社会

グッド!モーニング

2025年12月22日 11:59

ふるさと納税でルール違反 長野・須坂市は収入激減で行政サービスに影響

ふるさと納税でルール違反 長野・須坂市は収入激減で行政サービスに影響
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 ふるさと納税の返礼品で産地偽装が発覚した長野県須坂市は、寄付金による収入が激減したことで市の財政が危機的な状況に陥り、祭りや花火大会などさまざまな事業の見直しを迫られています。

市の財政に“大きな穴”

須坂市の現役職員
「若い職員は転職を考えているという声も聞こえてくる。日々の業務にも多大な影響が出ていて、先行きが見えない」

 こう話すのは、長野県須坂市の現役職員です。

ふるさと納税でトップの寄付額を誇っていた須坂市
ふるさと納税でトップの寄付額を誇っていた須坂市

 「フルーツ王国」と呼ばれる長野県の中でも、ふるさと納税でトップの寄付額を誇っていた須坂市。

 しかし、事業者が「山形県産」などのシャインマスカットを「須坂市産」として返礼品を送付。市はこれを把握した後も寄付の募集を続けていたとして、6月にふるさと納税の対象から2年間除外されました。

須坂市 宮本泰也市議
「全国的に市の信用を根底から揺るがすとともに、市民の信頼を損なうことになった」
市の財政に“大きな穴”
市の財政に“大きな穴”

 16日には、市長に対する不信任決議案が提出される事態に…。問題は、市の財政に“大きな穴”が空いてしまったことです。

 須坂市のふるさと納税の寄付額は年々増加し、去年は過去最高額となる47億円まで上昇。これが今年からなくなり、行政サービスや施設の運営に影響が出ています。

須坂市 三木正夫市長
「すべての事業費について、10%削減でやっている」

 市は、児童クラブの新築など31の事業を先送りしたほか、マラソンイベントや花火大会なども「ゼロベースで見直す」と説明しています。

 さらに、国の人事院勧告に準じた職員給与の引き上げも、見送る方針を労働組合に伝えました。

 現役職員は、こう疑問を呈します。

現役職員が疑問を呈す
現役職員が疑問を呈す
須坂市の現役職員
「ふるさと納税の前からやっていた事業も見直しという話。なぜ、ふるさと納税がなくなったことで急に財政難になるのか。そのあたりの説明をされているのか、市民にしっかり伝わっているのか。すごく疑問を感じている」

 市長の不信任決議案を提出した市議は、こう話します。

「ふるさと納税というのは麻薬みたいなもの」
「ふるさと納税というのは麻薬みたいなもの」
宮本市議
「ふるさと納税というのは麻薬みたいなもので、使い方を誤ると非常にリスクが大きいと思う。本当に使い勝手のいい財源なので、身の丈にあった行財政をすべきだったが、一気にゼロになって市民生活への影響が大きくなった」

 不信任決議案は、反対多数で「否決」されました。

三木市長
「身の丈に合わない財政運営との指摘だが、多くの市民の皆様からの要望などを受け入れ予算を組んだ。私利私欲や功名心でやったものではない」
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「一気にストップ」不正に関係ない農家にも影響

 須坂市は、再来年の秋にふるさと納税の再開を目指していますが、一連の問題は不正に関係ない市内の農家も直撃しています。

不正に関係ない市内の農家にも影響
不正に関係ない市内の農家にも影響
田中果樹園 田中久子さん
「ブドウだけではなく、卵、せっけん、カレーなど、他にもふるさと納税に出しているものがあったので、それが一気にストップになった」

 「返礼品」という販路を突然失い、エサ代などの負担に耐えきれず、40羽のウコッケイを処分せざるを得なくなりました。

田中さん
「市からは何にも補償がないし、ふるさと納税がもし復活しても出したくない。協力する気はない。また同じことになるのはイヤなので」

(「グッド!モーニング」2025年12月22日放送分より)

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