社会

ABEMA TIMES

2025年12月20日 11:15

「あの人が私の胸を…」痴漢を疑われた男性「駅員に連れて行かれ、警察を呼ばれてしまった」元警察官に聞く最善手は?

「あの人が私の胸を…」痴漢を疑われた男性「駅員に連れて行かれ、警察を呼ばれてしまった」元警察官に聞く最善手は?
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 いまXで、痴漢を疑われた男性のマンガが話題になっている。                   

【映像】「女性の勘違いだった…」警察から解放された時の様子(実際の映像)

 飲み会帰りに電車で終点まで乗り過ごした男性が、タクシーで帰ろうとしたところ、女性に「胸を触られた」と問い詰められた。男性は身に覚えがないため立ち去ろうとするが、駅員に連れて行かれ、警察を呼ばれてしまう。

 そして、取り調べを受けて「寝ていただけ」と否認し続け、最終的に痴漢被害は女性の勘違いだったと判明したが、解放されたのは深夜2時。これは実体験に基づくマンガで、作者のまるさんは、もし女性が勘違いを認めなければ、警察の取り調べに満足に答えられず不安になったという。

 SNSでは反論が難しいとの声が出ているが、痴漢事案を担当したことのある元警察官は、とにかくその場を立ち去ることは避けるべきとする。もし身に覚えのない疑いをかけられた時は、どうすればいいか。『ABEMA Prime』では、当事者まるさんと、元警察官と考えた。

■あわや逮捕?されかけた男性の実体験

まるさん

 まるさんは当時の様子を「電車はすいていた。『何を言っているかわからない。関係ないから帰る』と否定したが、駅員に『女性が言っている限りは帰せない』と言われた」と振り返る。「逃げようかと考えているうちに、駅員から『来てくれ』と連れて行かれた」。

 その後については、「『警察に連絡したから待って』と言われ、10〜20分で警官が来た。女性とは別の部屋で、それ以降は全然会っていない。『どの電車に乗っていたか』『何両目だったか』と状況を聞かれたが、結構酔っており、『準急か急行か』と聞かれても『たぶん準急だった』と、しどろもどろだった」という。

 女性については「同じ電車に乗っていたかすらもわからない。僕の話と、相手の話の辻褄が合わなかった。警察官が女性を問い詰めたところ、『いや、勘違いだった。すみません』となった」そうだ。「解放されたことがうれしかった。眠かったため、早く帰って寝たいとも思った」。

■もし痴漢だと疑われたら…元警察官に聞く最善手

スズキさん

 痴漢を扱う生活安全課などに務めた元警察官のスズキさんは、「取り調べのポイントは、被害者の供述との整合性だ。『どの車両に乗っていたか』『どの部分を触られたか』などを被害者と容疑者に聞き、整理していくところにある」とする。

 また、「現場での検証や再現で、実際の車両などを確認しながら、証言を裏付けていく。その過程の中で、まるさんの発言と食い違っていて、警察が被害者に質問したところ、結果的に別の人だとわかったのではないか」と推察する。

 それぞれの主張がずれている場合には、「第三者である目撃者に協力してもらい、第三者と被害者、容疑者の説明に食い違いはないかと、整合性を取る場合もある」と話す。

 容疑者が否認する場合には、客観的な証拠も必要となる。「防犯カメラが増え、DNA鑑定の精度も上がってきている。客観的な証拠の価値が上がってきているのに加え、目撃者の証言も大切になってきている。証言だけでの検挙は、冤罪(えんざい)も増えるため、考えにくい」。

 「痴漢だと言われても応じてはいけない」といった意見もあるが、「警察的な観点では、その場にとどまる方が、嫌疑が晴れる可能性がある。男性は冤罪を気にして、満員電車で意識的に手を上げる人も多い。その様子を見ていた人から、『手を上げていた』という証言を得られる場合もある」と考えている。

■「異変を感じた時は、声をかけてあげることが大切」

痴漢被害 9割以上が電車内

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は、「学生時代に痴漢被害にあって泣いている子がいた。今でも胸が痛いため、電車に乗る時に『もし痴漢を見たら助けよう』と決めている。見つけたことはないが、いつの日か助けたい」と心掛けている。

 その上で、「誤認しないように証拠を残す場合、動画を撮っておいて、『今は関われないが、後日なら大丈夫』と伝えることもできるか」と問う。これにスズキさんは「時間が空いた時に、警察署に『目撃した』と連絡を入れるのも手だ」と返す。

 実際に痴漢があっても、通報されないケースは少なくない。「立場上は『声を上げて』と説明するが、実際に被害にあった時は、怖くて声が出せないのがほとんどだ。相談が難しいことはよくわかる。友人や家族に相談してから、数日後に警察に通報が入ることもある。周囲が気をかけて、異変を感じた時は、声をかけてあげることが大切だ」。

 モデルの益若つばさは、「被害者も加害者も、冤罪をかけられる人も、なぜこんなに多いのか。1日も早く防犯カメラを全車両へ多角的に設置してほしい。乗る側も助けたい気持ちはあるため、『声を上げることは怖くない』と、何かあれば面倒くさくなく、すぐ駅員に言える環境を整備してもらえるとありがたい」と願った。

(『ABEMA Prime』より)

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