傷害事件などで起訴され、勾留中だった男が入院先の病院を抜け出して逃走しました。警察官の監視がある中、男は7階の病室の窓から逃げたとみられています。どうして、そんなことができたのでしょうか。
警察官2人体制で監視の中…
静かな街は不安に包まれました。
「病院から犯人が逃走しています。戸締まりを徹底してください」
「そういう人がいれば余計におっかないじゃん」
「怖いは怖い。早く捕まえてほしい」
警察が行方を追っていたのは、島田健太郎被告(54)です。今年9月、富士宮市のスーパーで食品を万引きし、呼び止めた警備員にけがをさせたとして、窃盗と傷害の罪で起訴。勾留中だった島田被告は、1週間前に箸で自分の腹を刺し、伊豆の国市の病院に入院していました。
どうやって逃走したのか。そこには多くの謎が残っています。島田被告の病室は7階の個室。窓にはストッパーが取り付けられ、簡単に開かない構造になっていました。そして監視の警察官は2人体制。1人が室内のカーテン越しに、もう1人は室外で待機していたといいます。
島田被告を最後に確認したのは、5日午前1時15分。個室内のトイレを使用した後、ベッドに戻る様子を警察官が見ています。しかし午前4時。交代のタイミングでカーテンの内側を覗いてみると、ベッドにいるはずの島田被告の姿はすでに消えていました。窓のストッパーは壊され、こじ開けた形跡があったといいます。ただ、個室があるのは7階。どうやって地上に降りたのかは分かっていません。
目指すは箱根越え?身柄確保
病院があるのは閑静な住宅地。周囲には学校も多く、市内の小中学校は臨時休校に。こうした中、警察は島田被告の画像を公開し、その行方を追いました。病室で最後に姿が確認されてから13時間。午後2時半ごろ、島田被告は三島市の国道1号で捜索中の警察官によって身柄を確保されました。場所は病院から約15キロ。歩けば3時間ほどの距離にある三島市の国道沿い。箱根へと続く道です。
「昔からの“箱根の関所越え”みたいな。そんなのと重ねてしまう。警察官は結構たくさんいました。2車線ある道路で、片側にパトカー2台と白バイが止まっていて、事故でもあったのかと」
確保時にも不可解な点がありました。逃走時、島田被告の左手には手錠がかかっていました。しかし、確保された時には、その手錠が外れていました。そもそも逃走を防ぐため、手錠の片方を病室のどこかにつないで使うといいますが、今回はつながれていなかったとみられています。
逃走直後の島田被告を捉えた防犯カメラの画像。この段階で左手の手錠は確認できません。一方、右手には白い袋のようなものが。袋の中に外した手錠が入っていたということです。
新たに逃走の疑いで逮捕された島田被告。以前から取り調べに対し、こう話していたといいます。
「彼女に会いたい」
警察は、交際相手に会うために逃走した可能性もあるとみて調べています。









