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2025年12月16日 01:48

半世紀ぶり“パンダ不在”の国に…上野動物園の双子が来月中国に返還

半世紀ぶり“パンダ不在”の国に…上野動物園の双子が来月中国に返還
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上野公園の双子のジャイアントパンダが、来年1月に中国に返還されることが発表されました。国交正常化を記念して贈られた『ランラン』と『カンカン』以来、半世紀以上親しまれてきたパンダが、日本から姿を消すことになります。日中間の緊張が高まる中、中国の“パンダ外交”が大きな転換点を迎えています。

半世紀ぶり“パンダ不在”の国に

多くの人がその誕生を祝福し、その愛くるしさに目を細め、その成長を見守ってきた、上野動物園の双子のジャイアントパンダ『シャオシャオ』と『レイレイ』。国内に唯一残る、この2頭が、来年1月下旬に中国に返還されることが決まりました。

パンダの初来日を伝える1972年のニュース映像では。

1972年のニュース映像
ニュース映像
「10月28日、羽田についたパンダちゃん。まさにVIP並みの出迎えです。夜も遅いというのに、上野動物園には、大勢の人が一目見んものと押しかけました。カンカンちゃんにランランちゃん、日本初お目見えの瞬間です」

日本には、たちまちパンダブームが到来しました。その後もパンダは日中友好のシンボルとして次々と来日。中国のいわゆる“パンダ外交”です。例えば国交正常化20年を迎えた92年には『リンリン』が上野動物園に。2000年には、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして『コウコウ』と『タンタン』が神戸の王子動物園に貸与されました。

ただ、中国からパンダが来たのは2011年の『リーリー』と『シンシン』が最後で、去年、返還されています。その2頭から産まれたのが、来月返還される『シャオシャオ』と『レイレイ』。子どもの所有権も中国にあるというのが日中間の取り決めです。

国内のパンダがゼロに

他の動物園にいたパンダも、この数年で相次いで死んだり返還されたりしたため、『シャオシャオ』と『レイレイ』が中国に行けば、半世紀ぶりに国内のパンダがゼロとなります。

東京都 小池百合子知事
「都民の皆様方、様々な思いがあると思うが、温かく見送っていただきたい」

気持ちの整理がつかない人も少なくないようです。

高校生
高校生
「帰らないでほしい。上野動物園にパンダがいなくなっちゃうってことですか?もう見られなくなる。悲しい。上野じゃなくなっちゃう」
男性
(Q.半世紀ぶりに国内からパンダがいなくなる)
「さみしいですね。うちの子も好きだったので」
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“日中緊張”の影響は

中国「受け止めました」

東京都によれば、中国には新たなパンダの貸与を求め続けているものの『受け止めました』という反応があるのみで、正式な回答はないということです。

折しも日中関係は、高市総理の台湾有事をめぐる発言などから緊張が高まっている状態ですが。

東京都の担当者
「日中関係の状況を受けて、何か中国側の見解が変わったということではありません」

ただ、中国外務省の会見での対応は明らかに変化しています。今後、新たな貸与があるのかどうか、今年6月に聞いた際には。

中国外務省 郭嘉昆副報道局長(6月)
中国外務省 郭嘉昆副報道局長(6月)
「パンダは世界人民に深く愛されている絶滅危惧の貴重な動物であり、中国人民の友情を伝える友好使者である。今後、我々は引き続き、日本を含む世界各国の協力パートナーたちと交流協力を強化し、絶滅危惧種の保護のために共に貢献を果たしていきたい」

しかし、同様の質問を今月15日にすると。

中国外務省 郭嘉昆副報道局長(今月15日)
中国外務省 郭嘉昆副報道局長(今月15日)
「所管部門に聞いてください」

ちなみに、習近平主席は今月上旬、外交上重視しているとされる、フランスのマクロン大統領とパンダの保護に関する協力を進めることで合意しています。ブリジット夫人にはパンダ繁殖の研究基地を案内しました。フランスには2027年に新たなつがいが貸与される見通しです。

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