今年最後の3連休。初日の22日は、都内でも見ごろを迎えた紅葉を、多くの人が訪れました。一方、行楽地が警戒を強めているのが“冬眠しないクマ”被害が相次ぐ中、ハンターの育成が急がれています。(サタデーステーション11月22日OA)
止まらない被害 クマは“二極化”か
11月下旬、クマの冬眠時期に入った22日も各地でクマが出没。
22日朝、宮城県仙台市の国道286号線では、走行中の乗用車とクマの衝突事故があり、1頭のクマが歩道で倒れていました。
「1回目通過したときはクマが倒れていただけで、もう1回戻ったときには、その盾みたいなものでクマをつついていたというか、生きているのか生きていないのか確認をしていたような気がします」
宮城県内では、22日朝、栗原市にある病院の駐車場で70代男性がクマに襲われ、顔や右腕をひっかかれるケガをした人身被害も…当時、現場には2頭の親子のクマがいて男性を襲ったのは、親グマとみられています。
「やっぱり朝と夕方は危険ですので十分注意して行動してもらうというふうなことだと思います」
こうした状況はいつまで続くのでしょうか?
「目撃自体は減っていくんですけど完全にゼロになるということは恐らくない。恐らく二極化していてどんぐりを探してでもないからということで、早々に冬眠しちゃうクマと集落の柿とか栗に依存してしまうクマの2つに分かれているんだと思う」
冬眠しないクマ 警戒続く行楽地
冬眠しないクマを特に警戒していたのは22日プレオープンしたスキー場。案内してくれたのは「館内放送」が出来るこの部屋。ボタンを押すと…
「スキー場では大音量で音楽が流れていて、まだオープン前なのでお客さんはいません」
大音量の音楽を流しているのはクマを近づけないための対策です。
「ゲレンデに音楽を流したり、あとはスタッフが朝一番で巡回するようにしていますので、巡回の際にもクマスプレーを持って万が一に備えるということをやっております」
こちらのスキー場では今までクマが出たことはありませんが、沼田市では、今年度72頭のクマが捕獲されています。これは昨年度の44頭をすでに上回っています。
「滑っているときに(クマに)遭遇したら怖い、帰るときもクマがいないか確認してから家に戻っている」
「ゲレンデの中でスキーする分には限りなく安全だと思った方がいいと思います。ゲレンデから外れてスキーをするというのはクマと遭遇してしまう、あるいは、冬眠中のクマを起こしてしまうリスクがある」
射撃検定に若手ガバメントハンターも
各地で“冬眠しないクマ”が出没する中、急務となっているのがハンターの育成です。22日、サタデーステーションが訪ねたのは西日本最大級のハンター育成施設の射撃場。福井県のハンターによる緊急銃猟の射撃検定が行われました。
緊張の中、射撃検定を受けるのは、ハンター歴6年の西川さんとハンター歴7年の坪田さん。南越前町の職員として働くガバメントハンターです。この検定の結果を自治体が現場にどのハンターを出動させるかの参考にするといいます。検定は3つ。1つ目は、50m先にある的を正確に撃ち抜く検定。1人5発ずつ撃ちます。
まずは西川さん。パネルのクマの頭を狙いますが…(首を傾げる)西川さんが撃った弾はクマの頭ではなく胸に当たりました。5発ともパネルには当たりましたが、頭には当たらず…続いて、坪田さん。パネルのクマは揺れますが、弾は当たりません。5発中、2発だけパネルに当たりました。続いて、射撃検定の中で最も難しい「素早く構えて標的を撃つラピッド検定」ここで坪田さんは…目を中心に顔に4発、命中させました。一方、先ほど命中させていた西川さん。ほとんど的に当てられませんでした。最後は、移動している標的を撃つ「移動標的」です。
「思っていたよりは当たっていました」
「もっと自分のスキルを磨かなきゃいけないかなと一番思っています」
緊急銃猟の工程“単純化”がカギ?
兵庫県内では、きのうも豊岡市でガバメントハンターによる緊急銃猟の訓練が行われました。
「はい、豊岡市役所農林水産課のシマダと申しますクマの目標情報ですね」
訓練内容は“市街地の倉庫にクマが立てこもった”という想定です。まずは、通報があった倉庫前に本部を設置。どこからハンターが突入するか地図で確認します。そして、クマが倉庫中のどこにいるのか確認するため、ドローンを潜入。すると、クマに見立てた標的を発見。
「(クマを)逃がすことは、この辺りの状況から不可能だと思います。この中で何とかしないといけないと思います」
現場の情報を元に作戦会議。周囲の交通規制や避難誘導など安全が確保されたら市長の判断で緊急銃猟となります。
「それでは、緊急銃猟を慎重に行って下さい」
3人のハンターたちが倉庫内に突入。ゆっくりドアを開けます。そして、クマに警戒しながら倉庫内を進み…ハンターによってクマは駆除。これで訓練は終了です。
「(倉庫内に)入ってからの動きはスムーズにいけたんじゃないかなと思います」
「手間が多ければ多いほどミスが絶対に生まれると思うので、もっともっと(緊急銃猟の工程を)そぎ落として単純化していかなければならない」
