2025年も残りわずか。今年も様々な気象災害や天気トピックスがありました。テレビ朝日ウェザーセンターの気象予報士が、今年印象に残った出来事をお伝えします。
■まるで大陸のような大規模な山火事
私が今年印象に残った出来事は「山火事」です。2月26日に岩手県大船渡市で発生した大規模な林野火災は数日にわたって燃え続け3月9日になってようやく鎮圧が発表されました。鎮火はさらに一カ月後の4月7日でした。被害面積は3370ヘクタール(33.7平方キロメートル)。消防庁によると1964年以降で最大規模の山林火災だということです。私はこれまでの日本では見られなかった大陸のような大規模な山火事に気候変動の影響を強く感じました。
気象庁のデータをみると、大船渡は今年2月一カ月の降水量がわずか2.5ミリで、2月としては観測史上もっとも少なくなりました。通年で見ても1966年12月に次いで2番目に降水が少ない状況でした。また2024年12月からの3カ月雨量は37.0ミリで、3番目に降水が少ない冬でした。
■二季は「暑さ寒さ」だけでなく「大雨少雨」も
今年は「二季」という言葉がクローズアップされていますが、私は暑さ寒さだけではなく、大雨少雨も極端化していると感じます。
東京を例にとると、月降水量が平年の20%以下だった月は、2010年代は合計120カ月のうち4回しかなかったところ、2020年代は先月までの71カ月のうち5回もあります。早くも2010年代を上回りました。同じく月降水量が平年の2倍以上だった月は、2010年代の9回に対して、2020年代は先月までで7回です。2020年代はまだ49カ月も残っているので、この数字はまだ増えると思われます。
昨冬も記録的な少雨で、大船渡以外でも山火事のニュースが相次ぎました。総務省消防庁の災害情報から抜き出してもこれだけの山火事が発生しています。
1月18日 山梨県笛吹市
2月25日 岩手県陸前高田市
2月26日 山梨県大月市
2月28日 長野県上田市
3月23日 熊本県南阿蘇村
3月23日 愛媛県今治市
3月23日 岡山市
3月25日 宮崎市
4月7日 長崎県五島市
この冬も太平洋側は降水が少ないと予想されていて、山火事が多発してしまうかもしれません。たばこなどのポイ捨ては絶対に行わず、キャンプなどで火を使う際は決して目を離さないなど、万全な対策をしていきましょう。
テレビ朝日ウェザーセンター 気象デスク 森口哲夫
