社会

ABEMA TIMES

2025年12月6日 15:00

女性の社外取バブル 数合わせの“お飾り”批判も?社外取締役の女性「何も喋らず、名前だけ貸してくれればいい』という案件があった」本来の役割は

女性の社外取バブル 数合わせの“お飾り”批判も?社外取締役の女性「何も喋らず、名前だけ貸してくれればいい』という案件があった」本来の役割は
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 いま、ある「バブル」が話題に…それは女性の社外取バブル。女性社外取締役が急増しているという。

【映像】女性社外取の著名人一覧(実際の映像)

 社外取締役には、社内のしがらみや利害関係に囚われることなく、公正な立場から経営に対し意見や指導を行うことが期待されているが、なぜ女性が増えているのか。その背景には、法改正で2021年から上場企業への社外取締役の設置が義務付けられたこと、政府が2030年までに女性役員の比率を30%以上にすることを目標に掲げたことなどがあると見られている。

 そんな需要が高まる女性社外取締役。養成塾や養成講座などが相次いで開設され、人気を集めている。しかし、Xでは「肝心な時に会社を代表する権限持たせられていない」「お飾り枠にしている企業もあるのでは?」との疑問の声もあがっている。『ABEMA Prime』では、女性社外取締役バブル、本来の役割について当事者らと考えた。

■「ワークマン」社外取締役の女性

濱屋理沙氏

 YouTuberから「ワークマン」社外取締役となった濱屋理沙氏。元々、ワークマンの商品のアンバサダーだったが、2023年に社外取締役に就任した。「ワークマンさんのほうから、私に期待することとして、消費者、主婦、キャンパーとしての製品開発の意見をどんどん言ってほしいと言われている」。自社製品の開発や紹介はもちろん、「ワークマン女子」の企画でも大きな役割を果たした。

 濱屋氏は元々キャンプのブロガーをしており、2018年頃にワークマンと出会った。「焚き火の煙を浴びて臭くなったり、火の粉が飛ぶと服に穴が空いてしまったりした。そのとき、たまたまワークマンの溶接工の方が着用する『綿かぶりヤッケ』というパーカーみたいなものを着たらすごい良かった」。

 「値段は1900円ぐらいで機能性もあるから、いっぱい紹介したら、その服自体が在庫切れになった」と語る。しかし、「(綿かぶりヤッケは)胸までのジップだったので、女性だと髪が乱れたり、襟元にファンデーションがつくから、下までのジップにしてほしい」と提案したところ、改良された商品は40万着売れた。

 その後、アンバサダー第1号に選ばれ、2019年から 2023年まで情報発信や商品作りを続けた。そして、会社からのオファーを待たず、自ら提案書を持って、社外取締役への就任を申し出。すると「『女性の社外取締役も必要な世の中で、今までの実績もあるから是非お願いします』と言っていただいて実現した」。

 濱屋氏は、経営の助言をしつつ、SNSを得意としているため、炎上しないようなリスクマネジメントも行っている。自身のYouTubeでは、ライバル企業の服を紹介することもあるが、会社側からは「『やめて』と言われたことは一切なく、逆に公平な目でそれぞれの会社の良いところを正直に言う方が、視聴者は信頼してくれるのもあってやらせてもらっている」と述べた。

■お飾り批判

横田響子氏

 女性の社外取締役はお飾りとの意見について、「女性社長.net」代表の横田響子氏は「そういう面もあるかもしれないが、そもそも社外取締役自体が増えている中、女性が少なすぎた。増やさないといけないタイミングになり、2021年からめちゃくちゃ増えた。しかし、最近企業も質を問い始めている」と説明。

 濱屋氏は、「ワークマンの社外取になってから、人材派遣会社の方を通じて、『会議では何も喋らず、名前だけ貸してくれればいい』という案件をいただいたが、お互いに不幸にしかならないからお断りした」と明かす。この経験によって「女性の社外取締役という名目だけ欲しいが、突っ込まれたくない、余計なことを言わないでほしい会社はある」と感じた。

 このようなお飾り的な役割について、横田氏は「女性に黙ってほしい企業は、男性にも黙ってほしいと思うため、女性だからというわけではないかもしれない」との見方を示した。

■社外取締役の本来の役割とは?

取締役の権限と責任は?

 経済学者の竹中平蔵氏は、そもそも社外取締役について「執行役を監督する立場であり、会社と建設的な緊張関係でなければいけない。悪い社長を辞めさせて、次の社長を引っ張ってくるサクセッションこそが、社外取締役の1番重要な仕事だ」と話す。

 また、「社外取締役は空気が読めない人の方がいい。社内で当たり前になっているようなことに『ちょっとおかしいんじゃないの?』と言えること。それは女性の方が言いやすい気がする」といい、女性の役割に期待を示した。

 女性の社外取締役の貢献について、濱屋氏は「女性はスーパーで買い物するなど、すごく生活者に近い目線が持てるため、ユーザーの意見を上層部に伝え、助言する意味では適している」と話す。横田氏も「社外取締役がいることで、社内の人材がまだ少ない中でサポートとなり、社内の女性取締役が発言しやすくなる」という効能もあるとした。

 竹中平蔵氏は社外取締役の任期については、「原則1年の契約社員だと思う方がいい」とし、「いつ辞めても構わないような人が社外取締役になるべきだ」と強調。濱屋氏は、「(社外取締役の)報酬は平均よりかなり少なく、若手の平社員くらいの額だ」と明かす。本業のYouTuberの収益ももちろんあるので、万が一不正があった場合は公表するなど、しっかり独立性を持って、ダメなことはダメと言っていきたい」と強い姿勢を示した。

(『ABEMA Prime』より)

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