青森で震度 6 強を観測した地震で住民は、暗く寒い中での避難を強いられました。
政府が想定する最新の『首都直下地震』の被害規模をみていきます。
どう避難すればよいのか、自治体の対応についてもみていきます。
■首都直下地震 最新の被害想定 災害関連死 初めて推計
首都直下地震の最新の被害想定に関して、政府は素案を月内にもとりまとめる予定です。
被害想定の発表は2013年以来12年ぶりとなります。
マグニチュード7.3の地震が発生した際、最悪の場合、死者は1万8000人、経済被害は83兆円にも上るということです。
帰宅困難者数は840万人、避難者数は480万人と想定されています。
さらに、避難生活に伴う体調悪化などで生じる災害関連死についても初めて推計が行われ、最大1万6000〜4万1000人と想定されています。
2013年の想定では死者数は2万3000人と想定されており、今回の想定では5000人減ったのですが、2015年に策定された『10年で半減』という目標は達成されませんでした。
■帰宅困難どうすれば?ビルやホテル“一時滞在”に 課題は?
首都直下地震の際に帰宅困難者の身に起きることを東京都が想定し、公開しています。
電車などが止まり、帰宅困難者となった人は、余震による看板の落下や、延焼火災などの二次災害で徒歩での帰宅も困難になります。
スマートフォンなどのバッテリーが切れ、家族等との連絡や安否確認が困難になります。
停電や断水により公共施設やコンビニなどのトイレが利用できないという状況も想定されます。
非常用電源などが整備されていない施設に滞在していた場合、停電で空調が停止し、季節によっては滞在継続も困難な状況に陥ると想定されます。
このような状況をなるべく作らないために東京都は、東日本大震災の教訓から、帰宅困難者がむやみに移動することや一斉帰宅するのを抑制するよう呼びかけています。
そして、企業などと協力し『一時滞在施設』の確保を進めています。
一時滞在施設は発災時、帰宅が可能になるまで、待機する場所がない帰宅困難者を原則 3 日間受け入れるための滞在施設です。
食料・水・毛布・簡易トイレなどを支援し、1302カ所、約50万人分が確保されています。
その中の一つが六本木ヒルズです。
六本木ヒルズを運営する森ビルは、2012 年に港区と『一時滞在施設利用等の協定』を結んでいます。
六本木ヒルズの倉庫では、約10万食の食料と水を保管しています。
これは一時滞在者5000人の3日分の量です。
災害に強い都市ガスによる独自の発電設備を備えており、もし発災時に電力制限などが生じても、影響を受けずに発電ができます。
東京都は、大きな地震が起きたとき、帰宅困難者向けに一時滞在施設の情報を発信します。
東京都は、2025年4月から『キタコン DX』というサービスの運用を開始しました。
発災時に帰宅が困難になった場合、リアルタイムで一時滞在施設の開設情報が入手でき、最寄りの一時滞在施設の検索や移動経路などの確認が行えます。
LINE アプリで『帰宅困難者対策支援』を友だち登録することで利用でき、
一時滞在施設の入館手続きもスマートフォンから可能です。
「帰宅困難者のための一時滞在施設の確保は進んでいて、オフィスビルなどでの食料の備蓄も進んでいる。ただ、どこにそのような施設があるのか知っている人は少ないと思うので、どのように周知させていくかが課題」
■都内の避難所 受け入れ態勢 夜の発災どう対応?
首都直下地震に対する都内の自治体の備えです。
板橋区です。
人口は約58万3900人、
想定の避難者数は、最大約6万6500人、
指定避難所は、77カ所、
収容人数は、約9万人です。
指定避難所には食料は3日分、水は1人あたり2Lとした1日分を備蓄していて、
段ボールベッドなどを区が提携している事業者から必要な数を発注します。
指定避難所は震度6弱以上で開設され、休日や夜間にかかわらず、発災時には施設の鍵を管理する区の職員や近隣住民などが開錠します。
震度6弱未満の場合でも状況により各避難所の判断で開設されます。
「被災していない自治体のホテルや民間施設に被災者を迎えてもらえる広域避難の協定を13自治体と結んでいる」といいます。
続いて、大田区です。
人口約74万5000人、
想定の避難者数は、最大約20万8700人、
指定避難所は、91カ所、
収容人数は、約21万人です。
指定避難所や備蓄倉庫には食料1日分を備蓄していて、2日目からは都の備蓄分が分配される想定です。
その他、各指定避難所に屋内テントを用意しています。
指定避難所は自治会・町会単位の運営です。
休日や夜間にかかわらず、避難所の開設が必要となった場合は、施設の鍵を管理する区の職員や町会長などが開錠します。
「2024年、国から避難所の環境改善に向けた基準が示されたが、その基準では収容できる人数が減ってしまう。避難者を少なくするため、在宅避難の支援の方針に切り替わってきている」
■在宅避難“ローリングストック”で日頃の備えを
避難所への避難者を減らすための在宅避難について見ていきます。
『事前に住宅の耐震化を行い食料や水など必要な物を日頃から備え、可能なかぎり在宅避難できる準備を整えておくことが大切』と書かれています。
備蓄の方法として、ローリングストックというものがあります。
まず、家族分の水・食料を4日分用意します。
普段から冷蔵庫に入っている分(3 日分)を足して、1 週間分の備蓄となります。
次に 1カ月に1回の頻度で、備蓄した食料を1食分食べます。
消費期限の迫ったものから消費します。
そして、消費した分は購入します。
日常生活で消費しながら備蓄することで、常に一定量の備蓄品や飲料水が家に確保できます。
「消費期限が長い特別な防災用食品を必ずしも買いそろえる必要はなく、日頃から食べている食品を多めにストックする」ということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年12月10日放送分より)


















