社会

ABEMA NEWS

2025年11月29日 16:00

少子化対策を”圧力”と感じる人も?「20歳を過ぎると、突然『産んでいい』と承認され、逆に産んでいないことを責められるようになる」プレコン&性教育のアプデは

少子化対策を”圧力”と感じる人も?「20歳を過ぎると、突然『産んでいい』と承認され、逆に産んでいないことを責められるようになる」プレコン&性教育のアプデは
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 複数の省庁にまたがる人口減少対策の統括を狙って「人口戦略本部」が発足した。その初会合で高市早苗総理は、社会保障改革の推進や、地方経済の再生と成長、少子化対策など人口現象対策に取り組むよう、関係閣僚に指示した。

【映像】充実しすぎ…東京の少子化対策(詳細)

 1人の女性が一生のうちに生む子どもの数の指標「合計特殊出生率」は、2024年に1.15と過去最低を記録。歴代内閣が重要政策に掲げてきたにもかかわらず、少子化の流れは止まっていない。

 そんな中、高市総理が少子化対策のモデルケースとしたのが、今年1〜6月の出生数が10年ぶりにプラスに転じた東京都だ。少子化対策はどうあるべきなのか。『ABEMA Prime』では政治家と専門家とともに考えた。

■新設「人口戦略本部」

【写真・画像】 2枚目

 元少子化対策担当大臣の森まさこ参院議員は、「『産めよ増やせよ』だけに焦点が当たってはいけない。外国人の問題や、地方から都会への人口流出もある。人口戦略本部の初回で、総理はそのことにも触れた。地方の社会保障制度や、人口減少における自治体や地方経済のあり方にも指示を出している」と説明する。

 現状の政策が抱える課題として、「もっと予算がいる。そして予算を増やした時に、ニーズにしっかりマッチする政策が必要だ。バラマキにならないよう、政策効果もチェックしつつ、工夫して修正することも大事だ」と話す。

 また「今の少子化トレンドで、出生数を増やそうとすれば、『1人で何人も産まないといけない』という話になる」とも語る。「若い人に圧力をかけないようにしつつ、産みたい人に情報を入れていく。大臣時代に地方を回ると、年を経てなかなか子どもが授からない人から『もっと早く知りたかった』と泣きながら訴えられた」。

■東京都の少子化対策

田中まゆ氏

 そんな中、注目されているのが東京都による切れ目ない少子化対策だ。マッチング事業や結婚情報発信といった「出会い?結婚への支援」、プレコンセプションケア推進、卵子凍結支援などの「妊娠?出産支援など」、子育て支援金、学費や医療費支援のような「子育て費用支援など」、認証学童クラブ、ベビーシッター利用支援の「保育?教育の充実」が一例で、その他、住宅や親の就労?職場環境なども支援している。

 助産師の田中まゆ氏は「小池百合子都知事は発信がうまい。私は大阪から『東京ではこういう政策をするんだ』と思いながら見ている。出会いから出産、その後の子育てまで、流れに沿った支援を提供していることが大きいのではないか」と評価する。

 コラムニストの河崎環氏は「政府が全国一律に行う施策よりも、自治体ごとの実情に合わせた施策の方が有効的だ」と考えている。「東京都とその他の地方では、女性の就業状況やライフスタイルも異なる。東京都は東京にフォーカスしたから成功したのであって、一律で語ることはできない」。

 生成AI系会社員のハヤカワ五味氏は、「東京都の助成を使って、卵子凍結した。20万円まで補助金が出るが、それを受けるためには1時間強の勉強会への参加が必須で、カメラをオンにしなければならず、途中退室も認められない」と経験談を語る。「『遅く来た性教育だ』と感じた。本来であれば学生時代に全員一律でした方がいいが、それができないため、『せめて卵子凍結を考えるタイミングで知ってほしい』とやっている印象を受けた」。

■プレコンセプションケアとは

プレコンセプションケア

 少子化対策において近年、重視されているのが「プレコンセプションケア」だ。田中氏によると、「受胎(コンセプション)の前(プレ)、妊娠を考える前から必要な知識を得ることを指す。男女を問わず、あらゆる人が人生の選択肢を増やすために、知るべきことを学ぶという政策が、各自治体で行われている」という。

 実施にあたっては「『産め』という圧力にならないことが大事だ。知識を学ぶことは必要だが、間違った伝わり方をしたり、圧力を感じさせたりしないように、配慮しなければならないのはもったいない」との懸念を示す。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は、「プレコンは絶対にやった方がいい。学生の頃は『妊娠すると大変なことになるから、絶対に避妊しよう』と刷り込まれる一方で、『子どもを作ろうと思えば、すぐにできる』と思っていた。しかし実際に結婚すると、なかなかできずに悩む人が多い。そこには性教育の不足があるのだと思う」と話す。

 田中氏は「プレコンには性教育も大切だが、そもそもの人権である『性と生殖に関する健康と権利』がベースにある。『いつ何人子どもを持ちたいのか、あるいは持たないのか』を含めて、誰とどんな人生を歩むかを決める権利がある。そうした意識がないまま、いきなり20代以降にプレコンとなっても、『産めと言われる圧力』につながってしまうため、もったいない。もうちょっと整えた方が伝わるのではないか」と考えている。

 河崎氏は「プレコンをめぐる議論でも、脳内にはずっと『女性』が置かれている。妊娠や出産の主体は女性であるから、出生数には女性の数も重要になるのは当然だ。ただ、日本人は幼少期からの性教育も含めて、『女性をどう育てるか』の視点がすごく偏っている」と指摘する。「20歳を過ぎた頃から、突然『産んでいい』と承認されて、逆に今度は産んでいないことを責められることに、ゆがみを感じる」。

(『ABEMA Prime』より)

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