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警視庁のタニグチ、千葉県警のキノシタ。警察官を名乗る2人の男が電話をかけたのは本物の元警察官でした。
元警察官に電話
齊藤多美夫さん(77)
「いつ?」
「いつ?」
自称 千葉県警“キノシタ”
「きょうの話しているの、ボケてんのか、お前!」
「きょうの話しているの、ボケてんのか、お前!」
警察官を名乗る男が豹変(ひょうへん)するまでの、25分間の音声。録音したのは、宮崎県に住む齊藤さん。
「いつも使っている携帯電話にボーンと(着信が)入ってきた」
090から始まる着信があったのは、先月21日午前11時50分ごろ。
自称 警視庁“タニグチ”
「私、警視庁捜査2課のタニグチと申します」
「私、警視庁捜査2課のタニグチと申します」
齊藤さん
「警視庁捜査2課のタニグチさん?」
「警視庁捜査2課のタニグチさん?」
自称 警視庁“タニグチ”
「(中略)齊藤さんがこのタカハシグループの資金洗浄に加担しているのではないかと」
「(中略)齊藤さんがこのタカハシグループの資金洗浄に加担しているのではないかと」
最初は千葉県の事件で家宅捜索をしたところ、齊藤さん名義のキャッシュカードが見つかり、容疑者に浮上していると伝えられます。
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25分間の攻防
実は、齊藤さんは、大阪府警や宮崎県警で延べ40年勤務した元警察官です。
自称 警視庁“タニグチ”
「警視庁からの通知を受けた以上、ご自身が何もしないでそのまま放置されますと、事件に関与しているとみなされますので、便宜を図ると言えば大げさにはなりますけれども、今からこの電話、事件管轄の千葉県警へ転送いたしますので」
「警視庁からの通知を受けた以上、ご自身が何もしないでそのまま放置されますと、事件に関与しているとみなされますので、便宜を図ると言えば大げさにはなりますけれども、今からこの電話、事件管轄の千葉県警へ転送いたしますので」
すると、保留音のあと、人が変わります。
自称 千葉県警“キノシタ”
「お電話転送を受けました。こちら千葉県警察本部捜査2課キノシタマサトと申します」
「お電話転送を受けました。こちら千葉県警察本部捜査2課キノシタマサトと申します」
そして話は、具体的な銀行口座の内容へ。
自称 千葉県警“キノシタ”
「(中略)では逆に聞きますが、今齊藤さんはこの銀行を使っていないとなると、普段使っている銀行口座はどちらになるんでしょうか?」
「(中略)齊藤さんの話している内容が、実際に事実かどうかという確認を私たちもするしかありませんから…」
「(中略)では逆に聞きますが、今齊藤さんはこの銀行を使っていないとなると、普段使っている銀行口座はどちらになるんでしょうか?」
「(中略)齊藤さんの話している内容が、実際に事実かどうかという確認を私たちもするしかありませんから…」
齊藤さん
「はい」
「はい」
自称 千葉県警“キノシタ”
「早速、齊藤さんのLINEのアカウントにメッセージを送らせていただきたいと思います」
「早速、齊藤さんのLINEのアカウントにメッセージを送らせていただきたいと思います」
男はLINEに誘導し、口座情報を聞き出そうとします。しかし、齊藤さんがのらりくらり会話を引き延ばしていると、だんだん焦りの色が…。
自称 千葉県警“キノシタ”
「LINE出てきませんか?どうでしょう?」
「LINE出てきませんか?どうでしょう?」
齊藤さん
「電話しながら、そんなことはできんのですよ」
「電話しながら、そんなことはできんのですよ」
自称 千葉県警“キノシタ”
「電話しながらできるから私言っているんです」
「電話しながらできるから私言っているんです」
男は本性を隠し切れません。
齊藤さん
「千葉県警に行けばいいんですか?」
「千葉県警に行けばいいんですか?」
自称 千葉県警“キノシタ”
「何度も言っているじゃないの。来てくれるの?どっちなんですか?」
「来てくれるんですか?」
「何度も言っているじゃないの。来てくれるの?どっちなんですか?」
「来てくれるんですか?」
齊藤さん
「いつ?」
「いつ?」
自称 千葉県警“キノシタ”
「きょうの話をしているの。ボケているのかお前!」
「きょうの話をしているの。ボケているのかお前!」
齊藤さん
「なんですか、その言い方は」
「なんですか、その言い方は」
自称 千葉県警“キノシタ”
「何度も何度も同じ話させやがって、お前ボケてんだろ!」
「何度も何度も同じ話させやがって、お前ボケてんだろ!」
齊藤さん
「ボケとらんよ」
「ボケとらんよ」
自称 千葉県警“キノシタ”
「ボケじじいかお前…死ね!」
「ボケじじいかお前…死ね!」
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会話の3つの不審点
元警察官が気付いた会話の不審点は?
元警察官の齊藤さんが、特に不審に感じたのが、「齊藤さんが資金洗浄に加担しているのではないか」「今から事件管轄の千葉県警へ転送いたしますので」「齊藤さんのLINEアカウントにメッセージを送ります」の3つ。捜査の手法としては、あり得ないことを示す会話だといいます。
齊藤さん
「私の経験から言うと、容疑者に直接電話して『あなたは容疑者です』って言う警察官はいないでしょう。本当の犯人だったら、もうその時点であえて逃がすようなもの」
「私の経験から言うと、容疑者に直接電話して『あなたは容疑者です』って言う警察官はいないでしょう。本当の犯人だったら、もうその時点であえて逃がすようなもの」
また県境をまたいで、電話を転送することや、LINEでの捜査も通常では考えられません。
齊藤さんは、これらの音声データを警察に提出していて、宮崎県警は当該の事案を把握しているということです。
齊藤さん
「警察の看板をかたっているので『まさか』って思う。だけど『もしかして』と考えれば対応できる」
「警察の看板をかたっているので『まさか』って思う。だけど『もしかして』と考えれば対応できる」
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