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2025年12月12日 19:45

クマ個体数増え続ける日本&狩猟解禁の米を緊急取材 “科学的に”クマ個体数を管理

クマ個体数増え続ける日本&狩猟解禁の米を緊急取材 “科学的に”クマ個体数を管理
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 今年の漢字に選ばれるほど日本で猛威を振るったクマですが、アメリカでは科学的な根拠をもとにクマの個体数を管理しています。狩猟が解禁されたばかりの現地を緊急取材しました。

庭で異変 クマに愛犬が…

 銀世界に染まった住宅街。秋田県大館市で9日、こちらの犬小屋で飼われていた犬が死んでいるのを、住人が見つけました。 

 愛くるしい表情で飼い主を見つめる犬。「ポン太」と名付けられた、1歳の雑種犬です。

 現場を調査した大館市によりますと、周囲にクマの足跡があったため、「犬を襲ったのはクマの可能性が高い」といいます。

 3日前の午前1時ごろ、クマが現れたとみられます。飼い主も異変を感じていました。

犬の飼い主
「犬がいつもはただ吠えているが、その時は違う声がして、バタバタして、電気つけたけど見えなかった」

 夜が明けて犬小屋を確認すると、近くで愛犬が死んでいたといいます。

駆け付けた警察官がクマの足跡を追うと、その先にクマがいた
駆け付けた警察官がクマの足跡を追うと、その先にクマがいた
「見た感じでもクマかなと思った。傷の具合からみて、無残な感じ。上半身は全然傷がなくて、おなかの辺りが無くて、足は骨が出て。かわいそうで。(普段は)元気がよくて。いなくなったら寂しくてしょうがない」

 住人によりますと、駆け付けた警察官がクマの足跡を追うと、その先にクマがいたといいます。

「警察官が見たと。(体長)1メートルくらいのクマだったと。今までは人を見たら逃げると思っていたが違うんだなと。やっぱり怖い」

クマの個体数800頭から2900頭に

パニックになり圧死か
パニックになり圧死か

 雪が積もる中、周辺では2日連続でクマによる被害が。10日午前7時ごろ、ハウスで飼育していた比内地鶏が200羽から300羽死んでいるのが見つかりました。

 大館市は、クマが侵入したことで鶏がパニックになり、圧死したのではないかとみています。

 クマは再びやってくる恐れがあるため、猟友会が警戒を続けています。

箱わなの近くに、注意喚起の張り紙を付ける
箱わなの近くに、注意喚起の張り紙を付ける
大館市猟友会
「(Q.この時期に箱わなを仕掛けることは?)なかなかこの時期はクマは出てこない。今は寒さに関係なく活動する」

 箱わなの近くに、注意喚起の張り紙を付けます。

「餌(えさ)を探してくるというよりも、分かっていて来るから味をしめて、こんなに数が多くなって。今年特に多い」 

 各地で増えているクマ。秋田県では、推定個体数が2006年度に800頭だったのが、去年度は2900頭と3.6倍に。

クマの密度が高くなると、エサの競争が始まる
クマの密度が高くなると、エサの競争が始まる
岩手大学 農学部
山内貴義准教授

「ある地域で(クマの)密度が高くなっている状態の所は、甚大な被害が出ている。(クマの)密度が高くなると、エサの競争が始まるので、里に依存する個体が増えてくることは考えられる」
「背こすり」をする習性を生かして毛を採取
「背こすり」をする習性を生かして毛を採取

 国内では「ヘアトラップ」と呼ばれる方法などで、クマの個体数調査を行っています。

 クマが「背こすり」をする習性を生かして毛を採取。DNA鑑定により、生息数が推定できるといいます。

山内准教授
「生息数調査に労力を継続的につぎ込んでいかないと、今後いろいろな対策が打てない。海外ではかなり、モニタリング調査に労力と予算をつぎ込んでいる」
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個体数管理で被害が減る?

 ツキノワグマに似た「アメリカクロクマ」やヒグマに似た「グリズリー」が広範囲に生息しているアメリカでは、科学的に個体数を管理することで被害を未然に防いでいます。

 アメリカ東部のハンターを取材しました。

自宅の地下室に、猟銃や銃弾などを保管
自宅の地下室に、猟銃や銃弾などを保管

 11歳から狩猟を始めたという、ハンター歴30年のベテラン、フィッシャー・ニールさんです。

「これは体重100キロほどのメスのクマの頭蓋骨です。持ってみますか?」

 自宅の地下室に、猟銃や銃弾などを保管しています。

「これが、あす使うショットガンです」

 ニュージャージー州では、今月8日から銃を使うクマ猟が解禁されました。

今月8日から銃を使うクマ猟が解禁された
今月8日から銃を使うクマ猟が解禁された
「アメリカクロクマは日本のクマと似ています。だから日本のクマが攻撃的な行動をとるのが意外です。ここではほとんどのクマが僕たちハンターを怖がっています。日本のクマはほとんど狩られてこなかったのでしょう。クマはすごく賢いから、人間が怖くないと学んでしまいます」

 クマ猟の初日。クマを減らしすぎず、増やしすぎないよう上限を設定し、許可証を発行するなど厳しい規制の下で猟が行われています。

「クマはいてほしいけど、多すぎてもいけません。その数を注意深く観察して、適切な数だけ狩猟する必要があります」

 仕留められたクマは、個体数を管理するためDNAサンプルの採取が義務付けられています。

管理された狩猟が最も効果的だという
管理された狩猟が最も効果的だという
ニュージャージー州職員
ジム・オックスリーさん

「ニュージャージー州では狩猟だけでなく、教育プログラムや殺傷しない手段など、総合的な個体数管理を行っています。ただし減らすという点では、管理された狩猟が最も効果的です」

 個体数を管理することで、クマの通報は大きく減ったといいます。

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