今ネットである中年男性が話題になっている。49歳・独身、神乃毅さんだ。SNSに「医師を目指して浪人11回、留年8回、国家試験5連敗。こんなおじさんでも夢を叶えられることを証明したい。」と投稿したところ、これが大バズリ。応援する声も寄せられる中、「高齢の新人医師に診察されたくない」「高齢者が若者の枠を奪うなよ」という厳しい声も寄せられている。
神乃さんは「ABEMA Prime」に出演し、なぜ医師を目指すのかを説明。また、神乃さんを超える53歳で国家試験に合格し、今も現役で活躍する新開貴子さんも出演し、高齢になってから医師を目指した思いを語った。
神乃さんは彼女なし、貯金なし、仕事は塾講師のアルバイト。友人からの援助などもあり、月16万円で暮らしている。10代の時に読んだ医学の本に感銘を受け医師を目指したが、その壁は高く広島大学医学部に11浪した末、29歳でようやく合格できた。入学後は夢のキャンパスライフと思いきや、「解剖実習の時に11歳下の女の子に話しかけても無視されたこともあった」周りは現役生ばかりで馴染めず、人間関係に悩み、留年や休学を繰り返し、卒業する時には43歳になっていた。医師になるため国家試験合格を目指し毎日7時間の勉強に励んでいるが、気づけば49歳になり、これまでにかかった費用は約2000万円だ。
仮に合格できたとしても、その先にも不安はつきまとう。「他の研修医の人は、やはり20代の人が多いですし、看護師さんもそう。指導医の先生も、自分より年下かもしれないし、そういう人たちとうまくやっていけるか」。またそもそも雇ってくれる病院はあるのか、医師として認められるのか。不安はつきない。うつ病を患った経験もある神乃さんが目指しているのは精神科医。「うつ病の人の辛さを本当に骨身に染みてわかっている。うつ病の人の治療に貢献したいという思いがますます強くなった」と話す。
神乃さんの夢を、まさに実現したのが新開さんだ。20代は臨床心理士として働いていたが、32歳の時に父が亡くなったことをきっかけに、医師を目指すと決めた。予備校に通い、その間に結婚と2度の出産を経験。7浪して39歳で藤田医科大学に合格し、50歳で卒業、53歳で医師国家試験に合格した。還暦を迎えた今も、医師としてバリバリと働いている。「やはり体力はすごく必要。40歳であっても50歳であっても限界がある。体力的なことは鍛えたりすれば、年齢はあまり関係ない」
高齢になっても医師を目指す神乃さんについては、応援する気持ちもありつつ、経験者だからこそ、厳しい道を歩んでいるということも真っ直ぐに伝えた。「試験は1年に1回しかない。その試験に対して、私は家族がいたり、いろいろと時間が制限されていた。(神乃さんは)結婚をしていないなど、全ての時間をテストに費やせるので、お金を借りてでも国家試験の予備校に行くなど、100%を試験に費やすべき」とアドバイス。
また「医師免許は取ったら終わりではなくて、そこからどういう診療科に行くかというふるいにかけられる。歳を取ってから医師になれば、行ける診療科が少なくなったり、医療を活かせる場もすごく少なくなるという厳しい現状がある」とも述べていた。 (『ABEMA Prime』より)
