12月に入ってもクマの目撃情報が相次いでいます。餌(えさ)を求めて住宅の中に侵入するなど、人の生活圏で冬眠に備える「ニュータイプ」のクマが出てきています。
カメラが捉えた住宅侵入クマ
番組が向かったのは福島市内の閑静な住宅街。駅から近いこの場所で先月末、3台のカメラが捉えたのは、住宅に侵入する一頭のクマです。
「こんな住宅街に出たのは、今年が初めてなんじゃないかなって」
クマが姿を見せたのは早朝7時。周囲をうかがうように辺りを見回します。すると、クマは一瞬後ろを振り向き、何かに警戒しながら住宅の敷地へ入っていきます。
およそ1分後、家の前には1台のパトカーが停車する様子も。すると、別のカメラでは、注意を呼びかけるアナウンスが流れてきました。
「まだクマが近くにいる可能性もあるので、外出の際は注意してください」
一方、クマはさらに奥へと進み、そのまま立ち去ったといいます。
クマが目撃された福島市内のエリアには、比較的新しい建物が並ぶ住宅地があり、そのすぐ横に中学校がある場所になっています。周辺には公園や通学路などがあり、時間帯によっては住民たちと出くわしていた可能性もありました。
「パトカーが後ろの家に行ったのを見て、(警察官に)どこら辺に出たんですかって声をかけたら『お宅に入っていきましたよ』って言われて」
「私も末っ子と出勤の時間だったので、10分遅かったら(クマと)鉢合わせしていたんだなと思って、すごく恐怖を感じました」
クマの出没 12月になっても相次ぐ
今年過去最多、120頭以上のクマを捕獲した岩手県の中心都市・盛岡市。冬眠に入るとされる12月になっても、クマの出没が相次いでいます。住民は日常のすぐそばにあらわれるクマに、動揺を隠せません。
「敷地の向こう20メートルくらい先の所ですね」
先月、庭先で目撃したクマ。周囲の雑音などいっさい気にせず、落ちていた栗を食べていたといいます。
「(餌が)山にはないんだな」
妻
「座っちゃった」
夫
「座っては周りの(栗)を食べている感じかな。毎年来るようになるんだね」
「雪降ったからもう終わりかなと思ったら(12月でも)また出たというので。やっぱりショックでした。終わりがないような気がしますね」
この状況に市内のこども園では、当面の間、園外での活動は控えているといいます。
「散歩は行けないよってなっちゃったね」
子ども
「クマ!クマが来たから」
「クマが近くに出たっていうことで、職員も子どもも含めてクマに対する恐怖心が出てきているので。外に出ないように、お散歩もしないように」
「もう不安は、これからずっと尽きないと思います」
岩手県は、11月までとしていたクマ出没警報の期間を年末まで延長。秋田県や山形県などの自治体でも引き続き警報が出されており、住民に注意を呼びかけています。
人里依存 「ニュータイプ」のクマ
“冬眠の時期”にもかかわらず、住宅街などでクマの出没が相次ぐ理由について専門家は次のように話しました。
「『ニュータイプ』の個体が非常に多くなっている」
「人間の餌はおいしいものだと、親が食べていれば子どもは確実に伝承してしまいますので、そういった形で(クマが)学習してしまう」
山内准教授は、「人里で餌が見つかる」と学んだ子グマが大人へと成長し、住宅街などに出没している可能性があると指摘。こうしたニュータイプのクマについて、今後、あることに注意が必要だといいます。
新潟県関川村で2年前、クマが住宅に侵入した時の様子です。
玄関の網戸を突き破って侵入したクマは、洗面所で暴れ回り、鏡台などを倒して室内をめちゃくちゃにしました。当時、住民はこう話していました。
クマが住宅に侵入する被害は他にも起きています。
ぐちゃぐちゃに荒らされた部屋。よほど空腹だったのでしょうか。冷蔵庫を壊し、中にあった食材も食べられてしまっています。これは去年、島根県益田市の住宅にクマが侵入し荒らされた直後の様子です。
去年はこうした被害が50件近くあり、複数回入られた家もあったといいます。
一方、雪が積もる福島県喜多方市で去年12月に撮影されたのが、コタツの中でくつろぐクマです。
「茶の間のコタツに頭を突っ込んで入っていたって」
撮影者が網戸に近づきますが、特に気にする様子はありません。体長およそ90センチ。クマは一時、この家に居座りました。
「(Q.クマが家の中に入るのは?)家に入るのは初めてだと思います。茶の間にあったお菓子とかを食べたみたいです」
近年、冬眠に必要なエサを住宅地などで得ようとするニュータイプのクマが増えているため、今年も引き続き注意が必要だと山内准教授はいいます。
冬眠中のクマ 穴にこもりカメラ目線
冬眠中のクマを捉えた貴重な映像です。今年1月、木にできた穴の中をライトで照らすと、穴の中で身を隠すクマがいました。目が覚めたのか、撮影者がいる方をじっと見ています。
「クマは自分で穴を掘って冬眠する場所を確保はしません」
「基本的に大きな木の穴とか、岩と岩の隙間とか、土に空いた自然な穴とか、もともとある穴を利用して冬眠します」
木の穴や土穴など、3つのタイプがあるというクマの冬眠場所。しかし、人里に慣れてしまったニュータイプのクマは、私たちの身近な場所で冬眠する可能性があるといわれています。
床下で冬眠するクマ 日本でも…
アメリカ・カリフォルニア州で撮影された映像です。画面右側に見えているのは冬眠の準備を始めているクマの姿です。器用に前足を使って、寝床に敷くためのワラのようなものを引きずっているのが分かります。
その後、体ぎりぎりの大きさの穴におしりから入っていきますが、実はここ、空き家の床下なのです。
別の場所でも、床下をのぞくと冬眠するクマが複数確認されています。また、インクが発射される銃を持った男性が、住宅の壁に空いた隙間から床下に入っていくと、飛び出してきたのは巨大なクマです。
撮影者によると、アメリカではこうした空き家などの床下に、冬眠用の巣穴を作るクマが多くいるといいます。
そして、日本でも先週、人里で冬眠しようとするクマが確認された事例がありました。
「ここからクマが出入りしていた。すごいでしょう。人間の手で切れるものではない」
案内されたのは、クマが侵入したというハウスです。
「このどこかに潜んでいたんです、きのう。きのうはライフル銃で狙いながら、爆竹で追い出して。この辺で捕獲しました」
新潟県十日町市のハウスの中に潜んでいたのは、体重130キロのクマでした。
「(クマの)目的はここに米ぬかが積んである、それを食べに来ていた。以前はコメを食べたり、色んなものを食べていた。最終的にはここに来てしまったんですね」
クマはその日のうちに駆除されたといいます。
新潟県猟友会の池田会長は、クマがハウスの中で冬眠しようとしていたのではないかとみています。
「冬眠かなと思う。分かりませんけど、いくら人が来ても(中から)出なかったからね。雪が降っても(人里に)来るのは変。去年もこの奥のかやぶきの中で冬眠していた」
山内准教授は次のように話します。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年12月16日放送分より)














