全国でクマによる被害が相次ぐ中、クマがいない県として知られる千葉県では別の野生動物問題が深刻化しています。住宅街にも現れ、農作物に被害をもたらしています。
現在は18の市や町で生息確認
住宅街に現れたのは、特定外来生物に指定されている「キョン」。人に慣れているのか、近づいても逃げようとしません。それどころか、前足を地面にたたきつけながら、近づいてくる素振りも見せます。
別の場所では、キョンの群れに遭遇。近年は、市街地でも頻繁に見かけるようになっています。
「見慣れていますね。庭でも、どこでも入ってきます」
「人も犬も全く恐れない。犬のことをばかにしている」
なぜ、千葉県で「キョン」が大繁殖しているのでしょうか?
「キョンは繁殖力がとても強い生き物なんですね。また千葉県が温暖で冬でもかなり(草などの)餌(えさ)がある。また天敵もいないっていうところ」
生後わずか半年で妊娠できる体に成長する驚異的な繁殖力に加え、“クマがいない”千葉県には大型の肉食獣がいません。
そのためキョンの生息数は、10年前から2倍以上のおよそ9万4000頭に急増しています。
「勝浦市から始まりまして、周辺に増えていっているような形」
2001年に閉園した勝浦市の施設から逃げ出したキョンが野生化したとみられていて、現在は18の市や町で生息が確認されています。
農作物への被害 悩みは他にも…
キョンの大繁殖で深刻化しているのが、農作物への被害です。
「キョンが入り込んじゃったりするので、対策でブルーのネットを張って外から中に入って来られないように。ここに頭突きをして割っていきました」
割られた窓ガラス。ビニールの壁もキョンに体当たりされ、破られたといいます。イチゴの苗は、キョンに食べられていました。
「キョンがまさか、こんなにいろんなものを食べ尽くしていくと思っていなかったので。家庭菜園を皆さん持っているんですけど、何を植えても全部食べられるから、やらないっていう方とか」
悩みは、他にもあるといいます。
「かなり大きい声なので、あんまり気持ちよくない。『ギャー』です」
実際の鳴き声です。まるで人間が叫んでいるかのような大音量の鳴き声に、住民は悩まされる日々を送っています。
被害を食い止めるべく、自治体もキョンの捕獲に報奨金を出していて、1頭につき7000円程度が支払われます。(自治体によって報奨金は異なる)
わなはすべて手作り 猟師に同行
番組は、キョンを捕獲する猟師に同行しました。
宮嵜勢太郎さん
「『箱わな』を5個と、『くくりわな』それを1つだけ、きょう掛けてきているので、それを確認しに行きたい」
猟師が仕掛けるわなは、すべて手作り。イノシシなどに比べて体重が軽いキョンを捕まえるためには、わずかな重さで作動する精度の高いわなが求められます。
「(Q.二つ目のわなは)かかってないですね」
「(被害に遭っている人から)感謝されるっていうのがあるので。捕ってくれてありがとうって言ってくれる人がいるので、なんとかやっているっていうところもあります」
捕獲数をさらに上げるため、県は「キョンが好む餌」が何かを探ろうと研究を進めています。
(「グッド!モーニング」2025年12月23日放送分より)






