今年になって証券口座の乗っ取り事件が相次ぐなか、容疑者が初めて逮捕されました。その巧妙な手口が見えてきました。
中国語使うハッカー集団が関与の可能性も
「400万円入れていたものがすべて売られていて、全く身に覚えのない銘柄が買われていた」
こう話すのは、今年5月に証券口座への不正アクセス被害に遭った男性。手元に残っていた株は売却しても120万円ほどにしかならないもので、およそ280万円の含み損を抱えています。
証券口座が何者かに乗っ取られ、株が勝手に売り買いされる問題が全国で相次いでいます。
金融庁のまとめでは、今年1月から10月の不正取引は9348件で、被害総額は7110億円に上っています。
先月28日、警視庁は中国籍の男2人を逮捕しました。林欣海容疑者(38)と江榕容疑者(42)。他人名義の10口座に不正にアクセスし、特定の銘柄の株を大量に買い付けることで、株価をつり上げた疑いが持たれています。一連の問題で、容疑者が逮捕されるのは初めてのことです。
捜査で判明した犯行の手口は、こうです。
まず何らかの方法で入手したIDとパスワードを入力して、口座を乗っ取ります。そこで保有していた株を売り、不正取引をする資金を確保します。
次は、ある銘柄に大量の買い注文を出します。すると、1株84円だった株価は、この日だけで110円まで急騰しました。すかさず容疑者は自分たちの口座で、事前に購入していたおよそ70万株を高値で売りに出し、乗っ取った口座を使って購入します。
容疑者の口座では、およそ860万円の売却益が出た一方、乗っ取られた10の口座で合わせて1100万円の損失が出たことになります。
今回の容疑者との関連は分かりませんが、サイバーセキュリティー大手の「トレンドマイクロ」は、証券会社をかたる偽サイトを分析する中で、ソースコードに中国語の簡体字を発見。中国語を使うハッカー集団が関与した可能性を指摘しています。
(「グッド!モーニング」2025年12月1日放送分より)





