リンゴ5000個を食い荒らす巨大なクマが現れました。21日、秋田県猟友会のトップを密着取材。「狩猟をしなければ、クマの問題は解決しない」と警鐘を鳴らしています。
リンゴ2トン食い荒らされる
果樹園の監視カメラに映った大きなクマ。口を動かし、何かを食べています。
13日午後9時40分ごろ、長野県上田市のリンゴ畑にクマが侵入。リンゴの木に近づくと、立ち上がり枝になっている実をくわえます。口で器用にリンゴをもぎとり、地面に落としてから食べているのが分かります。
この果樹園では、リンゴが食べ尽くされる甚大な被害が出ていました。
21日に番組の取材班は長野県へ。リンゴ園では今、収穫の繁忙期を迎えています。
クマに食べられたのは、収穫目前だった「サンふじ」です。
果樹園でリンゴを育てる、坂下浩さん(45)です。
畑には食い荒らされたリンゴが散乱していました。被害に遭った量は、なんと。
「これが約100ケースで2トン。このトラック4段積みで約2トンになる。5000個近い量を1週間で食べてしまった。その他の畑も食べられているので合計3トン。予約の注文でいっぱいになっていて、こういう害があるのはすごく痛手、本当に厳しい」
被害額は少なくとも200万円に及ぶといいます。
クマはリンゴ5000個を食べる?
クマは、リンゴ5000個を食べ尽くすことができるのでしょうか?
翌日もクマはリンゴ畑に出没。最初の映像から5時間後の午前2時40分ごろ、リンゴの木にのぼり始めます。
今月収穫する予定だったリンゴをクマが次々と食べてしまいます。
クマはこの時、少なくとも1時間以上、リンゴの木の近くに居座ります。
丸々と太ったクマは、さらにその翌日にも現れます。時刻は前日と同じ午前2時40分ごろです。地面に落ちているリンゴをくわえ食べています。
専門家によりますと、クマは冬眠前のこの時期、脂肪を蓄えるため、一日に成人男性の3倍から4倍は摂取カロリーが必要だといいます。
被害が確認された1週間ほどで、リンゴ5000個を食べた可能性はあるとみています。
よく見ると、クマの耳にタグが付いているのが分かります。一度、捕獲されて、山にかえされたクマとみられます。
果樹園では以前もクマの被害に遭っていたため、畑と林の境に鉄の柵を設置。ところが…。
「鉄柵は(クマが)山から下りてきて、その上にのぼって自分の体重でつぶしてしまって、そこから入ってくることが多い」
さらに、電気柵も張り巡らせて二重の対策を取っていましたが、学習能力が高いとされるクマは何度も侵入してきます。
実際にクマが電気柵の下の土を掘る姿を捉えた映像です。電気柵の先には、リンゴを保管している倉庫があります。クマは土を掘った隙間から、強引に電気柵を突破していきます。
収穫のピークを迎えているリンゴ農家は、クマの脅威におびえながら作業をしています。
秋田県猟友会 会長の苦悩
市街地でクマの出没が相次いでいる秋田県では、猟友会が設置した箱わなの見回りを行っています。
毎日、クマ対策の最前線にあたるのは、秋田県猟友会の佐藤寿男会長(81)です。
21日も住宅の近くに、今月設置した箱わなを確認します。クマは、かかっていません。ただ、すぐ近くにはクマが現れた痕跡が。
「これ足跡」
「(Q.かなり大きい)そうよ、足跡だよ」
畑には大きなクマの足跡がくっきりと残っています。
「(Q.この大きさだと重さは?)100キロ、成獣。ずっと向こうの集落から(クマが)来ている。(クマ)見つかっていない。だから(箱わなを)置いている」
さらに、クマの恐ろしさが分かる痕跡も。柿の木には生々しいクマの爪跡が残っています。木の下にはクマが食べたと思われる柿が落ちています。
秋田県猟友会の佐藤会長は、81歳になった今も連日、クマ対策に追われています。
手帳にはクマの目撃情報などを受けて猟友会が出動した記録がびっしりと書き込まれています。
市街地に度々、現れる「アーバンベア」。問題の解決に向け、今必要なことを佐藤会長に聞きました。















