インフルエンザが例年よりも1カ月早く、大流行となっています。
感染拡大の要因の一つとして考えられているのが、新たな変異株です。
最新研究で分かった、インフルエンザにかかりやすい人の特徴についてもみていきます。
■新変異株『サブクレードK』が猛威 特徴と症状は
厚生労働省が公表している全国のインフルエンザ報告数は、11月16日までの1週間で14万人を超えています。
2024年は年末に31万人のピークを迎えましたが、11月の同じ時期の報告数は9000人余りで、2025年は、その数を大きく上回るペースで増えています。
さらに11月16日までの1週間に、全国で報告された1医療機関あたりのインフルエンザの患者数は、警報レベルの30人を超える『37. 73人』でした。
あわせて24の都道府県で30人を超えていて、最も多い宮城では『80. 02人』となっています。
2025年は新たな変異株『サブクレードK』が流行しています。
東邦大学の小林教授によると、『サブクレードK』は、インフルエンザウイルスA型の『H3N2』の変異株だということです。
特徴は、免疫を持つ人は少なく、感染しやすいといいます。
今シーズンのインフルエンザA型の41検体を解析したところ、40検体から『サブクレードK』が確認されました。
症状は、発熱・せき・のどの痛みに加えて、吐き気や下痢です。
ワクチンは、感染予防効果が弱くなる懸念はありますが、“重症化予防”には同様の効果があります。
薬は、従来と同じ効果があります。
いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長によると、流行の要因1つめは、観光客の増加です。
海外からの観光客によって、『サブクレードK』が持ち込まれ、流行したとみられます。
流行の要因2つめは、猛暑でのどの免疫低下したことです。
2025年の猛暑の影響でエアコンの利用が増え、のどが乾燥し免疫が低下。
さらに、冬には空気が乾燥するので、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなっているということです。
他にも、自覚症状が乏しいまま、周囲に感染を広げてしまう“隠れインフル”の影響も考えられるそうです。
「感染拡大が続けば、免疫の弱い高齢者や子どもの重症化が懸念される」
■インフルかかりやすい5つのタイプ 感染予防に“口の中”ケア
インフルエンザについて、大学や企業が共同研究をしました。
弘前大学・京都大学・大正製薬は、約1000人の生活習慣や、既往歴など3000項目以上の健康データをAIで解析しました。
その結果、インフルエンザにかかりやすい5つのタイプがわかってきました。
1、花粉症などのアレルギー性鼻炎
2、 栄養不良
3、多忙・睡眠不足
4、血糖値高め
5、『肺炎』歴
このなかで、1つでもあてはまる人は、季節性インフルエンザにかかりやすいことが明らかになりました。
特に、
3、多忙・睡眠不足
4、血糖値高め
5、肺炎歴
この3つすべてにあてはまる人は、約3. 6倍インフルエンザにかかりやすいということです。
そして、口の病とインフルエンザの関係です。
日本大学歯学部の研究で、歯周病の原因となる菌に、インフルエンザの感染を促す働きがあることがわかりました。
さらに、歯周病や口が不衛生な人で、高齢者の場合は、誤嚥性肺炎の原因にもなり、インフルエンザと肺炎が同時に起こり、重症化しやすくなることが分かりました。
「口腔衛生管理が、インフルエンザや肺炎の発症を防ぐことも以前の研究で報告されている。日頃から、口腔衛生管理を行うことで、インフルエンザの発症や重症化を予防できる可能性がある」ということです。
■2026年から高齢者に“新ワクチン” より高い効果が確認
新しいワクチンです。
厚生労働省は2026年10月から、『高用量インフルエンザワクチン』を、75歳以上を対象に、定期接種を始める方針です。
60歳〜74歳の方は自費で接種ができます。
この『高用量インフルエンザワクチン』は、有効成分が従来のワクチンの4倍で、発症や重症化予防により高い効果が確認されています。
海外の臨床試験では、従来のワクチンと比較して、インフルエンザの発症を防ぐ効果が65歳以上で14. 3%高く、75歳以上では24. 8%高くなりました。
■うがい マスク対策 実は間違っているかも!?正しい方法は
街のみなさんのインフルエンザ対策について、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤院長に聞きました。
「帰ったらすぐに、のどの奥に届くようにガラガラうがいをしている」
この対策は、×です。
「帰宅後すぐにガラガラうがいをすると、口腔内に病原体が付着している状態でうがいすることになり、病原体を押し込んでしまうことになる」ということです。
では、どううがいをすればいいのでしょうか?
まず、口の中の汚れを洗い流すように、ブクブクうがいをして吐き出します。
そして、もう一度、水を口に含み、上を向いて「あ〜」と声を出しながら、約15秒ガラガラうがいをして吐き出します。
このガラガラうがいは、2〜3回繰り返してください。
さらに伊藤院長は、ある飲み物で“うがい”をしているそうです。
それが『緑茶』です。
緑茶に含まれている『カテキン』に、インフルエンザ予防として、ウイルス増殖の抑制が期待できます。
「外出時もあめを持ち歩いて、常に口の中が潤うよう心掛けている」
この対策は、△ということです。
「のどあめは、過剰に摂取すると、尿の量が増えて脱水を招き、粘膜が弱くなるため、とり過ぎには注意が必要。こまめな水分補給でのどを潤し、さらにマスクを使って、水分が逃げるのを防ぐ方法が有効」ということです。
「外出時、ずっとマスクをつけ続けている」
この対策は、×です。
「一日中同じマスクをつけていると、湿気がこもった状態になり、付着したウイルスが内部にとどまりやすく、むしろ感染リスクを高める原因に」なるということです。
では、どうすればいいのでしょうか。
多くの人が行きかう場所にいるときは、マスクを着用して、人がいない場所では、マスクを外すよう心がけてください。
長時間マスクを着用するときは、一日に1回は交換すると、感染リスクを下げることができるということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年11月28日放送分より)












