2025年もまもなく終わろうとしています。そこで日本や世界の今年はどんな1年だったんでしょうか、2025年をニュースでまとめてみました。
今回番組では1万人を対象にアンケートを実施しました。今年日本人が一番気になったニュースは何なのか、そして医療や教育など様々な「業界」の人はどんなニュースが気になったのか、まずはランキングを紹介してまいりましょう。
トップ10にはどんなニュースが!?
アンケートの結果、1位から10位のランキングは御覧の通りになりました。
1位がクマ騒動、2位が高市総理の就任、3位がコメ不足と納得のいく結果ではないでしょうか。今10位までには入っていませんが、今大変気になる日中関係悪化については12位に入っています。こちらちょっと前に聞いたアンケートですが今聞いたらもっと上位に来るかもしれませんね。
医療業界で注目されたニュースは「金の高騰」
医療業界の方にも今年気になったニュースを聞きました。
いろいろ出てきた中で、私たちにも大きく関係するのが「金の高騰」です。医療と金に何の関係が?と思うかもしれませんが、歯の治療に実はよく金が使われるんです。「私金歯なんて使わない」と思った方、それだけではありません。保険治療でよく使われる、金銀パラジウム合金には金が使われているんです。元々パラジウムはロシア産が多いため、ウクライナ問題以降値段は上がってきていました。そこに加えて最近金が高騰しているため価格は大幅に上がっているんです。
パラジウム合金の値段上昇に伴って私たちが支払う診療代も増えてきてはいます。この5年で医療保険を使った銀歯治療費はなんと倍になっています。それでもなかなかこの材料費の値上がりには追い付いていません。となると差額分は歯科医が負担することになってしまいます。これでは歯科医の方もたまったもんではありません。
来年以降も気になるニュース「日米関係」
来年以降も気になるニュースがたくさんあります。まずは今回ランキングにも入ってきた、トランプ大統領に関するニュースです。
今年はいわゆる「トランプ関税」に世界中が振り回されました。実は今このトランプ関税が「憲法違反だ!」と訴えられているんです。そして来年早々にも判決が出る見込みとなっています。
訴えられているのはトランプ関税のうちの「相互関税」です。日本でいうと自動車や鉄鋼などは相互関税ではありませんから、対象外です。
日本などあらゆる国にかけている相互関税ですが、実際に税金を払うのは輸入側、アメリカの企業です。こうした企業や州がトランプ政権を訴えているんです。
そしてこれまでに1審、2審と違法判決が出ています。この後最高裁判所の判決、となるわけですがここで違法判決が出る可能性が出てきたんです。
ではなぜトランプ関税は違法かも、と言われるのでしょうか。
実はアメリカではそもそも関税など税金を決められるのは憲法によって議会だけと定められています。ただし「国の非常事態」であれば大統領が輸出入を制限することができるようになっています。今回トランプ大統領はこれを利用して「今のアメリカの貿易赤字は非常事態だ」と言って議会ではなく独断で関税を決めてしまったのです。果たして今は非常事態なのか!?大統領に与えられた権限を越えているのではないか!?そういった点が裁判で争われるポイントです。
もし最高裁で違法判決が出たら、大騒ぎです。アメリカ政府はこれまでに徴収した関税をそれぞれの企業に返すことになります。いったいどれほどの金額になるんでしょうか。
仮に来年夏に違法判決が出た場合、財務長官は115兆円〜154兆円の税収を返還しなければならないかも、と言っています。
これに対しトランプ大統領は308兆円もの税金を返済する必要があるといっています。いずれにしてもものすごい金額です。
トランプ大統領のほうが大きな金額を言っているのは裁判所への圧力ともいわれています。「これだけの金額を返済するとなるとアメリカは大変なことになるぞ!」というわけですね。
そして、もしかすると税金の返済だけでは済まないかもしれません。関税分だけ商品は値上げして売られていたわけです。それを買った消費者から「損した!その分返せ!」と訴えてくる可能性もあります。まさに大混乱となってしまいますね。
果たして最高裁はどんな判決をだすのか、来年は注目です。
来年以降も気になるニュース「ロシア・ウクライナ問題」
来年2月には丸4年が経過してしまう、ロシア・ウクライナ問題。停戦するしない、領土はどうする、など和平に向けた話し合いがいろいろ進められていて、12月15日にはトランプ大統領が「最も合意に近づいている」と発言しています。戦いの終結に向けての道筋がだんだん見えてくる中で、実は今ウクライナのゼレンスキー大統領が大ピンチとなっています。
大統領府長官でゼレンスキー大統領の分身と呼ばれたイェルマークという人が11月下旬に公金横領の汚職疑惑で解任されました。ロシア軍の攻撃でウクライナ市民が疲弊している中、政府の幹部が大金を横領とは信じられない!許せない!と大統領に対する不満が噴出しているんです。そういう政権が混乱しているときに、ロシアだけでなくアメリカからの「ロシアに譲歩しろ」という圧力まで増しているわけです。ずっとウクライナを応援してきたヨーロッパ各国も支援疲れともいえる状況になっています。来年はウクライナにとってまさに前途多難な年となるかもしれません。
今年もつらく悲しいニュースがたくさんありました。その中で大谷翔平選手の活躍はホッとする出来事だったと思います。来年は明るい話をたくさん伝えられればなと思っています。
(池上彰のニュースそうだったのか!!12月23日OAより)
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