あの名作アニメに登場する乗り物をモデルにした飛行機が先日、最後のフライトを行った。そこには、開発者の平和への思いがあった。
八谷さん「やり残してることがいくつか」
世界が注目する航空機が空へ。千葉県野田市の関宿滑空場で16日に行われた「空まつり2025」。この日、多くの観客の心を釘付けにしたのが、尾翼がなく、まるで鳥のような形をした航空機「M−02J」だ。
大空を優雅に飛ぶ、このフォルム見覚えがある人も多いはず。製作者によると、宮崎駿監督のスタジオジブリの人気アニメ映画「風の谷のナウシカ」に登場する小型グライダー「メーヴェ」をモデルにしたという。
重心を移動させ操縦し、最大で時速90キロで100メートルの上空を飛ぶことができる。
パイロットは製作者でもあるメディアアーティストの八谷和彦さん(59)だ。なぜ、このような機体を作ろうと思ったのか。
平和の象徴になればとの思いで、2003年から始まった「OpenSky」プロジェクト。しかし、一筋縄ではいかなかった。
最初は模型作りからスタート。今の大きさになるのに3年かかった。
さらに、機体を乗りこなすには体力も必要と考え、ブラジルの格闘技「カポエラ」にも挑戦した。
そして、現在の高度で初飛行を成功させたのは2016年。プロジェクト開始から13年が経っていた。
その後は、世界の航空ショーにも参加。尾翼のない珍しいフォルムの航空機は海を越え、多くの人を魅了した。
飛行する映像をYouTubeにアップすると、再生回数はなんと250万回以上。称賛のコメントがあふれている。
「アニメの世界からそのまま飛び出したような航空機が実在するなんて、素晴らしい!」
「これは地球への贈り物のようなものだ」
時には資金難に陥りながらもプロジェクトを継続してきた八谷さん。その原動力はなんなのか。
使命感ではなく好きだから続けてきたプロジェクトだが、実はこの航空機を飛ばすのは先日のイベントが最後だという。
世界中にファンの多い八谷さん。なぜ、ラストフライトの決断をしたのか。
今後、やりたいことは?
今回ラストフライトとなったが、八谷さんは「やり残したことがある」と話す。
その「やり残したこと」というのは、自分以外は誰も乗れない機体になっているため、操縦の技術を伝承し、パイロットを育成したいということだ。
さらに、今後についてもやりたいことがあるそうで、それが技術移転だそうだ。
自作の機体を無尾翼やジェットなどで、有人飛行した例はあまりないため、機体の分解・組み立てや許可申請の方法などのワークショップを企業や大学向けにやりたいということだ。
さらに、八谷さんは新たな作品についても話してくれた。
それが、大人を高い高いや抱っこしてくれるロボットを作りたいということで、以前プロレスラーの方に抱っこされた時に「良いな」と思ったそうだ。
八谷さんは「今の大人にすごく必要な気がする“癒やしロボット”という感じですね」と語っていた。本当に夢とアイデアが尽きない方だ。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年11月26日放送分より)










