23日、上皇さまが92歳の誕生日を迎えられました。テレビで戦争の特集番組をご覧になるなど、先の大戦と向き合われました。
上皇さま 92歳の誕生日
今月8日に撮影された映像です。23日に92歳の誕生日を迎えられた上皇さま。今年、東大病院に2回入院し無症候性心筋虚血や上室性不整脈と診断されましたが、心臓の負荷を和らげる薬を服用し、比較的安定した状態を維持されているということです。
最近のご様子を知る人に話を聞くと、上皇さまは。
上皇さまにチェロを教えている寺田義彦さん。直近のレッスンは9日前の14日でした。
古くから音楽に親しんでこられたご一家。
「3人の宮様は学習のほかにピアノやバイオリンを習っておいでで、両陛下もその演奏を楽しみに…和やかな新春です」
ビオラを弾く現在の天皇陛下と向き合うように、チェロを弾いておられるのが、上皇さまです。折に触れ、演奏のご様子も公開され、熱心に取り組んでこられました。
2010年からプライベートレッスンを担当してきた寺田さんは、こう話します。
たとえば、ビブラートのつけかた…。
「歴史的事実を十分に知って未来に備える」
上皇さまが健康を維持するために日課とされていることがあるそうです。
「上皇ご夫妻は一日2回御用地内で散策したり、筋力を維持するための軽い運動を続けられている。食事の際にはテレビをつけてニュースをご覧になっているそうで、側近によりますと、これは誤嚥(ごえん)を防ぐためで、ご夫妻は食事中はなるべく話をせずに食事に専念するよう気を使っていらっしゃるそうです」
今年は3年半ぶりに葉山に足をのばされました。
「きょうは静かでいい海ですね」
葉山では海岸を散策し、地元の人々と交流されます。
「尾がよく巻いているね」
「かわいい」
「いくつくらいですか」
「まだ1歳半です」
今年は戦後80年。上皇さまはこの夏、薄れゆく戦争の記憶を伝えるテレビをご覧になり、度々、先の大戦と向き合われたということです。
「毎年のことですが、沖縄慰霊の日、広島長崎の原爆の日や終戦の日には、式典の様子をテレビ中継でご覧になりながら御所で黙とうをされているといいます。今年は軽井沢でのご静養中、終戦後に旧満州から引き揚げた人たちが開拓した土地を散策されました」
「道中では昭和天皇が戦後巡幸で開拓地を訪問された話などをご夫妻でされていたそうです。側近によりますと、ご夫妻にお仕えしている職員が昔の写真や記事を用意して、上皇さまから昔のお話を聞くこともあるそうで、その中でフィリピンご訪問の際に在留2世の方とお会いになったことや、上皇さまが日光に疎開されていた時の話が話題に上がることもあった」
上皇さまが最後にフィリピンを訪問されたのは2016年。元日本兵に声をかけ、ねぎらわれました。
「遺族のために尽くしていただいてご苦労様です」
「よく生き抜いてくださいましたね。ご苦労さまでございました」
在位中は激戦の地をまわる、慰霊の旅を続けられた上皇さま。
「平和の大切さを肝に銘じられた昭和天皇にとって、誠に不本意な歴史であったのではないかと察しております。過去の歴史的事実を十分に知って、未来に備えることが大切と思います」
戦後80年“次世代へつなぐ思い”
その言葉には、次世代へつなぐ気持ちが込められているのでしょうか。
先月、孫の愛子さまがご覧になったのは、激戦となったパラオのペリリュー島を描いた映画です。
「愛子さまが『運命を感じる』とおっしゃっていた」
原作となる漫画は、上皇さまが戦後70年にペリリュー島へ慰霊の旅をされたことがきっかけで描かれたものです。「忘れられた戦場」と言われる、ペリリュー島。
上皇さまのご訪問に、元日本兵の男性、土田喜代一さんは…。
23日上皇さまのお祝いに、天皇皇后両陛下、そして愛子さまも駆け付けられました。誕生日の行事は例年同様簡素な形で祝賀を受けられるということです。







