富士山の美しさに魅了され、日本で生活することを決めたイタリア人の女性がいます。5カ国語を操り人手不足に苦しむホテル業界で大活躍です。夢に向かって奮闘する彼女の姿を取材しました。
日本大好きイタリア人 好きな漢字は?
「皆さんはいつも朝ごはんを食べますか?エレさん、きょうの朝ご飯は何ですか?」
「きょう、パンやチョコレートやコーヒーなどです」
「朝ご飯、チョコレートなんですね?」
「はい。甘いもの、朝ご飯の時、甘いもの好きです」
都内の日本語学校で、先生からの質問に答える女性。イタリア人のエレさんです。さまざまな国の人たちと一緒に、日々、日本語の勉強に励んでいます。
「エレさん、国はイタリアですね?イタリアでワインをよく飲みますか?」
「はい、よく飲みます」
「どれくらい飲みますか?」
「えー、1週間で1回飲みます」
「その時、何本くらい飲みますか?」
「2本は飲みます」
来日から1年も経っていませんが、日本語での会話はスムーズ。先生や生徒からも一目置かれる存在です。
「(エレさんは)頭が良くて、 いつも頑張ります。 そして、面白い」
「エレさんは、元気に発言をしてくれて、クラスの雰囲気を良くしてくれます」
「(Q.日本語の上達は?)入学した時から日本語が上手だなと思っていましたが、最近とっても上手になったと思いますよ。そして、今は会話は全部日本語でしています」
「(Q.イタリア語と英語とかも一切使わずに?)はい、私と話す時はいつも日本語です」
去年1年間に日本を訪れたイタリア人はおよそ23万人に上り、過去最高を記録。今年に入っても、1月は前年を30%近く上回り、増加傾向にあります。エレさんは、今年4月に来日しました。
「(Q.なんで前?)教科書の漢字見て『前』かわいいと思いました」
お気に入りの言葉は、「前」と「楽」。そこで、番組スタッフが、「前」を使った、日本語を教えてあげると…。
新しい日本語を覚えて、うれしそうなエレさん。日本での生活に長い間、憧れを持っていたといいます。
富士山きっかけ 日本のおもてなしに感動
日本に憧れたきっかけは、1枚の写真です。
当時16歳だったエレさんが感動したのが、山梨県の河口湖の近くから撮影した、富士山の写真でした。「この景色を直接見たい」と思い、日本に行くことを決めたといいます。
イタリアの四ツ星ホテルで働き、来日するための資金360万円を貯金。念願かなっての来日ですが、すべてが順風満帆というわけではありません。
学生ビザの期限は、来年6月。本格的に移住したいと考えていますが、日本語の能力や職歴などの条件を満たさなければ、就労ビザを取得することができません。
エレさんは現在、バイト先の会社を通じて申請していて、結果を待っている段階だといいます。
現在、バイト先のホテルで、フロント業務を担当しているエレさん。アルバイトから正社員への昇格を目指しています。
ホテルの客層は、7割以上が外国人。5カ国語を話せるエレさんは、即戦力として活躍しています。
「彼女自身が英語、イタリア語を話せるというのもあるので、ゲストに合わせたコミュニケーションが取れるのが彼女の強み」
イタリア時代にホテルで働いた経験が生き、日本での業務はすぐに覚えられましたが、母国との違いに驚いたことも多かったといいます。
「(Q.パジャマ置いてあるところは世界にない?)世界にないです。だから、私はこの日本の文化が大好きです」
日本のおもてなし文化が、大好きだと話すエレさん。自らも実践すべく、取材を受けていても困っている客を見つけたら、すぐさま駆け寄ります。
自炊、手作り弁当持参
そんなエレさんの日本での暮らしは、どのようなものなのでしょうか?
限られた収入の中、節約を意識したマイルールがあるといいます。
その日の献立に必要な材料だけをメモ。それ以外のものは、買わないようにしています。
この日の献立は、カボチャのリゾットでしたが、100グラム74円と96円の値段の違うかぼちゃを前に、悩むエレさん。選んだのは?
これで、必要な材料はそろったかと思いきや。
エレさんが求めていたのは、リゾットに使う野菜スープの素。店内を歩き回って探しますが、途中にはたくさんの誘惑が。
「(Q.お菓子好きなの?)好き、めっちゃ好き、でもお菓子だめ」
少しでも節約するために、大好きなお酒やお菓子は我慢します。
「(Q.買うの初めて?)初めてです、日本で初めてです。いつも私スープを作って、自分で作ります。でも、めっちゃ便利だと思います。これ」
必要な材料がすべて手に入り、一安心のエレさん。レジに行く前にほっと一息つける場所があると、案内してくれました。
イタリアのパスタが陳列されているコーナーを見て、母国を思い出し、笑顔に。うれしい気持ちのまま、自宅へ帰ります。
仲間と一緒に、ソーシャルアパートメントで暮らしているエレさん。
「私の趣味は料理を作ることです。だからこれ、私のプレゼント買いました。たくさんおいしい食べ物を作りたいから」
日本語学校には手作りの弁当を持参。家でも、仲間たちに料理をふるまっていて、今回は、その腕前を披露してくれました。
「これはイタリアの形、いつもコメを入れて山みたいにつくって」
「(Q.なぜ山作る?)この形はコメがクリーミーになります」
先ほど買った調味料も、さっそく活用します。きれいにかきまぜれば、エレさん特製のかぼちゃリゾットの完成です。
何も言わず、番組スタッフの分まで用意してくれたエレさん。イタリアでは、まずお客さんに食べてもらい、感想を聞いてから自分も食べるというおもてなしの文化があります。そこで、ディレクターからいただきます。
「どうですか?」
「おいしい」
「よかった〜」
番組スタッフへの手紙も…
エレさんの部屋で大事に飾られているのは、原点である富士山の掛け軸。
日本で泊まった人が「家みたい」と感じられるような、温かみのあるホテルをつくりたいというエレさん。
イタリアにいる家族も応援してくれています。
「16歳の時、めっちゃ頑張った。ちょっともし良くなかったら泣いちゃうけど。やめない、絶対やめない、帰らない」
16歳の時の決意を忘れず、母国から遠く離れた日本で、夢に向かって挑戦し続けていますが…。
いつもポジティブなエレさんですが、家族への思いが募り、気分が落ち込む日も。そんな時は、家族にメールを送ったり、アルバムの写真を見返したりして、前を向くようにしています。
番組スタッフが教えた「前向き」という言葉を、すでに自分の言葉にしていたエレさん。
別れ際に、取材した番組スタッフに手紙を書いてくれました。
(「グッド!モーニング」2025年12月30日放送分より)













