社会

スーパーJチャンネル

2025年12月18日 19:39

赤坂サウナ火災で新事実 密室で何が起きていた?

赤坂サウナ火災で新事実 密室で何が起きていた?
広告
3

 赤坂のサウナで2人が死亡した火災で新たな事実です。密室で何が起きていたのか、当時の状況が分かってきました。

妻を守ろうとしたとみられる痕跡

 15日、東京・赤坂の高級個室サウナ店「SAUNATIGER」で発生した火事。

 客として訪れていた美容師の松田政也さん(36)と、妻でネイリストの陽子さん(37)が亡くなりました。

 2人は取っ手が外れたサウナの個室に閉じ込められたとみられています。

 捜査関係者への取材から、新たに分かったことがあります。

覆いかぶさった状態
覆いかぶさった状態

 個室サウナの入り口付近で陽子さんに覆いかぶさった状態で倒れていた政也さん。

扉のガラスには何度もたたいたような跡
扉のガラスには何度もたたいたような跡

 さらに、その手には皮下出血が確認され、扉のガラスには何度もたたいたような跡があるなど、意識を失うまで、熱さなどから陽子さんを守ろうとしたとみられる痕跡が残されていたのです。

 一体、狭い室内で何が起きていたのでしょうか。

 通報があったのは15日正午すぎ。

「火災用のベルが鳴っている」
消防隊員は取っ手をはめなおして室内へ
消防隊員は取っ手をはめなおして室内へ

 消防が駆け付けた時、サウナ室の扉の木製の取っ手は内側・外側ともに外れて落ちていました。消防隊員は取っ手をはめなおして室内に入ったといいます。

焦げた跡
焦げた跡

 サウナ室に残されたいくつもの火事の痕跡。中央付近の2段目の座席と背もたれには焦げた跡、座席の上には焼けたタオルがありました。焼損面積は合わせて400平方センチメートル程度でした。

広告

非常用ボタン 押そうとした形跡

非常用ボタン
非常用ボタン

 そして室内にあった非常用ボタンには押そうとした形跡がありましたが、実際に作動することはありませんでした。

 1階にあった事務室にある受信盤に電源が入っていなかったのです。

店のオーナー
店のオーナー

 警視庁が店のオーナーに事情を聴いたところ、「今まで受信盤の電源を入れたことはない」などと話しているということです。

外に異常を知らせる手段
外に異常を知らせる手段
山本記者
「きのうの現場検証などで、火災が起きた原因はサウナストーンにタオルが触れたことだとみられることが分かっています。火災がいつ起きたのかは現在も捜査中ですが、ある捜査関係者は、2人が閉じ込められた際に、扉をたたいたり、非常ボタンを押すことで必死に外に異常を知らせ、助けを求めようとしていたことなどから、タオルを燃やすこともその一つだったのではないかとみています」
室内には高温感知器
室内には高温感知器
「室内には高温を感知する感知器があり、それを2人もしくはどちらかが火災報知器だと思い、煙を出せば外に異常を知らせることができると、タオルを燃やした可能性もあるということです」
広告

サウナ設備 検査は何年ごと?

 そもそも、サウナの安全管理体制は?

元麻布消防署長 坂口隆夫氏
元麻布消防署長 坂口隆夫氏
元麻布消防署長 坂口隆夫氏
「もう私が若いころは特に査察を専門にやっている査察係員も4年ほどやった。署長になるまで、必要があれば署長も、大規模な建物あるいは人命危険の大きな建物の立ち入り検査は同行して確認する。ビル等の各建物を消防法第4条によって立ち入り検査を実施している」
定期的な立ち入り検査
定期的な立ち入り検査

 元麻布消防署長の坂口さんによりますと、サウナ設備がある施設は、消防法によって定期的な立ち入り検査が義務付けられているといいます。

各消防機関で決まっている
各消防機関で決まっている
「年に1回立ち入り検査をやる対象物なのか、5年に1回でいいのかどうか。これは各消防機関で内部の規定で決まっている。用途や規模、あるいは人命の危険性だとか、そういうものを総合的に判断し『1年に1回やりましょう』『5年に1回でいい』と決められる」

 頻度は自治体や規模によって異なる消防の立ち入り検査。どんなことをチェックするのでしょうか。

坂口さん
「書類のチェックが終わってからは今度は建物全般を歩いて確認するわけ。その1つは、要は消火器からスプリンクラー設備までの、そこの建物に設置されている消防用設備を目視で確認する。変形していないのか、脱落していないのか、あるいは何かで隠れてそれを使うことができないのか、そういうところを細かに全部消火器の一つまで点検をしていきます」
避難経路を確認
避難経路を確認
「重要なことは避難経路を確認するということ。今回のサウナであればサウナ室から出る扉、これ異常があるのかないのか、これも確認をします。ドアノブがついていればドアノブの取っ手を持って開けてみる。これが緩んでいれば指導します。ビスが緩んでいますよと、しっかり締めておいてください、そこまでやります」

 現役時代の経験から、立ち入り検査ではドアの取っ手まで確認すると話します。ただ、非常用ボタンについては…。

非常用ボタンについては…
非常用ボタンについては…
坂口さん
「今回の非常用ボタンは消防署の所管ではない。他の法律に基づいて設置されています」
港区の場合
港区の場合

 港区の場合は「旅館業法」でも、非常用ボタンの設置までは義務付けていませんでした。

 坂口さんは今後、非常用ボタンがどこの管轄で、どのように管理していくか考えていかなくてはいけないと話していました。

広告