地元の人たちから水晶山と呼ばれる山で、所有者の許可を得ずに水晶を勝手に持ち出す違法採掘が相次いでいます。水晶を探している最中での死亡事故も起きていて、関係者は注意を呼びかけています。
あちらこちらに貴重な鉱物
キラキラと輝く透明の結晶。水晶の石言葉は「純粋・無垢(むく)」です。この人気の鉱物が、一歩歩けば水晶に当たるほどあちらこちらに貴重な鉱物が落ちています。
水晶山と呼ばれる場所で今、違法採掘が相次いでいます。
「窃盗などがあると、いい気持ちになれない。事故があったりすると何とも言えない気持ちです」
番組が向かったのは、石川県小松市。標高150メートルほどの小高い山。入るとすぐに目に飛び込んでくるのは小さな石です。
奥に進むと、小さかった石はだんだんと大きくなり、険しい斜面に足を取られながら進むこと20分…。
「これは砕石といって、捨てる石。金の上の石を採り、ここに残土として砕石として、埋め立てなど皆そのように使っていた」
かつて、この付近にあった金平金山。江戸時代中期には、加賀百万石で有名な加賀藩直轄の金山として栄えました。
山にごろごろ転がっていたのは、金を掘る際に出た石です。水晶が含まれていますが、当時は価値がないものとされ、捨てられていました。
「ほとんど(水晶が)どれに入っていてもおかしくないということですね。もっと細かく砕けば中から(水晶が)出てくるかもしれない?」
次々に見つかる水晶。中には、紫に輝く水晶もありました。
「(Q.これ紫に光っていますね)こういうのは(めったに)ないわ」
金山跡に侵入 フリマ転売?
この辺りで採れる紫水晶は「加賀紫」と呼ばれています。
しかし、今年10月に小松市内の個人が所有する山で土砂崩れが起き、愛知県名古屋市に住む30代の男性が死亡しました。一緒に山に入った男性は「2人で水晶を探している途中に土砂崩れに遭った」と話しています。
「名古屋ナンバーや県外ナンバーがいましたので。愛好家がいるんだと思う。こういう鉱石愛好家」
水晶を探して命を落とす事態が起こる中、フリマサイトでは「石川県小松市産」とされる水晶が数多く出品されています。
どのような経緯で手に入れたのかは分かりませんが、フリマサイトでは確認できるだけで20件が出品されています。高いものでは6800円の価格がつけられています。
取材で見つけた水晶はどのくらい価値があるものなのでしょうか。12センチほどの石についた水晶を鉱物の専門家に見てもらいました。
沖本雅和さん
「ここすごい。いい結晶ありましたね。色も濃くて」
「265.3グラムありますね。1万5900円」
「採ってはいけない場所ではとらない。モラルとして必要だと思う」
国産は1グラムあたり30円から800円で取引される中、今回の水晶は1グラム60円の価値があるということです。
市は2016年に条例を制定し、鉱物を所有者の許可なく不法に持ち出す行為を禁止し注意を呼びかけています。
小川敦司弁護士
「住居侵入罪、軽犯罪法違反、窃盗罪、それから森林法の森林窃盗罪。他人に売却して経済的利益を得るという目的で窃盗したということが明らかになっていますので、より犯情としては重いと言える」
森林窃盗罪が適用された場合、1カ月以上3年以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
地元の町内会長はこう話します。
「窃盗とかがあるといい気持ちになれない。あと事故があったりすると、家族もかわいそうで。クマも心配です」
小松市では、クマの目撃も相次いでいます。先月だけで13件。事故が起きると、消防団や猟友会など地元の住民も駆り出されます。
「そのうち立ち入り禁止の看板を立てようと思います。持ち主の承諾を得て」
(「グッド!モーニング」2025年12月5日放送分より)










