「マグロ漁船」といえば、借金取り立ての追い込み先として度々話題に上がるなど、ネガティブなイメージを持たれやすい。今ではそうした理由での採用を行わない企業も増えているそうだが、かつてはどうだったのか。
【映像】借金5000万円の返済のためマグロ漁船に乗った菊地誠壱さん
元暴力団組員は「今でもマグロ漁船とかはある。1年間は帰ってこられない。俺らからしたら(マグロ漁船)乗ってもらった方が先に入ってくるんでねお金が」と証言する。
1987年に実際に借金で乗ることになった人物に話を聞いた。元マグロ漁船乗組員の菊地誠壱さんは「『借金で乗ってます』って絶対言わないですけど、私も借金で乗ってるんで、かなりいると思いますね」と話す。
菊地さんは、今から38年前の17歳の時、父親の事業失敗による借金5000万円の返済のためマグロ漁船に乗った。
そのリアルな体験として「乗ったらやっぱりめちゃくちゃ厳しかったですね。しょっちゅう高波が来るんですよ。高波を浴びながら揺れますんで、どこかにすがりつきながら仕事をして。台風の中でそれをやってるような感じ。だからびっくりしましたね。こんなことできないと思って」と当時を振り返る。
揚縄、投縄、仕掛けの取り付け、氷の砕き方、その当時、命懸けで働く海の男たちは厳しく、ヤンチャな菊地さんですら耐えるしかなかった。その理由はひとつ、そこは海の上だからだ。陸と違って、仮に仕事や人間関係が嫌になっても逃げるところがなかった。それが一番辛かったと振り返る。
「もう地獄ですよね。そういうもんだと思って慣れるしかない」(菊地さん、以下同)
漁が始まれば、12時間労働も当たり前。睡眠4時間の日もざらにあった。それでも耐え続け、仕事を覚えていくと、やりがいも出てきて1年間の遠洋にも出たという。
「ハワイ沖(に行った)。そこを乗り越えられるメンタルもあるんで、諦めるしかないっていう状況だと思うんですよね。乗せられたら、それぐらいの覚悟でいかないと」
しかし、経験したことで人生においてプラスになったこともあるという。「船員同士の絆ってのもすごくできる船もあって、帰る時も離れるのがつらいなっていう船員さんたちもいっぱいいたんで。他の仕事では味わえないような、人間模様っていう部分ではすごく勉強になった。耐える力もやっぱり鍛えられたんじゃないかな。そういう部分では今思えば良かったなと思う」。
そんな遠洋マグロ漁の業界では近年、ネガティブなイメージを払拭しようと労働環境の改善、やりがい、稼げることをアピール。就労を希望する若者が増加しているという。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
