社会

モーニングショー

2025年11月24日 16:00

社交ダンスがフレイル予防に効果的 認知症リスクも減 健康寿命のばすステップとは

社交ダンスがフレイル予防に効果的 認知症リスクも減 健康寿命のばすステップとは
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加齢によって体や心の働きが弱くなった状態『フレイル』に関する最新の研究で、社交ダンスに高い予防効果があることがわかりました。

なぜ、フレイル予防に社交ダンスが効果があるのか、今回の調査結果を発表した研究者にお話を伺います。
さらに、簡単にできる基本の動きを、社交ダンスの元日本チャンピオンに教えてもらいます。

■フレイル予防に社交ダンス なぜ効果大?

『老化』について、街の人に話を聞きました。

77歳の女性
年々ひざが悪くなっている感じがする。歩くのがつらい」
78歳の男性
物忘れが多くなった。カレンダーに印をつけていても、曜日を間違えることがある」

加齢とともに注意が必要なのが、『フレイル』です。

フレイル』は、要介護状態となる前の段階です。
加齢とともに筋肉量や心肺の機能が低下し、何もしないと『フレイル』のリスクが高くなります

この『フレイル』対策について、最新の研究です。

筑波大学の研究です。
65歳以上の男女7万人以上を対象に、20種目のスポーツ活動が、フレイルの進行をどの程度防ぐかを比較しました。

結果です。
男性1位はダンス(社交ダンス)
女性1位は登山・ハイキングという結果となりました。

この研究を発表した、筑波大学・体育系の辻大士助教によると、
「今回ランク外となったが、女性にもダンス(社交ダンス)は効果的であった」ということです。

なぜ、ダンスがフレイル予防に効果があるのでしょうか?

辻助教です。
「ダンスは多様な動作を含むため、下肢筋力・バランス・柔軟性を同時に鍛えることができる。高齢者も、社交ダンスであれば、ゆったりとした曲調で無理なくパートナーと交流でき、心理・社会面にも良い影響を与え、より高いフレイル予防効果が期待できる」といいます。
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■社交ダンス始める高齢者増「老化防止に」猫背改善にも

社交ダンスの日本での流行についてです。

1940年代後半から1950年代に、若者を中心に娯楽、出会いの場として流行しました。
また、1990年代にも、映画『Shall we ダンス?』が、1996年度の映画賞を総なめした影響で流行しました。

現在の洋舞(バレエ・モダンダンスなど)と社交ダンスの人口は、約129万人です。
年齢別では、10代、20代が多いですが、70代以上の高齢者約26%います。

社交ダンスを始める傾向について、プロ社交ダンサーの金光進陪さんによると、
「最近は健康目的で、社交ダンスを始める高齢者も多い」ということです。
60歳を過ぎてから社交ダンスを始めたという69歳男性は、
「定年後に足腰が弱くなり、つまずくことがあったので、体作りのために始めた」ということです。
73歳男性は、社交ダンスの健康面での影響について、
「猫背だったのが、社交ダンスを始めて1年半でシャキッと胸を張る立ち姿になった」といいます。
76歳女性は、
「体全体を使って音楽に合わせて踊るのは、老化防止になっていると思う」と話しています。
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■フレイル予防 自宅で簡単ステップ 元日本王者が伝授

自宅でできるフレイル予防に効果がある社交ダンスの要素を、元統一全日本ラテンアメリカンチャンピオンで、社交ダンスの普及に力を注ぐ、金光さんに教えてもらいます。

まずは、基本中の基本。

正しい姿勢を意識すること。
骨盤の上に体の軸が乗るようにしましょう。

肩回りの筋力・柔軟性アップに効果がある『アーム』です。

1、お腹の前に手を置くのが基本の位置です。
2、肩を広げます。
3、ひじを広げます。
4、手首まで上げます。
5、指先を真っすぐに、
6、手首の甲を前に向けるように手首を返して、腕を前に返します。
7、手首を回して、腕を基本の位置に戻します。
ポイントは、体の中心から末端にかけて動かすことです。

次は、足腰の筋力・柔軟性アップに効果がある『ステップ』です。

1、まずはその場で交互にステップ。
2、左、右と順にステップ。
3、最後に前後にステップ。
ポイントは、リズムに乗って踊ることです。

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■社交ダンスは最高の脳トレ 認知症予防に効果も

社交ダンスは、フレイル予防だけではありません。

アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学の研究です。
75歳以上の469人を対象に、高齢者の余暇活動と認知症リスクの関係を21年間調査しました。

結果は、何もしていない人に比べて、家事をしていれば、認知症リスクは12%減少、水泳なら29%減少、読書なら35%減少でした。
そしてダンスは、76%認知症リスクが減少するという結果になりました。

こんな研究もあります。

認知症リスクのある高齢者16人を『社交ダンス群』と『ウォーキングマシン群』に分け、6カ月間、週2回・各90分のプログラムを実施。
認知症に大きく関係する『海馬』の体積の変化を調査しました。
記憶を司る海馬は、萎縮すると認知症が進んでいきます。
結果は、ウォーキングマシン群は『海馬』の体積が9. 51%の減少だったのに対し、社交ダンス群は『海馬』の体積が0. 07%の減少でした。
社交ダンス群は、ウォーキングマシン群の135分の1の萎縮率にとどまりました。

なぜ『社交ダンス』が認知症のリスクを減らすのでしょうか。

筑波大学・体育系の辻助教によると、
「ダンスは、『記憶』『身体感覚』『音楽』『感情』など、複数の脳機能を同時に使用。脳の神経回路のつながりが良くなり、記憶力・学習能力の向上、脳機能全体の活性化、認知機能低下の予防につながる
「特に、社交ダンスは、パートナーの動きに常に反応し動きを組み立てていく作業が、脳にとって最高のトレーニングになり、認知症予防効果が大きくなる」ということです。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年11月21日放送分より)

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