能登半島地震からまもなく2年。シンガー・ソングライターの松任谷由実(まつとうや・ゆみ)さんが、“第二の故郷”と呼ぶ石川でライブを開催。その思いを独占映像とともにお伝えする。
金沢“異例の3公演”「私自身のたっての希望」
“ユーミン”の愛称で親しまれる、シンガー・ソングライターの松任谷由実さん。
1972年のデビュー以降、ヒット曲は数知れず。老若男女問わず、各世代から幅広く支持を集めている。
来月、72歳を迎えるユーミンが挑む、全72公演の「全国ツアー」が2025年11月から始まった。他の会場では、連続しての公演は多くて2公演しか行われないが、金沢では先週から今週にかけ3公演が行われた。
「私自身のたっての希望で異例の3Days、実現させることができました。みなさんのおかげです。なぜ、そういう希望を出したかというと、お分かりの方も多いかもしれませんが、私は能登を忘れません」
かねて、石川県を「第二の故郷」と呼び、大切に思い続けてきた理由を、今年1月、番組に出演した際に話してくれた。
「(Q.石川県との縁は?)デビュー間もない時に、ラジオカーというのに乗って、金沢を中心にさまざまな所に生放送をしながら行ったりしました」
結婚前、荒井由実で活躍していたころのこと。自身は東京出身だが、石川県のラジオ局の目に留まり、出演オファーが届いた。リポーターとして中継車で県内各地を訪ね、地元の様子を伝えていた。
2015年には、石川県の「観光プロデューサー」に就任。観光と地域の魅力を伝える取り組みを重ねてきたという。
「能登を忘れないということは、今まで、そしてこれから起こるかもしれないさまざまな危機を自分のこととして心に留めるということ。世界中の危機を真剣に考えることにつながると思っています」
今なお復興途上にある中、少しでも元気と希望、そして感謝を届けたい…その思いは、今回の金沢3公演だけにとどまらなかった。
「このショーが終わってみなさん外に出たら、その気持ちをドローンに託して、そういう展示をみることができます」
終演後、ファンはショーを見届けようと会場近くの広場へ。500機のドローンが夜空に描いたのは、被災地を支援するチャリティーシングル「アカシア」のミュージックビデオのシーンだ。
夜空を見上げる人の中には、ユーミン自身の姿もあった。
この曲は、初めて訪れた石川の海岸に咲いていたアカシアを歌った曲だ。
ドローンショー終盤では再び、「私は、能登を忘れない」という能登への思いがつづられた。
能登へエール届けるアートプロジェクト
松任谷さんの代表曲をモチーフに、被災地へエールを届ける取り組みも行われている。
それが、エフエム石川が主催する「能登エールアートプロジェクト」だ。
松任谷さんが初めて訪れた石川の海岸に咲いていたアカシアを歌った曲や、「春よ、来い」などの代表曲をモチーフにアートで表現し、応援メッセージを添えた“エールアートはがき”を募集。全国から2313枚が集まったといいます。
ライブ会場でも展示された代表作2点を紹介する。
1つ目は「アカシア」がモチーフの作品。アカシアの木の絵に「未来へのたった一つの道しるべ いつの日か誰かと…」と歌詞を入れ込んだメッセージが添えられている。
2つ目は「守ってあげたい」がモチーフの作品。輪島市白米町にある棚田の原風景が描かれ、「能登は優しや 土までも美しい能登の景色を守り続けよう」とメッセージが書かれている。
そして、甚大な被害を受けながらも3カ月後に全線で運行を再開した石川県の「のと鉄道」では、穴水駅の待合室や車両の中に、エールアートはがきが今月から展示されている。
展示作品の中にはのと鉄道の絵もあり、こちらは「春よ、来い」の曲をモチーフに描かれている。
のと鉄道の能登鹿島駅は、ホームのそばにおよそ100本のソメイヨシノが植えられていて「能登さくら駅」の愛称で親しまれている。
自身40枚目となるオリジナルアルバム「Wormhole / Yumi AraI」発売中
(ユニバーサルミュージック)
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年12月19日放送分より)











