国土交通省によると道路上で発生した動物との衝突事故、いわゆる「ロードキル」の件数は年間およそ7万件。なかにはシカと衝突し、大怪我を負ったという事態もある。
なぜシカは危険な道路に飛び出してくるのか。道路の開発に関する調査を行う一般社団法人北海道開発技術センターの交通政策部・佐藤真人氏は「(シカは)群れで行動する動物で、リーダーにあたる個体は比較的車を気にして、車が通りすぎてから道路を渡る。ただ、リーダーだけを見て追いかけてくる個体も多いので、群れの2頭目以降と車がぶつかっている可能性が高いのではないか」と説明。
車を気にしているように見えても、ほかのものを気にして飛び出してくる可能性があるそうで「人の小さい子どももそうだと思うが、向かいの道路に知り合いがいたら走り出しちゃうとか。それぐらいの(行動が読めない)動物だと思って見てあげたほうがいい」と注意を促した。
なぜバイクに向かってきたのか。シカとバイクが衝突した映像を見て「後ろ足を横方向に蹴り出しているような、そういった足の動きに見えた。シカとしては一応避けようとしているのではないか」と分析する。佐藤氏によると、シカはアスファルトなどの固い路面が苦手で蹄が滑り、動きが鈍くなって逃げ遅れてしまったのではと推測する。
衝突を回避するには、あらかじめ注意すべきポイントがあるという。佐藤氏は「直線道路で見通しがいいはずなのに、やたらとタイヤ痕が集中していたり『なんでこんなところでブレーキを踏んでいるんだろう』というところは、動物が飛び出して急ブレーキをかけたという可能性が高い」と、ブレーキ痕の多い場所は動物が現れた可能性があると考え、あらかじめスピードを落とすことが大切と指南。
それでも衝突してしまった場合は、自分の安全を確保したうえで二次被害を防ぐための行動も重要だという。佐藤氏は「もしシカとか動物が道路上で死んでしまって、後続車や対向車がさらにひいてしまって危ない状況であれば、安全対策を試みていただきたい。#9910(道路緊急ダイヤル)に通報すると、動物の死骸など回収するようにすぐ動いてくれる」と語った。
では、動物と衝突して車が破損した場合、保険適用されるのか。一般社団法人日本損害保険協会北海道支部の川田晃久事務局長代理は「(動物との事故は)自損事故・物損事故になってくる。任意保険である『車両保険』が補償することになってくる」と説明する。
日本損害保険協会によれば、北海道内でのエゾシカとの衝突事故で支払われた保険金は去年10月からの2カ月間で7億5000万円以上で、1件あたり平均60万円ほどの支払額となる。そもそも保険に入るとき、動物との衝突事故まで想定する人はそう多くはないという。
川田氏は「保険契約を結ぶとき、対車の物損事故とかあるいは人との間で事故を起こしてしまったとき、そちらのほうに注目がいきがちになる。保険会社によっては車両保険に入っていても、シカとの衝突事故が補償されない場合もあり得ないことはない。保険を契約するときに確認をとることが重要」と語った。
ABEMA的ニュースショーMCを務める千原ジュニアは「ブレーキ痕が多い真っ直ぐな道とか、勝手に居眠りとかそういうことなのかなと思っていたら、意外と動物が現れて、そこが獣道になっていてみたいな」と解説に納得した様子で「ブレーキ痕は、動物が飛び出してきたのかなという発想がなかったので、今後そういう可能性があるというのを気を付けたい」とコメントした。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
