どもも色々してくれるけど、やはり自分の生活がいい」

行方が分からなくなっている稲垣さんを知る人に話を聞くことができました。稲垣さんは1人で暮らしていたといいます。

行方不明の稲垣さんを知る人
行方不明の稲垣さんを知る人
「月曜日に近所の人と外で話をしていたら、両脇を抱えられながら帰ってきた。次の日、夕方ですけど、うちの家が古く、屋上の出口の戸が風が吹くとカタカタ音がする。その音かなと思って確かめに上がっていっている途中に、階段の横に四角い窓があるんですよ。そこから火が出ているのが見えて、携帯を取りにいって、外に出て火を見ながら119に電話した」
(Q.体調を崩して病院から帰った1人暮らしの男性が、不自由な暮らしの中で、その付近から火が出たのではないかと)
「見たら家の中は火が燃え盛っている。外に出ている火は吹き上がる」

大分市の足立市長は、市民にこう伝えています。

大分市 足立信也市長
大分市 足立信也市長
「いったん家を見たいという人もいるし、それは鎮圧が終わってから。行く先が他の親戚とかある人、あるいは家が焼けてしまって、しばらくはここにいるしかないという方々についても、住宅を県と市で57戸ぐらい確保している」
(Q.市長として、これを教訓にどんなことに取り組んでいきたい)
「老朽化した住宅があるので、電気のショートとかも自然に起こり得ることなので、空き家対策も大事になってくると思う」
(Q.鎮圧・鎮火の見通しは)
「鎮圧が多分20日ぐらいにはできるのではなかろうかと。それから1〜2日、完全に火がないことを、水をかけながら山も探索しなければいけないから、鎮火に関してはもう少し遅れるのでは」

なぜ?広範囲に延焼の理由

なぜここまでの大規模火災になったのでしょうか。火災のメカニズムに詳しい、日本防火技術者協会の関澤愛理事長に聞きました。

日本防火技術者協会 関澤愛理事長
日本防火技術者協会 関澤愛理事長
「“延焼しやすい街並み”“気象条件”に加えて“消火活動がしにくい立地条件”だった。道が狭く消防車が入っていけず、燃えている建物に有効な放水ができなかったのではないか」
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