社会

ABEMA NEWS

2025年11月23日 14:00

12歳のタイ少女なぜ救えず?違法風俗と人身売買...“買春処罰”の必要性は?「日本は買う側で処罰ない。海外にはある」「犯罪にすると客が悪質化」

12歳のタイ少女なぜ救えず?違法風俗と人身売買...“買春処罰”の必要性は?「日本は買う側で処罰ない。海外にはある」「犯罪にすると客が悪質化」
広告
1

 今月4日、違法な個室マッサージ店を経営していた男が逮捕された。タイ国籍の少女を違法に働かせていた疑いが持たれている。

【映像】違法マッサージ店で働かされていた12歳のタイ少女(実際の映像)

 少女の年齢は12歳。警視庁によると、男の指示で客に性的サービスをさせられていたという。少女を店に連れてきたのは母親。そして9月、少女自ら東京出入国在留管理局へ駆け込み、事件が発覚した。母親は現在、別の売春事件に関わったとして台湾で身柄を拘束され、日本でも、少女を引き渡した児童福祉法違反の疑いで逮捕状が出されている。

 12歳の少女を巻き込んだ人身売買と見られる今回の事件。ネットでは「未成年を買う側もちゃんと罰して欲しい」「国外含めて、買う側を厳罰化しないと意味がない」など買う側の責任を追及する声もあがっている。『ABEMA Prime』では、今回の事件と売春を巡る買う側への規制について議論した。

■違法マッサージ店での売春行為…背景は?

タイ人女性が日本で売春

 東南アジアを中心に人身売買の実情を取材してきたフリージャーナリストの泰梨沙子氏は、今回の事件の店舗について、「一見、普通のアジア系マッサージ店だ。しかし、実態としては性的サービスも提供されていた」と話す。

 多くの人身売買の実情を取材してきた泰氏にとって、「今1番懸念してるのは個室マッサージ店」だといい、「今回のマッサージ店もそうだが、一般の居住用マンションの一室で違法風俗が行われている。実は全国各地の北海道から沖縄まで400人以上が在籍しているようなウェブサイトもある。パスワードを入力しないと見れないような闇サイトだが、在籍してる400人以上のうち、ほとんどがタイ人だ」と説明。

 なぜタイ人が多いのか。「観光目的の入国であれば約2週間、ビザが免除されるが、彼女たちは観光客を装って日本に入国している。2週間稼いで他の国に行ったり、今回の母親も台湾の方に行ったと報道されているが、彼女のような例は決して珍しくない」と答える。

 「バンコクは非常に発展し、富裕層もたくさんいるが、性風俗従事者は、ほとんどが東北部や北部、山岳地帯、農村地帯の女性たちがやっていることが多い。人権団体によると、その8割がシングルマザーと言われている。タイの伝統的な価値観として、自分自身を犠牲にしてでも家族のために尽くす。両親のために何かをすることが美徳とされている。彼女たちもシングルマザーで、子供を養いつつ、さらには両親、親戚まで養っていることが非常に多い」と述べた。

■「買春だけを刑法判断にすれば全て収まる話ではない」

子どもを守るための法律

 立憲民主党・衆院議員の山井和則氏は、最大の問題点について、「日本は買う側はセーフで処罰がない。北欧やアメリカの一部、韓国、フランスなどでは、買う側は処罰がある」と訴える。

 しかし、「買う側を罰すべきだと思うが、罰されたくない人もいる。非常に賛否両論あるから、今回、高市総理が『検討する』と言ったので、丁寧に議論を進めていくべきだと思う」と続けた。

 文筆家で情報キュレーターの佐々木俊尚氏は、「実際にフランスでは刑法犯罪化した結果、ネガティブな影響も出てると言われている。例えば、買春を犯罪にすると、普通の男は買わなくなる。そうすると客が悪質化した」との事例を紹介する。

 さらに、「女性たちの収入が減る。そうすると、生活が困窮し、虐待されるケースが増えてしまう。こんなこと誰も予想してないし、そういうネガティブな効果も出てくるわけだ。だから、合法化のままにしろとは言わないけど、そういうことを認識した上でないと議論は進まないと思う。買春だけを刑法判断にすれば全て収まる話ではない」との見方を示した。

 あらためて今回の事件について、泰氏は「実態を明らかにするには、やっぱり少女の証言が重要になってくると思う。その際に、『60人以上の男性たちに何をされたか?』とか細かく聞かれる。そうすると、子どもの精神面でもっと傷を負うことになるので、明らかにすることが難しい」とした。

(『ABEMA Prime』より)

広告