共通テストなど、受験生にとって忙しい時期。親のほうが子どもの受験に熱くなりすぎてしまうこともあるが、今、それとは真逆のある言葉が話題となっている。それが「ネオ・ネグレクト」。
ネグレクトは子どもに食事を与えない、ケガや病気をしても病院に連れて行かないなど育児放棄をおこなう児童虐待のことだが、ネオ・ネグレクトは衣食住は満ち足りていても、親が子どもに関心を持てない状態のことで、新しい育児放棄だとして、塾経営者の矢野耕平氏が造った言葉だ。
ネオ・ネグレクトとはどんな状況なのか。矢野氏によると、子どもの進路相談で、ある母親から言われた言葉があった。「考えるのが面倒くさいから、先生に受験校を全部決めてほしい」。子どもの進路を塾に丸投げしたり、塾の自習室を「託児所」代わりに使う親がいるのだという。
親世代からは「親として気をつけないといけない」「子どもと過ごす時間を社会が作らないとダメ」「親に逃げ場や一息つける時間は必要では?」と様々な声もあがっている。『ABEMA Prime』では、ネオ・ネグレクトについて考えた。
■娘を週6日習い事させている天現寺さん

小学生2年の娘を週6日習い事に通わせる天現寺さんは、ネオ・ネグレクトという言葉を聞いたとき、「ドキッとすることあるが、子どもに関心がない状態ではない」と感じている。
習い事は、水泳、ヴァイオリン、英語、書道、バレエなどをやらせているが、「子どものことを考えて、自分たちのリソースの中で子どもにとっていいことをやってる」と説明。そして、実際には「習い事させてる方が、手間がかかってる。英語とか、週に1回行かせただけじゃダメなので、毎日家で見たりしてて、大変だなとは思う」と語った。
矢野氏は、天現寺さんのケースについて、「全く当てはまらない」との見解を示した 。ネオネグレクトは「親が『自分の時間を作りたい』『忙しい』から、子供と関わることが煩わしい。だったら、『外へ押し付けちゃえ』というのがネオネグレクトだ」。また、「お子さんをどうにかしたい思いがあるのなら、全く問題ない」と続けた。
■「『こういう家庭あるんだ。気をつけよう』くらいでいい」

実業家の岸谷蘭丸氏は、「周りの大人がわざわざ『あなたは不幸かもしれないよ』って教えてあげる必要は全くない」とし、ハードスケジュールの習い事も、「子どもが楽しんでいる部分もあり、将来感謝することも多いだろうからいいと思う」とコメント 。
ネオ・ネグレクトについては、「社会がアイデアを持たせるような言葉であったり、知識や情報を流布しまくるのは、あまり良くない流れじゃないか」と警鐘を鳴らした 。
矢野氏は「ネオ・ネグレクトが思っている以上に広まってしまった」ことはあるとしつつ、「これは自覚するための、あくまで表現であり、誰かをラベリングするつもりは全くない。とにかく寂しい思いをするような子どもが1人でも減り、ネオ・ネグレクト気質がないかを考えるきっかけになれば嬉しい」と強調した。
岸谷氏は、「『こういう家庭あるんだ。気をつけよう』くらいでいいと思う。けど、こういう言葉がインターネットに流れていって、『子持ち様』『親ガチャ』とかも最悪じゃないか。レッテルは貼られたら剥がすのが難しすぎる。そうじゃないことを証明するのが難しいし、どんどん1人歩きして、印象が悪くなっていく。やっぱり、ネオ・ネグレクトも広まらないのがベストではあると思う」との見方を示した。
(『ABEMA Prime』より)
