社会

ABEMA TIMES

2025年12月20日 14:45

「無痛分娩」を阻む“母性神話” 猛反対した元夫は「痛みに耐えてこそ母親になれるんだという思考が強かった」

「無痛分娩」を阻む“母性神話” 猛反対した元夫は「痛みに耐えてこそ母親になれるんだという思考が強かった」
広告
1

 麻酔を用いて痛みを和らげながら出産する「無痛分娩」。東京都では今年、助成金制度がスタートするなど年々、選択する人たちも増加している。しかし、昔からの根強い風潮「痛みに耐えてこそ母親になれる」という母性神話に苦しむ女性は少なくない。

【映像】夫に反対され…自然分娩で出産した赤ちゃん(実際の映像)

 過去には、死亡事故の報道もあり、無痛分娩に対して、リスクや不安も未だに拭えない人が多いのが現状。また、需要は伸びているものの諸外国と比べると日本の普及率は低く、都市部と地方の間には大きな格差もある。

 こうした問題や課題もある中で、無痛分娩を当たり前の選択肢となる社会にするためにはどうすればいいのか。『ABEMA Prime』では当事者とともに考えた。

■夫が反対し、無痛分娩を選べなかった当事者

でかまる子さん

 2児の母、でかまる子さん(40代)は、長男出産時に無痛分娩を希望するも、夫に反対され自然分娩で出産した。反対理由は主に3つあり、「麻酔によるリスクがすごく怖い」「お金がかかる」「すごく男尊女卑の考え方が根強かったため、痛みに耐えてこそ母親になれるんだという思考が強かった」と振り返る。

 夫と話し合いをすると、「どうしても口論になってしまった。お腹の中に子どもがいる状態で血が上ると、あまり良くないので、穏やかに話し合いをしたかったが、うまくいかなかった」。

 当時の医師や助産師にも相談したが、「母体を心配するからこそ、私の方を説得し、自然で産んだ方がいいんじゃないか」と、夫を説得してはくれなかったという 。

 第二子については、「無痛分娩で産みたいと希望していたが、8カ月目で出てきてしまい、間に合わなった」。夫とは第1子を産んだ頃から喧嘩が絶えなくなり、「第2子が生まれて、その後離婚した」と述べた。

■第一子は自然分娩、第二子は無痛分娩を選んだ当事者

神田なり氏

 ライター・エッセイスト、2児の母の神田なり氏は、第一子の出産時に自然分娩を選んだ。当時について、「母や身近な家族に相談して、自分の出産のロールモデルが自然と上の世代になっていた。強制されたり、言われたわけではないが、自然分娩で産むべきと勝手に感じるようになってきたし、痛みを伴ってこそ…みたいなところを思い込んでいた部分もあった」と振り返る。

 しかし、第一子の出産時に、隣の分娩室で産んでいた方の影響で、考え方が変わったという。「無音状態のお部屋から、急に産声が上がって、すごくびっくりした。そのママさんに話を聞いてみたら、無痛分娩だった。また、『すごい楽』だと言っていて、それが印象に残った」。

 そうした話に加えて、第二子の出産では、「妊娠中に体調不良で夜間診療にかかった際、長男が、不安で泣き出して取り乱したことがあった。?私自身が産後の体力を温存した上で、長男にも向き合えることがいいと思い、無痛分娩を選んだ」と明かした。

 母性神話に対しては「当然ない。感動をしっかり味わえた」と感じ、「長男のときはやりきった達成感で、次男は痛みがなかったからこそ『やっと会えた』と涙が出ちゃうぐらいだった」と感覚の違いを語った。

■「少しでも楽な時間を女性が選択するのは賛成するべき」

田辺けい子氏

 神奈川県立保健福祉大学の准教授で助産師の田辺けい子氏は、無痛分娩の本来の目的は「無痛にすることではない」と説明する。「痛みを軽減して、『このぐらいの痛みなら産めそうな気がする』を調整して、お母さんが自分の力で産む、あるいは『こういう風に産みたい』を叶えていく」。

 デメリットには「麻酔の合併症の可能性」などが挙げられるが、田辺氏は、昔と比べて「麻酔の方法も変わってる。リスク回避のために医療は発展してきている」と話す。

 また、無痛分娩に関する情報には「麻酔を打てば楽に産める」「産後の回復が早い」「無痛だから全く痛くない。勝手に産まれる」があるが、「痛みは和らぐが、お産自体のプロセスは変わらない。痛みを軽減しての出産なので、出産直後は楽だが、体が元に戻っていく過程は全く変わらない」と主張する。

 1児の母であるモデルの益若つばさは、「『無痛分娩を選んで楽してる』という方がいるけど、楽じゃない。産む前も辛くて、産んでから怒涛の日々が待ってるわけだ。この先も辛いのにどうして出産でとどめを刺されなきゃいけないのか。もちろん自然分娩で産むのも素晴らしいと思う。でも、無痛分娩も結局陣痛が来てから麻酔を打つ。だから、痛くないわけないし、産んだ後も痛いし、どっちみち痛いのだから、少しでも楽な時間を女性が選択するのは絶対賛成するべきだ」との考えを示した

(『ABEMA Prime』より)

広告