社会

ABEMA NEWS

2025年11月27日 11:30

ワクチン「なんとなく打ちたくない人」も…なぜ接種に後ろ向き?理由「副反応がつらかった」「型が違うと無意味」公衆衛生学の専門家の意見は

ワクチン「なんとなく打ちたくない人」も…なぜ接種に後ろ向き?理由「副反応がつらかった」「型が違うと無意味」公衆衛生学の専門家の意見は
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 全国的にインフルエンザの流行が警戒レベルにもなっている。厚生労働省は16日までの1週間で、全国で確認されたインフルエンザの患者数を、1医療機関あたり「37.73人」と発表した。高熱、頭痛、倦怠感などつらい症状があるインフルエンザ。最も代表的な予防策はワクチン接種だが、最近では「なんとなくワクチンを打ちたくない人」も。数字を見ても2020年度をピークに、徐々に接種人数が減少しており、2024年度のワクチン使用回数は2010年度を下回った。

【映像】インフルエンザワクチンの副反応と発生頻度(%)

 ワクチンを接種すると副反応から体調に異変が出るケースもある一方、厚労省からはインフルエンザに感染した子どもが「夜間に母親を包丁で襲おうとした」「自分の指を『ハム』だと言いかじる」という異常行動をしたという調査結果も出た。「ABEMA Prime」では、ワクチンを打ちたくない当事者、公衆衛生を専門とする医師、それぞれから意見を聞いた。

■2025年度はインフルエンザ患者がハイペースで増加

例年より早い流行

 2025年度のインフルエンザ報告数を見ると、前年度に比べてもかなり流行の時期が早い。2024年度は統計開始以来、最多となる約32万人だったが、それは12月5週になってから。しかし2025年度は11月3週の時点で、既に15万人を超えた。一方、ワクチンの接種回数を見ると、2020年度から2021年度にかけてガクンと下がり、以降も徐々に減少している。

 飯田さん(60代女性)は、なんとなくワクチンを打ちたくない人の一人だ。きっかけは、コロナワクチンだった。「コロナ前は打っていたが、コロナワクチンを2回受けた時の2回目が、副反応がひどかった。それからはインフルエンザワクチンも打たなくていいかなと思った。症状も人それぞれだし、ワクチンを打っても(流行する)型が違うことがある。予防接種をしても当てはまらないことがあるなら、なんだか無意味なのかな」と、ワクチンに対する意欲が下がった理由を述べた。

 聖路加国際大学の客員准教授で、公衆衛生学を専門とする坂元晴香氏は、飯田さんのコメントを聞き、理解を示す。「(ワクチンが嫌だという人は)実数として増えているとは感じないが、やはりコロナがありワクチンの話題が増えた。お話の通り、副反応も出たりするし『なんとなく嫌だな』とか、『打ちに行くのがめんどくさい』『お金がかかる』『忙しい』などの理由で、基本的にワクチンは積極的に打ちたくなるものでもない」と述べた。ただ、医者の立場としては「我々としては、どうやって打ちやすいとか、打ってもいいかなと思えるようなコミュニケーションが大事だと思う」と添えた。

 ワクチンに対する姿勢は、大まかに3タイプに分かれるという。1番目は「積極的に打つ人」、2番目は「なんとなく打たない人」、そして3番目が「明確に反ワクチンの人」で、坂元氏によれば、多数派は2番目、少数派は3番目だという。

 坂元氏は「大多数の人は2番目。反ワクチンや陰謀論のようなものを信じているわけでもなく、ただしワクチンは打ってもかかるし副反応は嫌だし、打たなくてもかからない時があるので、大多数の方が社会の様子を見ている。科学的な根拠については理解しているだろうが、そこまで自分にメリットを感じない人も、ここに含まれる。あとは費用対効果。お金を払ってまで打ちたくないと思う人もいて、ここにはすごく幅がある」とも説明した。

■ワクチン接種のリスク、どう捉える?

ワクチンを接種する人が減少

 「集団免疫」の観点からしても、やはりワクチンは勧めたいものではある。「ワクチンには、重症化の予防がある。子どもの異常行動もあれば、基礎疾患がある方は重症化しやすい。その予防は大きな理由の一つだ。また、社会の中でほとんどの人がワクチンを打っていないと、そこに感染した人が入った場合にあっという間に広がってしまう。だが、みなさんがワクチンを打っていれば、広がらないで済む。社会全体に免疫がある状態が、子どもや妊婦、高齢者、持病がある人を守ることになる」。

 ただし、それでもワクチンは副反応などリスクがゼロではない限り、なかなか強制的に打たせるというわけにもいかないところが難しい。「子どもの時にも、たくさん予防接種を打つが、それも義務ではなくて、あくまで努力義務。最終的な判断はおまかせになる。しかし、ワクチンがなかった時代には、もっと多くの子どもが病気で死んでしまった。そういう確率を圧倒的に減らせている。また、副反応が出た時にも、明確に関係性が疑われる場合であれば、救済措置も整えられている」とも語った。

 一連の説明を聞いた上で、パックンは「ワクチンはマナー」だと例える。「今はまだマナーになっていない。ただ自分は『あの人を守っているぜ』という気分になれる。自分もコロナに1回、2回となったし、ちょっとつらかったか命に別状はなかった。ただ、感染しない方が(他人に)感染もさせない。だから、ワクチンを打って自分が防御壁になる。『俺はヒーローだぜ』と思っている」と語った。

 一方、コラムニストの小原ブラス氏は「周りでワクチンを打っていないことによって、迷惑を被っている人の姿が、あまり見えない。そういう人が見えない以上、協力しようともならない」と語る。その背景には、父の死が関連している。「父はがんだったが、その時に使った薬は数万人に1人、骨が溶けるというもので、本当に確率は低いという話で納得はしたが、結局は骨が溶けるという痛い目にあった記憶がある。科学的には何万人に1人という低い確率だとわかっているが、やはり当たる時は当たる」と、ワクチンで重篤な副反応が出ることのリスクは、打たない以外に回避できないという思いも述べていた。 (『ABEMA Prime』より)

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