住宅価格や家賃の高騰が止まらない中、「リーズナブルに住める」と注目を集めているのが「団地」。
【映像】隈研吾&佐藤可士和が監修の”洋光台団地”(実際の映像)
1950年代、戦後の住宅不足を解消すべく建設ラッシュで誕生した団地は、最先端設備を揃えた洋風の暮らしとして、当時国民たちの憧れの的だった。「ダンチ族」という言葉が生まれるほどの人気となったが、時代は移り変わり、建物の老朽化や住民の高齢化など、様々な課題が指摘されるようになってしまった。
そんな団地が、令和の今、再び注目を集めている。 時代遅れで古臭いイメージの団地だが、今は現代のライフスタイルに合わせ、リノベーションされたものも。無印良品やIKEAなどとコラボした団地もあり、若者やファミリー層からも大人気となっている。さらに、日本を代表するクリエイターたちが再生を手がけるなど、今、団地のアップデートが止まらない。
『ABEMA Prime』では、団地の魅力と可能性を建築家が解説した。
■団地の魅力とは?

団地をこよなく愛す、建設家の吉永健一氏は、団地の魅力について「1番は、団地が住宅としてのクオリティがすごい高い」と語る。「森の中に住宅が建っているような感じで、建物前はすごく広い。間取りは窓がすごく多い。今のマンションはトイレやお風呂に窓がないのが普通だが、団地は基本的にある。風通しも、日当たりもいい」。
さらに、「『もう古くなってるんじゃないか』っていう話もあるが、インテリアや外壁も直したりしてるので、きちんと今の設備に入れ替えてる。それと人との繋がり、コミュニケーションがある。昔からの繋がりがあるから、お祭りや、最近だと高齢化の見守りなど、団地の中の自治会でやっている」と紹介した。
お得な制度もあるといい、「URの例を言うと、若い方がなるべく入ってほしいということで、35歳以下なら3年間家賃を減額する『U35割』。子育て中、最長9年間20%減額する『子育て割』。親世帯や子世帯の近くに住むと最長5年間減額する『近居割』がある」と説明した。
■“推し団地”ベスト3

これまでに500カ所以上の団地を訪問しているという吉永氏に、“推し団地”ベスト3を紹介してもらった。第3位は、千葉県松戸市の1960年に入居開始した「常盤平団地」。「『スターハウス』というY字型住棟が現役で活躍中。特徴ある外観から『団地の花』とも呼ばれている」。
第2位は、神奈川県横浜市の1970年に入居開始した「洋光台団地」。「隈研吾さんと佐藤可士和さんが監修してる。歩道橋がついていて、その下で人がくつろいだりできるようになっている」「団地はすごくベーシックでいいということを、今の人たちに受け入れてもらえるために仕立て直す、染め直すとか、そういう考え方で作り直している」。
第1位は、大阪府吹田市の1965年に入居開始した「千里青山台団地」。「団地って、真っ平らなところに建っているイメージがあるが、ここは元々、山のところに建っている。なので真っ平らにするのが難しいとかで、どうやって建てようかを工夫した。だから森の中にぽつんぽつんと建つ、軽井沢のようになっている」と解説した。
■団地の課題と再生

団地の魅力が豊富にある一方、場所によっては課題も存在する。「住民の高齢化は昔からあるが、建物自体も老朽化している。また、最近大きく取り上げられているのは外国人居住者が入ってきていることだ」。
しかし、「この3つは団地に限らず、日本の住宅地で起きていることだ。また、全部の団地でこういう問題をクリティカルに抱えてることでもない」と補足した。
高齢化に対しては再生プロジェクトが進んでいる団地もあり、「大阪の堺の方の『茶山台団地』では、高齢化で空き部屋が多かったが、集会所を図書館として、お子さんが絵本を読みに行く場所になっている。そこにお母さんも一緒に行って、同じ悩みを共有するコミュニティができている」。また、住民の結婚を祝う「団地ウェディング」もあり、下落していた入居率が上昇し、団地に活気が溢れているという。
最後に吉永氏は、「団地が好きだと言っている人が当然住んでいるが、もうちょっと外側に広げて、家を選ぶ選択肢の中に入れてもらいたいなと思う」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
