社会

ABEMA NEWS

2025年11月29日 08:00

おこめ券って必要?ひろゆき氏が考える日本の“米文化”の守り方「マイナンバーカードでデジタルおこめ券を」「公務員的に米を作らないと文化が維持できない」

おこめ券って必要?ひろゆき氏が考える日本の“米文化”の守り方「マイナンバーカードでデジタルおこめ券を」「公務員的に米を作らないと文化が維持できない」
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 政府の物価高騰対策として、「おこめ券」の配布検討が物議を醸している。鈴木憲和農水大臣は「十分に買えないという声に対して、私たちとしてはしっかり応えていくべきだ」と重要性を強調するが、SNSでは疑問の声が上がっている。

【映像】コメの需要と生産(推移)

 政府はおこめ券について、地方への交付金を拡充し、各自治体に対してその予算を使っての配布を推奨している。しかし経費やオペレーションコストの高さから、野党は懸念を示す。加えて、農水大臣が小泉進次郎氏から鈴木氏へ交代し、需要に応じた「増産」から「生産」に方針が変わったとの指摘もある。日本のコメ産業はどうあるべきか。『ABEMA Prime』では、元農水官僚と理想の姿を考えた。

■おこめ券、配布の是非は

おこめ券とは

 11月21日に閣議決定された「強い経済」を実現する総合経済対策は、総額21.3兆円規模で、コロナ禍以降最大の補正予算規模となった。うち2兆円が、重点支援地方交付金の拡充に使われ、各自治体が地域のニーズに応じ、きめ細かい物価高対策に充てる。「家計支援枠」として、水道料金の減免など、1世帯当たり1万円程度を設定。また、おこめ券、電子クーポン、プレミアム商品券など1人3000円程度の「食品価格高騰特別加算」を設けている。

 「おこめ券」は新たに始まる金券ではなく、すでに存在している。主に「全国共通おこめ券」(全米販)と「おこめギフト券」(JA全農)の2種類があり、1枚500円で、60円の印刷経費を引いた440円分のお米などと交換可能だ。有効期限なし、お釣りは出ないといった特徴があり、お米(パックご飯・弁当含む)と一緒なら日用品に使えるお店もある。

 東京・台東区では、約14万世帯におこめ券を配布した。18歳以下の子がいる、もしくは3人以上世帯は8800円分、それ以外の世帯は4400円分が配られる。「全農おこめギフト券」関連補正予算として約9.5億円を計上し、内訳は、区の事務経費(郵便簡易書留など)が約1.4億円、おこめ券購入費が約8.1億円(うちJAに約1億円、1枚60円換算の場合)。つまり、2.4億円が経費などに使われ、区民への効果は約7.1億円となる。

 元農水官僚で、現在は自民党・農業構造転換推進委員会で委員を務める、進藤金日子参院議員は、「おこめ券配布はあくまで、国が一律に行うのではなく、地域の実情に精通している自治体の判断になる。すでに約30の自治体が、おこめ券をやっているが、それはマストではない。地域に応じて、電子クーポンなどにより、物価高騰に苦しむ人を支援していく」と説明する。「コメが欲しいが買えない人もいる中で、一つのオプションとして用意している。選ぶも選ばないも自治体の判断だ」。

 同じく元農水官僚で、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏は、「いまコメの価格は5キロ4200円。年間50キロ食べて、4万2000円払っている。1人3000円をもらってどうするんだ」と批判する。「政府は減反により生産を減少させる代わりに、米価を市場価格より高く設定している。その補助金に3500億円を使い、4000億円(特別加算)かけて安くするのはマッチポンプだ」。

 そして、「減反をやめれば価格は下がり、1000万トン生産できる。それを減反で700万トンに下げているから、今回のようなことが起きた」としつつ、「安全保障上も問題だ。世界のコメ生産は、1961年の3.5倍に増えたが、日本だけは4割減っている。日本文化の象徴であるコメを減産するとは何事か」と語る。

 進藤氏は減反政策について、「2018年から『行政による生産数量の配分は行わない』と転換したが、3500億円は『実質的には転作奨励ではないか』と言われていて、実質的に減反が続いているとの指摘がある」と解説する。

 その上で、本人は「転作奨励金の廃止論者だ」と明かす。「税金でコメを生産させないようにして、米価を高くした結果、消費者が払うという構図に理解が得られない。農家は今年69万トンを増産している。他の作物に転作する前に、食料自給率45%を確保する必要があるため、むしろ弱っている生産現場を支援する方向にすべき。奨励金は見直す方向で、しっかり議論していくべきだ」。

 山下氏は「8年前にロサンゼルスで市場調査すると、日本米は現地産の8倍程度の価格だった。しかし、去年行くと日本米が棚から消え、韓国米に置き換わっていた。日本米の輸出が減少して、代わりに韓国が市場を取っている。減反をやめて供給量を増やし、価格を下げればもっと輸出できるのに、もったいない」とのエピソードを話した。

■ひろゆき氏が考える日本のコメ文化

台東区の場合

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「一般の日本人家庭が、普通の食事でコメを食べ続けられる状態をどうやって維持するかだ」と指摘する。「コメ専業農家の平均年齢は70歳を超えている。基本的にもうからず、高齢化も進むと、コメを作れなくなる。一部成功している若い人もいるが、平均的にはもうからないから生産者も少ない」。

 そんな状況の打開策として、「米食文化を残したいのなら、消費量を増やさないといけない。マイナンバーカードに“デジタルおこめ券”を配り、一定量のコメを交換できる状態にして、ある程度の消費量を確保した上で、公務員的に作らないと文化が維持できない」と提案する。

 物価高対策には現金給付も選択肢だが、「現金で配ると、お米以外も買えてしまう。マイナンバーカードにすれば、そこまでコストもかからない」と否定的だ。また、「市場価格は高くしてもいい。訪日外国人には高く買ってもらいつつ、日本人は『おこめ券だから低負担で食べられる』という状態にして、コメ文化を残す」といった案も出す。「全国の消費量を増やさないと、コメ農家は立ち行かなくなる。新潟の人も『食べないから別に要らない』ではなく、積極的に『食べて』と勧めるべきだ」。

 世間では「3000円程度配っても」と消極的な意見もあるが、「それが結構大事だ」と考えている。「若者は一人暮らししてもテレビを買わず、炊飯器の保有率も6〜7割しかない。コメは基本的に食べず、パンやパスタを食べ、総菜を買う。そしてコメを炊く食文化が失われたまま、家庭を作ってしまう」。

 そのため「3000円のコメをもらえるなら、とりあえずもらってみよう」という動機が重要となるという。「炊飯器をもらって、コメ料理に触れる機会が増える。日本で小麦粉を地産地消する文化は、科学的に成立しない。文化と防衛面で『コメの育成』は必要だが、なぜそうならないのか」。

 「指定した価格」で買い取る形の支援については、「いいものも、ショボいものも、同じ価格になってしまい、より安くて大量に作れるものに偏ってしまう」と危惧する。「EUでは、農地面積あたりで補助金を出している。『何を作ってもいいが、農地は維持して、作物を高く売って』との条件により、農家も創意工夫する。日本も長期的にはその方がいい」。

 ヨーロッパと日本を比較して、「フランスは平均農地面積が約20ヘクタールで、年間250万程度もらえる。日本は1人あたりの農家面積が10分の1のため、農地をある程度、集約しないと食えない。集約すれば生産コストも下がるため、10年程度で小作農的な農家が農地を手放し、大規模志向の農家に集約する」と予測する。

 加えて、そもそもの日本の地理的特徴が、高騰の背景にあると考察した。「アメリカなどと比べ、日本はやはり土地が狭い。その中で食物を作れば、高くなるのは当然だ。経済合理性で言えば、『日本で農産物を作らない』が一番正しくなるが、そうなってはダメだという話。日本人として何を維持するかだ」。 (『ABEMA Prime』より)

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