オンラインでの大学受験塾「SS義塾」が突然、授業を中止して音信不通になっています。塾を経営する会社の社長と、運営を任されていた担当者に話を聞きました。
文部科学大臣も言及「大変遺憾」
「国公立・有名私大への逆転合格を実現させます」
「ゼロからはじめる総合型選抜」を掲げ、全国から受験生を集めていたオンライン塾・SS義塾。
先月からSS義塾の受講を始めた高校2年生の生徒の保護者は、1カ月4回分のオンライン授業のプラン2カ月分と英検対策講座を申し込み、入塾金を合わせると総額20万円以上を振り込みました。
今月6日までオンライン授業が行われていましたが、突如異変が起こりました。
「突然、(塾と)音信不通になって。(その後)塾のスラック(チャットアプリ)の中でどんどんコメントや塾と連絡していた履歴が次々と消されていくことが起こりまして。最終的には動画の授業から何まで全部なくなった」
6日以降、オンライン授業に講師が現れず、SS義塾に問い合わせをしても音信不通の状態が続き、8回のうち2回しか受講できていないといいます。
SS義塾を巡っては、松本洋平文部科学大臣も言及する事態に。
SS義塾は「総合型選抜」の入試に特化した大学受験塾。
主に学科試験の結果で合否が判定される一般選抜に対して、「総合型選抜」は高校の成績や小論文、面接などで入学の可否が判断されます。
近年増加傾向で、私立大学、国立大学ともに9割以上が実施。東北大学では2050年までに、すべて「総合型選抜」に切り替える方針を決めています。
そんな総合型選抜を専門とするSS義塾のホームページでは「受講者満足度97.1%」をうたい、こんな記述も…。
面接の攻略法として、清潔感のある服装で臨み、「目を見て話す」「ジェスチャーをしながら話す」「背筋を伸ばす」「無駄な会話をしない」の4項目が重要と教えています。
講師のなかには、大学教授や塾講師の経験者もいたそうです。
運営陣語った経緯「口座凍結」「突然クビ」
問題発覚当初、SS義塾を運営する会社の社長はテレビ朝日の取材に応じ、このように話していました。
SS義塾の運営会社社長は、塾の運営を任せていた人物が中心となって、他のスタッフや講師の一部と結託して、会社を乗っ取ったと主張していました。
今回、SS義塾の運営を業務委託されていた男性が番組の取材に答えました。
「(社長は)全く今回経営に携わっていない。ミーティングとかも出ることはあるんですけど、本当に雑談する程度で、我々も社長として判断を仰いだり決済を取ったりということも一切ない」
運営メンバーの男性によると、社員は運営会社の社長のみ。しかし社長は京都で飲食店を経営し、塾の業務には関わっておらず、運営は株主であるA氏と業務委託されたメンバーが担っていたといいます。
「(Q.他の講師陣は何人ぐらい?)全体合わせて100人くらいいたような状態」
「(Q.生徒さんはどのくらいいた?)最盛期で500人前後。8月9月あたりですね」
異変があったのは11月下旬。株主のA氏と連絡がつかない状態が続き、今月4日に運営会社社長からある連絡がありました。
運営メンバーの男性によると、毎日入出金は確認していましたが、それまで不正出金などは一切行われておらず、今月5日に銀行口座が凍結されてしまったといいます。
運営メンバー側は翌日の6日、運営会社社長に説明を求めるため京都の飲食店に向かいましたが、社長が警察に通報したため、直接の話し合いができなかったといいます。
運営メンバーの男性は、株主のA氏が詳しい事情を知っていると考えていますが、一切連絡が取れない状況だといいます。
運営陣vs社長 何が?主張対立
運営資金の4000万円は一体どこへ消えてしまったのか?
運営会社の社長は、運営を行っていた中心人物と経理、営業、講師の一部が結託して4000万円を横領したと主張しています。
一方、運営メンバーの男性は、運営会社社長の主張を否定。社長と株主A氏が結託しているのではと考えています。
22日、改めて運営会社社長に取材に行くと、引き続き弁護士への相談や刑事告訴を検討しているため詳細は答えられないとしたものの、運営メンバーの主張を真っ向から否定。
社長の反論に対して運営メンバーは…。
運営メンバーも、突然の契約解除や給料の未払いについて警察への相談を検討していますが、まずは生徒のことを一番に考えなければいけないとし、希望する人には授業を続けていく方針だといいます。
総合型選抜、どんな試験?学習塾の特徴は
SS義塾が専門指導をしていた総合型選抜とは、試験科目としては書類審査や小論文、面接、グループディスカッションなどが科目としてあり、学力と人間性などを総合的に評価する入試制度です。
文科省によりますと、私立大学の95.8%、国立大学の92.6%と9割以上の大学で総合型選抜が実施されています。
全国の大学の選抜別の入学状況を見てみますと、総合型選抜は2割を占めています。
こうした中、国立の東北大学では、2050年までに学力試験をすべてこの総合型選抜に切り替える方針です。大学の担当者によりますと、学力試験だけでは測れない多様な能力、挑戦心や発想力などや東北大学で学びたいという強い意欲を持つ学生を選抜するのが目的だとしています。
こういう大学が増えてくると、そこに対応した塾も増えてきます。その傾向について大学ジャーナリスト・石渡嶺司さんによりますと、総合型選抜が導入された2020年代からオンライン形式の塾が増加しているといいます。資本金の少ない企業でも参入が容易な一方で、生徒や講師の確保が困難になるなどで経営破たんしやすいといいます。
そうした塾を選ぶ基準について、大手でも中小でも合格実績だけではなく講師数やサポート体制など正確に情報を公開している学習塾を選ぶことが必要だと指摘しています。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年12月23日放送分より)










