社会

報道ステーション

2025年11月21日 01:02

“鎮圧状態”も火種は各所に…先が見えない避難生活 大分・大規模火災3日目

“鎮圧状態”も火種は各所に…先が見えない避難生活 大分・大規模火災3日目
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3

規制エリアで続く消火活動

大分市佐賀関の大規模火災から3日目。規制線の中では懸命な消火活動が続けられていました。がれきを手作業で掘り起こして、火がくすぶっていないか確認します。

地元の消防団員
「私らはある1カ所しか行ってない。その1カ所の中でも6カ所ぐらいはくすぶっている。しつこいというか」

危うい所は掘って放水を繰り返していました。

地元の消防団員
地元の消防団員
「ほぼ壊滅状態のような感じを受けた」
(Q.規制線内に立ち入ることは危ない)
「危ないです。道を覆うがれきが散乱している。まだ通れるような状態ではない。早く鎮静化に向かうよう努力したい」

“鎮圧状態”も火種は各所に

蔦島以外が「鎮圧状態」

大分市は無人島の蔦島をのぞく佐賀関半島について、山林を含め午前11時に火の勢いが収まり、延焼の危険がなくなった“鎮圧状態”になったとしました。

消防対策部長
消防対策部長
(Q.半島の方は全部鎮圧した?蔦島はまだ?)
「そうですね」
(Q.午前11時?)
「午前11時に現地で確認して、防災局と意思統一した」
火種

ただ、火元から350メートル離れた山林で、午後1時ごろに撮影された映像には、茂みからくすぶる煙が。その3分後に炎も。火種はまだ残っていました。この火種は延焼したエリアの少し東にある山の中。その周辺に行ってみると。

消防団員
消防団員
(Q.どういう状況?)
「山の上の方にかなり広範囲で小さな火が広がっているので、そちらの消火を今行っています。どうしても下の方に残っている火は、表面だけかけてもなかなか消えないことが多いので、めくったり、内部に水を入れたりして消しています」
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家の様子確認できず

住宅街を囲う規制線はいまだ解除されず、多くの住民が住宅に戻れない状態です。

警察官
「入れないです。消火活動をしてるのと、崩壊の恐れがあるので」
規制線内に入れない住民
規制線内に入れない住民
(Q.家を見ないと次に進めない)
「次に進めないというかモヤモヤが。現場を見れるまでやるせない」

募るのは、長年住み続けた家の状況が分からないというもどかしさ。着の身着のままで避難した住民も
少なくありません。

警察官
警察官
「今、危ないので入れないです。申し訳ないです。消防の人がずっと消火してくださってますので」
規制線内に入れない住民
「涙が出るな」
警察官
「心苦しいですけど」
規制線内に入れない住民
規制線内に入れない住民
「これだけ。これと仕事の服だけ。涙が出て、足が震えて。何とも言えない。仕方がないんだな。涙が出るわ」
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衛生面に課題 車中泊も

避難所で、今一番欲しいものについて話を聞いてみると。

自宅が被害に遭った渡邊榮子さん(88)
自宅が被害に遭った 渡邊榮子さん(88)
「やっぱり下着類。上着も1枚きりだから。着替えも欲しいからね」
入浴サービス

避難生活は3日目。大きな課題は住民の衛生面です。こうした中、市が始めたのが入浴サービスです。姫野カツ子さん(85)は実に2日ぶりのお風呂です。

姫野カツ子さん
「ここに来てから入ってないんです」

医療機関の入浴施設へ送迎します。

姫野カツ子さん
姫野カツ子さん
(Q.どうですか、お風呂入って)
「さっぱりした。家から持ってきてってわけにいかないからね。ありがとうございます」

一方、ペットを飼っている人は避難所での生活は難しく、車中泊を強いられています。

松本孝治さん(62)
松本孝治さん(62)
(Q.上体を起こした状態ですね)
「はい」
(Q.食べ物は大丈夫ですか)
「そこでもらっています」

今願うのは、1日も早く住宅を見に行くことです。

松本孝治さん
松本孝治さん
「(自宅が消失して)ないのは分かっているが、やっぱり目で見て、自分の家のあった所を見ておかないと落ち着かない。むなしいですし、まだ実感がない。片隅にまだ残っているんじゃないかと考えたりしますね」

規制線解除のめど立たず

市によると、70世帯108人(20日正午時点)が避難していますが、規制線を解除するめどは立っていません。

大分市 足立信也市長
大分市 足立信也市長
「今日の議論になったのは、家を何も見ないまま避難所に来られた方もかなり多いので、一度見たいということで、規制線の中に入るのは特別の許可の仕組みを作った方がいいのではないかと。必ずその人単独ではなくて、警察なり消防なりが同伴しながら見に行く」
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