記録的な猛暑の影響で、夏のキノコの発生が遅れていて、夏と秋の毒キノコが同時に発生する異例の事態となっています。シイタケに似た毒キノコのツキヨタケによる食中毒の被害も急増しています。
夏&秋の毒キノコ 森にびっしり
深まる秋で一面紅く色づく紅葉。そして、キノコのシーズン到来!多くの人がキノコ狩りを楽しむ季節ですが、危険は身近にも。
専門家と一緒に群馬の森を散策、すると…。
「これはね、ムキタケ。おいしいです」
生えていたのはムキタケと呼ばれる晩秋によく生えるキノコや…。
「これはオツネンタケモドキ。乾燥させてだしを取るとか」
食べられるキノコが次々と出てくるなか…。
「(Q.これ何ですか)これはニガクリタケというキノコ。毒キノコで結構強い毒性があってこれを佃煮(つくだに)にして食べて死んじゃったという」
なんと食べられるキノコのすぐ傍らに猛毒ニガクリタケという毒キノコがありました。
クリタケという食べられるキノコと見た目はよく似ていますが、食中毒やけいれんを起こし、最悪の場合、死にいたる危険なキノコ。
小さな1本だけかと思いきや…。
「あれもニガクリタケがいっぱい入っているんですよね」
「うわ、かなりの量ですね!」
倒木の中にも大量のニガクリタケ!さらに…。
「あーあります!いっぱいあります」
なんと倒木の反対側にもニガクリタケがびっしりと生えていました。
今年のキノコには「ある特徴」があると話します。
「今年は暑い夏がずっと続いていて、いきなりドカンと秋になってきたものですから、(発生時期が)狂っちゃっているような感じがします。秋になってから本当は夏に出るようなキノコが結構出てたり」
秋に夏のキノコが多く発生しているといいます。埼玉県の森にはその異変が起きていました。
「見事!すごっ!」
皆が驚くその理由は…。
「これ(タマゴタケ)は本当は夏のキノコでもっと夏に出るんですね」
夏がシーズンのはずのタマゴタケ。鮮やかな色ですが食用可能で、野菜と一緒に和えたナムルなどの料理にも合います。
なかには梅雨の時期に発生しやすいキツネノハナガサの姿も…。
猛暑の影響は毒キノコにも…。地面からとげとげしく生えた白いキノコがあります。
「シロオニタケといわれる毒キノコです」
食べてしまうと、中毒症状や神経系へ異常をきたす毒をもつキノコ。ピークの時期を過ぎても発生していました。
「秋のキノコと夏のキノコが一斉に出てしまう。シロオニタケ(毒キノコ)の仲間などは(本来)もうちょっと早く出てくる」
3大毒キノコも
横浜市にあるこちらの森でも異変が…。
「ちょっとすご、デカッ!」
長さ10センチほどの大きな白いキノコが。強い毒性を持ち日本3大毒キノコの一つといわれるテングタケです。
「これ本当は夏のキノコなんで、今ごろ出るっていうのは珍しい」
夏がピークの毒キノコがこの時期でも生えている異常事態。
「下痢と吐き気、あとね車に酔ったみたいになります。めまいがするっていうか立ってると気持ち悪くなる」
「今年に関しては猛暑・酷暑が続いたので、キノコの発生もだいぶ変わっています」
さらに今、最も多く被害を生んでいる毒キノコがあります。
「誤食が多いのは“ツキヨタケ”。食べてしまうのは非常に危険」
不気味に光り 被害多発
不気味に光る大量のキノコ。暗闇で光を放つその姿がぼんやり輝く月に見えることからツキヨタケと名付けられたこのキノコ。
「日本の3大毒キノコと言われている、一番当たりやすいキノコの3つあると言われているなかの一つ」
先ほどのテングタケ、クサウラベニタケと並び日本3大毒キノコと呼ばれています。
この10年、全国の毒キノコによる食中毒のなかで、最も多く被害を出しているのがツキヨタケです。
「(食べてしまうと)毒で下痢や嘔吐(おうと)とかで結構、苦しんじゃうんですね」
今月2日、静岡県御殿場市でシイタケと間違えて、ツキヨタケを採取し食べた親族11人全員が嘔吐などの症状を訴え食中毒になりました。
さらに朝日新聞によると、採取したキノコを食べ食中毒になった和歌山市の70代男性。電子端末のAI機能で調べたところ、シイタケ、ヒラタケと判定されましたが実際はツキヨタケでした。
実際にツキヨタケを食べてしまった人に話を聞くと…。
「疑いなくして“シイタケ”を収穫したつもりだったんですけれども、実はあの“ツキヨタケ”。違いは分からなかった。吐き気と腹痛、頭痛ですか、トラウマになっちゃいまして」
AIで画像検索…まさかの結果に
人の目では全くと言っていいほど見分けがつきにくいといいます。
過去にさまざまなキノコの展示などを行ってきた、千葉県立中央博物館に協力を依頼しツキヨタケの標本を見せてもらうと、素人目だとそこまで違いが分かりませんでした。
一番右が毒キノコのツキヨタケ、それ以外は食べられるヒラタケ、シイタケ、ムキタケとなっていますが、どれも同じようなキノコに見えます。
「傘の形であったり、色、そして付き方ですね。枯れた樹木から発生するんですけれども生え方などが非常によく似ている」
スマホの画像検索を用いてツキヨタケを撮影してみると、なんとツキヨタケではなく食べられるシイタケと判定が出ました。
さらによく間違えられるシイタケを撮影してみると、一方で食べられるはずのシイタケには毒キノコであるツキヨタケという判定が出ました。
「キノコは形、色とか大きさが非常に多様なので、まだまだAIの精度というのが追い付いていないんですね」
AI判定を以てしても判別することが難しいツキヨタケ。見分けるポイントはあるのでしょうか?
「根元のところを見ていただきたいんですが、黒いシミがあるのが分かります。この黒いシミがあるのが実はツキヨタケの重要な特徴」
実際に他のキノコと見比べると、ツキヨタケだけが根元に黒いシミがあるのが分かります。
これはツキヨタケ特有の特徴で、見分ける際の一つの判断材料だといいます。
毒キノコを間違って採取し食べてしまわぬよう気を付けなければならないことは…。
「もしキノコを食べる場合は、必ず信頼のおける方、必ず詳しい方と鑑定していただいたものを食べる。自分で自信を持ってキノコの名前が分かってから食べるということを心がけていただきたい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年11月20日放送分より)


























