国内に設置されている防犯カメラの映像が、海外に大量に流出しました。
流出したのは、個人宅や幼稚園など約7000台の映像で、犯罪に悪用される可能性もあります。
どう対策すればいいのか、みていきます。
■国内約7000台のライブ映像丸見えに なぜ流出?
防犯カメラは、国内に約700万台以上設置されています。
このうち、約7000台のライブ映像が流出し、自由にのぞける状態でした。
防犯カメラの2025年の出荷台数は、168万8200台の見込みで、過去最多です。
設置場所は、店舗や流通用が、約51.4万台。
家庭や個人事業主用が、約39.9万台
ビルやオフィス用が、約32.5万台。
相次ぐ強盗事件などで、防犯意識が高まっていることが背景にあるとみられます。
特に最近は、ペットや赤ちゃん、高齢者などの見守り目的で利用する人も増えています。
「赤ちゃんが寝ているときも、別の部屋から確認できて、見守れるのはメリット。その映像が外に流れるのは、個人情報もあり、ちょっと怖い」といいます。
「元々防犯や見守りのためなのに、知らないうちに海外に流出するのは、防犯の意味をなしていない。正直怖い」と話しています。
今回、流出が確認された防犯カメラのライブ映像は、情報セキュリティー会社『トレンドマイクロ』の成田直翔さんによると、
『個人住宅内』『子どものいる部屋』『ペットのいる部屋』『玄関先やエントランス』『幼稚園・保育園』『企業のオフィス』『高齢者施設』『飲食店』などの映像です。
こうした映像は、なぜ流出したのでしょうか。
インターネットに接続し、遠隔地でパソコンやスマホで確認できる防犯カメラで、IDとパスワードが盗まれ、海外サイトに流出したということです。
流出の要因です。
●公開範囲の設定が、限定公開ではなく、誰でも見られる設定でした。
●パスワード・IDが、初期設定のままでハッキングしやすい状態でした。
●セキュリティーは、カメラが古く、サポートが終了していました。
防犯カメラは、街にあふれています。
●街中や住宅の防犯カメラ
●観光地などのライブカメラ
●会社や工場内の監視カメラ
●見守りカメラ
これらの防犯(監視)カメラ市場の約8割が、ネットワークカメラと言って、ネット接続で確認が可能です。
「趣味で流出映像を集め、公開することで、自己顕示欲を満たしている」ということです。
■防カメ映像流出で空き巣や窃盗被害の可能性も
こうした映像の流出で、想定される被害です。
個人宅では、玄関やエントランスの映像で、不在の時間帯の特定や、オートロックなどの暗証番号の窃取などから、空き巣や強盗につながります。
会社では、オフィス内の映像で、ホワイトボードやパソコン画面から、個人情報や機密情報が漏洩するおそれがあります。
店舗やショッピングモールは、ショーケースなどから、高価な商品の在庫、展示場所を把握され、窃盗・強盗のおそれがあります。
ATMでは、カードの暗証番号の窃取で、キャッシュカードを奪い取って、現金を引き出すなど窃盗や強盗のおそれがあります。
■防カメから男の声 カップル私生活 流出映像の販売も
防犯カメラの映像の流出は、世界で広がっています。
海外の流出の事例です。
『警察署、刑務所』
『アメリカのテスラ社の工場 222台の防犯カメラ』
『病院・病室内』
『過去に銃撃事件があった小学校』
の防犯カメラの映像などが流出しました。
闇サイト上で、流出カメラの情報交換も行われていて、流出映像が一番多いアメリカでは、日本の2倍、約1万4000台の映像が流出しています。
アメリカではカメラに不正侵入の被害も起きています。
ミシシッピ州に住む家族が、8歳の女の子の部屋に見守りカメラを設置しました。
その4日後、防犯カメラのスピーカーから女の子に話しかける声が聞こえました。
女の子が「誰なの?」と聞くと、
男の声で「僕は君の親友だよ。サンタクロースだよ」
と聞こえ、さらに女の子をからかったり、部屋を破壊をするようにそそのかした、ということです。
女の子は、悲鳴を上げて、母親に助けを求めたということです。
さらに、カメラ経由で嫌がらせです。
フロリダ州の夫婦は、スピーカーのある防犯カメラから男の声で、人種差別的な暴言を浴びせられました。
男は、数日間にわたり、夫婦を監視していたということです。
韓国での事例です。
2023年3月、ソウルの江南にある美容整形外科で、数十人の患者の診療、施術映像が流出しました。
病院側の通報を受け、警察が捜査しましたが、ハッキングされた可能性があります。
さらに、2024年7月、家に設置された防犯カメラの約180の映像が流出。
女性の着替えや、恋人同士の私生活などが、海外サイトなどで拡散されました。
こちらもハッキングされた可能性があります。
流出した映像は、1本あたり最大14万回再生され、1本約1500円から約2300円で販売されているケースもありました。
■こんな時は要注意!“ハッキングのサイン”見つけた場合は
防犯カメラがのぞかれた場合の対応です。
日本では、2025年から、防犯カメラなどに関するセキュリティ機能の評価制度がスタートしました。
インターネットとの通信が行える幅広い製品を対象に、レベル1〜4で、セキュリティ機能を評価・可視化する制度です。
情報セキュリティー会社『トレンドマイクロ』の成田さんによると、こんな時は、ハッキングに要注意です。
映像がカクカクしてスムーズに動かない、または途切れている。
レンズの方向が変わっているなど、設定が勝手に変更されている。
ハッキングが疑われた場合の対処です。
1、まず、インターネットから防犯カメラを隔離します。
2、次に、防犯カメラを初期化し、パスワードを変更します。
3、そして、防犯カメラのソフトウェアを最新のものに更新します。
「多くのメーカーのサポート期間は約5年。5年以上前の防犯カメラは、まだ使えるものでも、可能であれば買い替えをおすすめする」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年11月20日放送分より」)















