猛威を振るった「2つの突風」を捉えた最新鋭の気象レーダー。その内部を取材すると、超ピンポイント予測実現の可能性が見えてきました。
(社会部 山内陽平)
“科博”の植物園も被害に
高さ40メートルの鉄塔。つくば市が一望できる観測しやすい位置に設置されています。ドームの内部には板状のレーダーが設置されています。気象研究所が誇る最新鋭の気象レーダー「フェーズドアレイレーダー」です。
激しい大気現象を素早く的確に捉えることができ、2025年に発生した2つの突風の一部始終を分析することに成功しました。
「今回の突風で、このあたりの木が、みな、倒れてしまった」
「ほんと最初は 原因が分かりませんでしたから、 これはなんか、 普通じゃないことが起こったんだなと」
7月、つくば市などで発生した突風は国立科学博物館の植物園を襲い、30本以上の樹木が倒れました。開園以来、40年以上育てられ。植物園のシンボルだった「もみの木」も被害に…
「このあたりは、ほんとにもう、 ほぼほぼ全部、50年前に職員が植栽した空間ですから、 こういうことがあると、 一瞬にして、 ゼロになってしまう」
その2カ月後の9月にもつくば市を再び突風が襲いました。ドライブレコーダーには物が舞い上がり植物が大きくあおられる様子が…
工事現場の足場が大きく崩れてしまったほか2階建ての倉庫が倒壊するなど建物への被害も相次ぎました。
フェーズドアレイレーダーを使うと、その原因がはっきりします。
半径60キロを高速スキャン 複数の竜巻も発見
「時々刻々と30秒ごとにその形が変わっていく様子などが捉えられている」
どちらのケースの突風も同じタイプの積乱雲からもたらされたことがわかりました。従来の20倍ほどの早さで半径60キロの範囲の空を高速スキャンできるようになったためです。
「この被害域に、この雲の中の特に強い雨の場所が到達する直前に、突風被害が発生した」
さらに解析を進めると、9月には雨が最も強くなったおよそ8分前に「竜巻」が発生していたことが判明しました。「竜巻」の発生過程を数分単位で把握できたことは世界的にも珍しいといいます。
「例えば、渦Bを見ますと、 14時53分32秒に発生し、 そしてずっと南東方向に進みながら、14時56分32秒ごろに、 どんどん消えていったということで、 わずか3分間です」
そして、「竜巻」が複数発生していたことも突き止めました。その要因は、積乱雲から吹き下ろす冷たい風と周りの暖かい空気の間に生まれる「ガストフロント」と呼ばれる現象です。
「小さな前線のことをガストフロントと呼んでいまして、 その前線は非常に不安定なので、 突風なども発生しやすい」
「その中に渦が実は何個も埋め込まれていたということが今回分かりました」
「これまで観測できなかったものが捉えられ始めてきたというのが、 今私たちが置かれた状況かなと思います」
分単位の分析ができたことで、将来的には、AIの導入などによって、竜巻の発生を数分前に知らせることも可能になると期待されています。
「実際にどんなメカニズムで(竜巻)が発生しているのかが分かるようになりますから、それを鍵として防災につなげていく、そういう研究が可能なのではないかなと」









