東京都内で“ゾンビたばこ”を所持をしていた疑いで、初めて逮捕者が出ました。
ゾンビたばこの正体は、『エトミデート』という医薬品の成分。
海外では、麻酔導入薬などとして使われているものですが、電子たばこなどを通じて過剰に摂取すると、身体はけいれんを起こし、意識を失うこともあります。
国内では今年5月、指定薬物となり、販売や所持などが禁止されています。
沖縄県では、このゾンビタバコが深刻な広がりを見せています。
県内では、異様な光景が目撃されていました。
「公園とかで叫び声。若い人だけど、叫び声あげたり、ふらふら歩いたり。人によるけど、手足もけいれんしている人も、一回だけ見ました。なんかの病気なんかなと思って、救急車を呼ぼうとした。あのときのやつが“ゾンビタバコ”だったんだなと」
「(自分の周りで)BARに行くときとかは、別宅で『吸うかなぁ』って。吸っている人を見かける。見てる限りだと 目の焦点が合わず
手が震えて歩けてない。(Q.何歳くらい)高校1年生から20代もいるかなと。高校生もいます。お金を無駄にするだけ、捕まっても後悔しかしない。やらないほうがいいと思う」
沖縄県警は、先月、密売組織のトップとされる21歳の男を摘発しました。
ゾンビたばこは、すでに沖縄から各地に飛び火のように広がりつつあります。
東京・渋谷で逮捕されたのは、28歳の男です。
「現場は渋谷駅まで車で5分ほどの場所です。大通りで、警察官が男女2人を職務質問したところ、車の中からゾンビタバコが見つかったということです」
警視庁によりますと、男は、SNSを利用して購入していました。1本あたり約15000円だったと供述しているといいます。
「今年4月ごろから使い始めた。違法性の認識はあった」
こうした事態に厚生労働省も危機感を強めています。
「警察庁の調べによれば、沖縄県以外の数県で摘発事例もあると承知している。引き続きまして、関係機関間において、捜査情報を共有するなど、緊密な連携のうえ、取り締りを行っていく」
長年、薬物問題を取材しているジャーナリストは、こう話します。
「一番、密売人がいるSNSはX。ドラッグ業界の隠語を入れて、検索をすると、やはりちょっと怪しいポスト、アカウントが出てくる」
こうした投稿している人物に話を聞きました。
「(ゾンビタバコは)入らないですね。探してみますね。1日でなくなりますね。(Q.在庫がはけて手元にない)はい。(Q.自身も使用した経験はある)ないです。ブロックしますね」
石原さんは、こうした現状に警鐘を鳴らします。
「ゾンビたばこをもちろん乱用すれば、心身に非常に危険であることは間違いないが、例えば、沖縄県でも報告があったし、世界中で報告があるが、ゾンビたばこを摂取して、自分をコントロールできなくなった状態で、転落や交通事故を起こすという二次災害・事故・事件が増えている」
沖縄で、薬物依存症の回復支援をしている施設には、ゾンビたばこに関する相談が急増しています。
「沖縄で爆発的にはやった。爆発的にはやるということは、ある程度、依存性が高いと思う。(Q.今後、沖縄以外での相談は)増えていくのかなと思う。依存症の相談は、早ければ早い方がいい。リハビリセンターでも良いし、相談することをおすすめしたい」
◆今回、問題になっているのは『エトミデート』という成分で、『フェンタニル』とは違うものです。海外では、鎮静剤や麻酔導入薬など医療現場で使われますが、日本では未承認です。
電子たばこは、リキッドを加熱して蒸気を出すタイプですが、リキッドは付け替え可能なカートリッジになっています。それをエトミデートが含まれたものに交換することによって、電子たばこを吸うのと同じように見えます。
沖縄では“笑気麻酔”とも呼ばれて広まっていますが、 医療用の本来の笑気麻酔ではありません。
このエトミデート、中枢神経の興奮や幻覚、人体への悪影響などが指摘されていることから、厚生労働省は5月、『指定薬物』として、規制の対象にしました。しかし、その後も沖縄では、先月末までに、『使用』と『所持』で計10件、検挙されています。
さらに、『販売目的』の逮捕者も出ています。
今月、逮捕が明らかになった21歳の男は、沖縄県浦添市の自宅で、エトミデートを含む液体を販売するために所持していた疑いが持たれています。自宅からはカートリッジ30個が見つかったということです。この男は、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる“トクリュウ”の違法薬物密売組織のトップ。このグループは沖縄県内を拠点に、10代〜20代の密売人、最大100人が所属し、県外でも活動していたとみられています。
流通ルートなどはわかっていませんが、三重では『使用』と『所持』で3件、大分では『所持』と『輸入』で2件、福岡でも『所持』で1件、検挙されています。そして、今月には、東京で初めての逮捕者が出ました。
取材した警視庁幹部は「SNS等で売買されており、沖縄から徐々に広がりつつあるという危機感を持っている」としています。
















